団体信用生命保険がおりないとどうなる?住宅ローンが残った場合の対処法を徹底解

団体信用生命保険がおりないとどうなる?住宅ローンが残った場合の対処法を徹底解説

住宅ローンを組む際、多くの方が加入する「団体信用生命保険(団信)」。契約者が亡くなった場合や重度障害になった場合に住宅ローン残高がゼロになる仕組みですが、実はすべてのケースで保険金が支払われるわけではありません。
もし団信がおりなかった場合、残された家族にはどのような問題が起こるのでしょうか。この記事では、団信がおりない主な理由や、その後に発生する住宅ローン問題、そして具体的な対処法について分かりやすく解説します。

団体信用生命保険(団信)とは?

まずは、団体信用生命保険とはどのような保険なのかを整理しておきましょう。

住宅ローンとセットで加入する保険

団体信用生命保険とは、住宅ローン契約者が死亡または高度障害状態になった場合に、保険会社が住宅ローン残高を支払ってくれる制度です。

一般的な生命保険との大きな違いは、「現金が遺族に支払われる」のではなく、「住宅ローン残高がなくなる」という点にあります。

例えば、住宅ローンを3,000万円借りたとしても、10年後に残高が2,000万円まで減っていれば、保険によって支払われるのは2,000万円です。

つまり、団信は遺族に現金を残すための保険ではなく、「家を守るための保険」と言えます。

団信が適用される主なケース

団信は、単に死亡時だけに適用されるわけではありません。

主に以下のようなケースが対象になります。
・契約者の死亡
・高度障害状態
・両目の視力喪失
・言語機能の喪失
・咀嚼機能の喪失
・その他、就労が困難になる重度障害

つまり、「今後働くことが著しく困難」と判断される状態になった場合に、住宅ローン返済義務がなくなる仕組みです。

なぜ団体信用生命保険がおりないのか?

ここからが本題です。

本来は住宅ローン残高をゼロにしてくれるはずの団信ですが、一定の条件に該当すると保険金が支払われないことがあります。

自死による免責期間

多くの団信には免責期間があります。

例えば、加入後1年以内の自死については、保険金が支払われないケースがあります。

これは一般的な生命保険と同様の考え方で、「保険加入直後の故意性」を防ぐ目的があります。

告知義務違反

団信加入時には、以下のような健康状態を申告する必要があります。
・持病の有無
・過去の入院歴
・手術歴
・通院状況
・投薬状況

しかし、「正直に書くと団信に入れないかもしれない」「住宅ローン審査に通らないかもしれない」という不安から、病歴を申告しないケースがあります。

実際、団信の審査では医療機関への裏付け確認が行われないことも多く、自己申告ベースで契約が成立します。

そのため、後になって病歴の未申告が発覚すると、保険会社から「告知義務違反」と判断され、保険金支払いが拒否されることがあります。

故意による事故や障害

保険金目的で意図的に事故を起こした場合などは、当然ながら保険対象外です。

例えば、
・わざと事故を起こす
・自ら障害状態を作り出す
・保険金詐取目的の行為
などが該当します。

保険はあくまで「偶発的な事故や病気」に備える制度であるため、故意行為は補償対象になりません。

戦争や重大な社会的混乱

約款上、戦争や大規模な社会的混乱による死亡などは免責となる場合があります。

日本では現実味が薄いかもしれませんが、保険制度上は対象外とされることがあります。

保険料未払いによる失効

昔の住宅金融公庫などでは、団信保険料を別払いしていたケースがあります。

この場合、
・支払い忘れ
・経済的事情による未納
などによって、団信契約が失効していることがあります。

保険契約が失効している状態では、当然ながら保険金は支払われません。

実際の相談現場でも、このケースは非常に多いと言われています。

団信がおりないと住宅ローンはどうなる?

