【競売のデメリット追加編】競売は木造住宅の評価が低くなる?任意売却との違いを不動産評価の仕組みから解説

住宅ローンの返済が厳しくなり、「最終的には競売でも仕方ない」と考えてしまう方も少なくありません。しかし、競売と任意売却では、不動産の評価方法そのものに違いがあることをご存じでしょうか。特に木造住宅では、競売の評価方法によって建物価格が一般的な売却よりも低く算定されるケースがあります。今回は、競売の評価書をもとに見えてきた「木造住宅の評価」に焦点を当て、任意売却との違いや競売のデメリットについて詳しく解説します。

競売では建物の評価が想像以上に低くなることがある

競売には「市場価格より安く売れる」というイメージがありますが、その背景には裁判所が作成する不動産評価書の存在があります。

実際に評価書を確認すると、木造住宅について一般的な不動産査定とは異なる評価方法が採用されていることが分かります。

これが結果として、建物価格をさらに押し下げる要因になっているのです。

競売の評価書とは?

裁判所が不動産鑑定士へ依頼して作成される

競売が申し立てられると、裁判所は不動産鑑定士に対して対象不動産の評価を依頼します。

鑑定士は現地調査を行い、
・建物の構造
・使用されている建材用されている建材
・築年数
・周辺環境
・土地の相場
などを確認し、適正と思われる価格を算出します。

その結果が「不動産評価書」としてまとめられ、競売物件の資料として公開されます。

土地と建物は別々に評価される

評価書では、
・土地の価格
・建物の価格
がそれぞれ算定されます。

土地については周辺相場を参考に評価されますが、建物については「新築時の価格」と「経年劣化」を考慮して現在の価値が計算されます。

木造住宅は築24年で評価がゼロになる?

競売では24年を基準に評価される

評価書を確認すると、木造住宅は築24年で建物価値がゼロになるという考え方で計算されているケースがあります。

これは税法上の耐用年数を参考にしていると考えられます。

もちろん建物が24年で住めなくなるという意味ではありません。

あくまで競売における評価上の考え方です。

一般的な不動産査定では30年で評価することが多い

一方、不動産会社が通常の売却や任意売却で査定を行う場合は、木造住宅を30年程度で価値がゼロになる前提で評価することが少なくありません。

つまり、
・競売:24年
・一般売却、任意売却:30年
という違いがあります。

この6年間の差が建物価格に大きな影響を与えます。

実際に比較するとどれくらい違うのか

例えば、新築時の建物価格が1,500万円だったとします。

30年で評価する場合

30年間で価値がゼロになると考えると、
・年間約50万円ずつ価値が減少

築20年なら、
残り10年分の価値が残るため、
約500万円程度
という評価になります。

24年で評価する場合

一方、24年でゼロになる場合は、
年間約62万5,000円ずつ価値が減少します。

築20年になると、
残り4年分しか評価されず、
約250万円前後
という評価になります。

つまり、同じ建物でも評価額が半分近くになるケースもあるのです。

新築時の建物価格そのものも低く見積もられる傾向

競売では、築年数だけが問題ではありません。

建物の出発点となる「再調達価格(新築価格)」も、一般的な査定より低めに設定されることがあります。

住宅を建てるには、
・建築費
・設計費
・地盤改良費
・各種付帯工事
など、多くの費用がかかります。

実務ではこうした費用も考慮して建物価格を算定しますが、競売評価では建材や仕様を基準に算出されるため、結果として低めになるケースがあります。

つまり、
・新築価格が低め
・さらに24年で価値がゼロ
という二重の要因によって、建物評価が低くなりやすいのです。

なぜ評価方法の違いが売却価格に影響するのか

建物の評価額は、土地と合わせた不動産全体の価格を決める重要な要素です。特に築20年前後の木造住宅では、建物の価値がまだ十分に残っているケースも少なくありません。しかし、競売では24年で価値がゼロになる考え方が採用されるため、本来であれば市場では評価されるはずの建物価値が十分に反映されないことがあります。

例えば、建物の状態が良好で、定期的なメンテナンスやリフォームが行われている住宅でも、競売の評価は一定の基準に沿って算定されるため、実際の住まいとしての価値や買主が感じる価値まで細かく評価されるわけではありません。その結果、「まだ十分住める家」であっても、評価額だけを見ると想像以上に低い金額になってしまうことがあります。

一方で任意売却や一般の不動産売却では、市場で実際に買いたい人がどのくらいいるのか、建物の管理状態や周辺環境、リフォーム履歴なども含めて価格が決まります。そのため、建物本来の価値をより反映した売却価格になりやすく、結果として競売よりも高く売却できる可能性が高まるのです。

評価方法が間違っているわけではない

ここで誤解してはいけないのは、競売の評価方法が「間違っている」ということではありません。

裁判所は一定の基準に従って評価を行っています。

ただし、不動産実務で広く採用される査定方法とは異なるため、一般市場で売却する場合と比較すると、不利な価格になりやすい傾向があるということです。

任意売却なら建物の価値をより反映しやすい

任意売却では、市場価格をもとに売却活動を行います。

そのため、
・建物の状態
・リフォーム履歴
・実際の需要
なども考慮されやすくなります。

結果として、競売より高値で売却できる可能性が高くなります。

任意売却のメリット① 残る借金を減らせる可能性

売却価格が高くなれば、その分住宅ローンの返済に充てられます。

つまり、
・残債が減る
・返済負担が軽くなる
・自己破産を回避できる可能性が高まる
という大きなメリットがあります。

住宅ローン問題では、「いくらで売れるか」は今後の生活を左右する重要なポイントになります。

任意売却のメリット② プライバシーを守りやすい

競売では、物件情報がインターネット上で公開されます。

さらに、購入希望者が室内を確認できない代わりとして、建物内部の写真が掲載されることがあります。

住んでいる家の内部が公開されることに、大きな精神的負担を感じる方も少なくありません。

一方、任意売却では通常の不動産売買と同じように販売活動を行うため、競売のような形で室内写真が広く公開されることは基本的にありません。

プライバシーの面でも安心できる点は、大きな違いといえるでしょう。

「競売でもいい」と考える前に知っておきたいこと

住宅ローンの返済が苦しくなると、「もう競売でも仕方ない」と考えてしまうことがあります。

しかし実際には、
・建物評価が低くなる
・売却価格が下がりやすい
・残る借金が増える可能性がある
・プライバシーへの負担もある
など、競売にはさまざまなデメリットがあります。

もちろん事情によって最適な方法は異なりますが、任意売却という選択肢を検討することで、より有利な条件で解決できる可能性があります。

まとめ

競売では、木造住宅が築24年で価値ゼロとみなされる評価方法が採用されることがあり、一般的な不動産査定より建物価格が低く算定されるケースがあります。さらに、新築時の建物価格自体も低めに評価される傾向があるため、結果として売却価格にも影響が及びます。一方、任意売却は市場価格を反映した査定が行われるため、より高く売却できる可能性があり、残債の圧縮やプライバシー保護といったメリットも期待できます。住宅ローンの返済で悩んでいる場合は、「競売しかない」と決めつける前に、自分に合った解決方法を専門家へ相談し、選択肢を比較・検討することが大切です。

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この記事を書いた専門家

宅地建物取引士杉山善昭
宅地建物取引士杉山善昭任意売却の専門家
(有)ライフステージ代表取締役
「不動産ワクチンいまなぜ必要か?」著者、FMヨコハマ、FMさがみ不動産相談所コメンテーター、TBSひるおび出演。単に家を売るだけでなく「お金に困らない暮らし」を提案している
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