では、団信がおりなかった場合、住宅ローンはどうなるのでしょうか。

住宅ローンはそのまま残る

当然ですが、団信がおりなければ住宅ローンは消えません。

しかも、多くの住宅ローン契約では、契約者が亡くなった時点で「期限の利益喪失」となり、残債を一括請求されます。

例えば、
・毎月10万円返済
・残高2,000万円
という状態で契約者が亡くなった場合でも、

「今後も毎月10万円ずつ払います」
という継続返済は基本的に認められません。

金融機関からは、
「残り2,000万円を一括返済してください」
と求められることになります。

一括返済できないと競売になる

残債を一括返済できない場合、金融機関は裁判所に競売申立てを行います。

競売とは、裁判所主導で不動産を強制売却する制度です。

所有者や家族の同意がなくても手続きが進み、最終的には退去を求められます。

つまり、
・家を失う
・強制退去
・引っ越しが必要
という状況になる可能性が高いのです。

団信がおりない場合の4つの対処法

では、実際に団信がおりなかった場合、どのような対応が考えられるのでしょうか。

主な選択肢は4つあります。

1.現金で一括返済する

もっともシンプルなのは、預貯金などで一括返済する方法です。

例えば、
・十分な貯蓄がある
・相続財産が多い
・他の資産を現金化できる
という場合には、住宅ローン残債を完済できます。

ただし、数千万円単位の残債を即座に支払えるケースは多くありません。

2.新たに借入れして返済する

残された家族が新たなローンを組み、返済する方法もあります。

例えば、
・親族から借りる
・別の金融機関で借入れする
などの方法です。

しかし、収入状況や年齢によっては審査が厳しく、現実的には難しいケースも少なくありません。

3.不動産を売却して返済する

現実的な選択肢として多いのが、不動産売却です。

売却してローンを返済する

相続登記を行ったうえで不動産を売却し、その代金で住宅ローンを返済します。

もし、
・売却価格 > ローン残高
であれば、差額を手元に残すことも可能です。

リースバックで住み続ける方法

「家は売りたくない」「子どもの学校を変えたくない」という場合には、リースバックという方法もあります。

これは、
1.投資家や不動産会社に家を売却
2.その後は賃貸として住み続ける
という仕組みです。

所有権は失いますが、住環境を維持できる可能性があります。

4.相続放棄をする

売却しても借金が大きく残る場合には、「相続放棄」を選択するケースもあります。

相続放棄とは?

相続放棄とは、亡くなった人の財産や借金を一切引き継がない手続きです。

例えば、
・住宅ローン残債:2,000万円
・不動産売却予想額:1,000万円
という状況なら、相続しても1,000万円の借金が残ります。

さらに預貯金などもない場合は、相続放棄した方が合理的なケースもあります。

相続放棄には期限がある

注意点として、相続放棄は「相続開始を知ってから3か月以内」に家庭裁判所へ申立てが必要です。

期限を過ぎると、原則として相続放棄はできません。

判断を先延ばしにすると、選択肢を失う危険があります。

相続放棄しても意味がないケース

ここは非常に重要なポイントです。

連帯保証人になっている場合

例えば、
・夫が主債務者
・妻が連帯保証人
という住宅ローン契約だった場合、妻が相続放棄をしても、連帯保証人としての責任は消えません。

例えば、
・夫が主債務者
・妻が連帯保証人
という住宅ローン契約だった場合、妻が相続放棄をしても、連帯保証人としての責任は消えません。

つまり、
・相続人としての責任は消える
・しかし保証人としての返済義務は残る
という状態になります。

ペアローンや収入合算では、このケースが非常に多く見られます。

共有名義にも注意

共有名義で住宅ローンを組んでいる場合も注意が必要です。

共有持分や保証関係が複雑になるため、単純な相続放棄では解決しないケースがあります。

このような場合は、早めに専門家へ相談することが重要です。

団信トラブルは早めの相談が重要

団信がおりない問題は、感情的にも非常につらい状況です。

・家族を失った悲しみ
・住宅ローンの不安
・競売への恐怖
・相続問題
これらが一気に押し寄せます。

しかし、早い段階で対応すれば、
・任意売却
・リースバック
・債務整理
・相続放棄
など、選択肢を広く検討できます。

逆に、放置してしまうと競売手続きが進み、選択肢が狭まってしまいます。

まとめ

団体信用生命保険は、住宅ローン契約者に万が一のことがあった際、残された家族を守るための重要な制度です。しかし、告知義務違反や保険失効などによって、保険金が支払われないケースも存在します。

団信がおりない場合、住宅ローンはそのまま残り、一括返済を求められる可能性があります。支払いができなければ、最終的には競売へ進むこともあります。

そのため、
・任意売却
・リースバック
・債務整理
・相続放棄
などの選択肢を早急に検討することが重要です。特に相続放棄には3か月という期限があるため、早めの行動が必要になります。

もし現在、団信トラブルや住宅ローン問題で悩んでいる場合は、一人で抱え込まず、専門家へ相談することをおすすめします。

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この記事を書いた専門家

宅地建物取引士杉山善昭
宅地建物取引士杉山善昭任意売却の専門家
(有)ライフステージ代表取締役
「不動産ワクチンいまなぜ必要か?」著者、FMヨコハマ、FMさがみ不動産相談所コメンテーター、TBSひるおび出演。単に家を売るだけでなく「お金に困らない暮らし」を提案している
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