不動産投資の利回りは信用してはいけない?パンフレットの「想定利回り」に潜む落とし穴を徹底解説
不動産投資を検討する際、多くの人が最初に注目するのが「利回り」です。しかし、パンフレットや広告に掲載されている利回りをそのまま信じてしまうと、思わぬ失敗につながることがあります。
実は、利回りには「見せ方」があり、数字だけでは本当の収益性を判断できません。今回は、不動産投資で失敗しないために知っておきたい「利回りの落とし穴」と、本当に確認すべきポイントについて解説します。
利回りは高ければ安心というわけではない
投資用不動産の広告には、必ずと言っていいほど「利回り○%」という表記があります。
例えば、
・年間家賃収入:100万円
・物件価格:1,000万円
であれば、
100万円 ÷ 1,000万円=10%
となり、「利回り10%」と表示されます。
もちろん、一般的には利回りが高い物件ほど投資効率が良いと考えられます。しかし、この数字だけで判断するのは非常に危険です。
数字は事実を表しているように見えても、必ずしも実態を表しているとは限りません。
「想定利回り」の意味を理解しているでしょうか?
想定利回りとは何か
広告をよく見ると、「想定利回り」という表記が使われていることがあります。
これは、
「すべての部屋が満室になった場合に得られる家賃収入を前提とした利回り」
という意味です。
つまり、現時点で空室がある場合でも、将来的にすべて埋まることを前提に計算されています。
実際の収益とは大きく異なることも
例えば10戸あるアパートで、現在8戸しか入居していない場合を考えてみましょう。
広告では想定利回り10%となっていても、
実際の家賃収入は約8割です。
つまり、実質的な利回りも大きく下がります。
広告に書かれている数字と、実際に得られる収益は別物だということを理解しておく必要があります。
想定家賃は実現できるとは限らない
さらに注意したいのが、「想定家賃」です。
広告には、
「このくらいの家賃で貸せます」
という金額が掲載されていることがあります。
しかし、この家賃が必ず実現する保証はありません。
実際にはパンフレットの小さな文字で、
想定家賃であり、実現を保証するものではありません
という注意書きが記載されているケースがほとんどです。
法律上も一定の範囲で認められているため、広告の数字だけを信じるのは危険です。
満室だから安心とは限らない
「現在満室なら安心だろう」と考える方も少なくありません。
しかし、満室という事実だけでも判断できません。
実際にあったケース
あるアパートでは、購入後に入居者が次々と退去してしまいました。
理由を調べると、
本来の家賃相場よりかなり高い家賃設定になっていたのです。
さらに驚くことに、
その高い家賃で入居していたのは販売会社の関係者だったという事例もあります。
つまり、
利回りを高く見せるためだけに、一時的に満室を演出していたということです。
もちろん、このようなケースは一般的ではありませんが、実際に起こり得る事例として知っておくべきでしょう。
購入前に必ず確認したいポイント
投資用不動産を購入する際には、広告だけではなく、以下の点を必ず確認してください。
各部屋の実際の家賃
部屋ごとに、
・現在いくらで貸しているのか
・いつから入居しているのか
を確認しましょう。
周辺相場との比較
もっと重要なのが、
現在の家賃が周辺相場と比べて高すぎないか
という点です。
例えば周辺では6万円が相場なのに、
その物件だけ8万円で貸しているのであれば注意が必要です。
退去後には相場まで家賃を下げなければならず、収益が大幅に落ちる可能性があります。
この確認をするだけでも、多くのリスクを避けることができます。
利回りに共益費が含まれていることもある
広告の利回りは、
家賃+共益費
で計算されているケースもあります。
共益費とは?
共益費とは、
・廊下の照明
・共用部分の清掃
・建物の維持管理
など、入居者全員の利益のために使われる費用です。
そのため、本来は大家の利益そのものではありません。
もちろん、この計算方法自体は違法ではありません。
しかし、投資判断をする際には、
純粋な家賃収入だけで利回りを計算した方が実態に近い
と言えるでしょう。
管理費を忘れると収益を見誤る
さらに見落とされがちなのが管理費です。
多くの大家さんは、
・入居者募集
・家賃回収
・クレーム対応
・建物管理
などを管理会社へ依頼します。
その場合、
家賃収入の約5~10%程度を管理費として支払うことになります。
例えば月額100万円の家賃収入があれば、
5万~10万円程度が管理費として差し引かれます。
つまり、
広告に掲載されている利回りより、実際の収益はさらに低くなるということです。
実質利回り6%未満は慎重に判断する
不動産投資では、
実際に得られる家賃収入で計算した実質利回り
が非常に重要です。
目安として、
実質利回りが6%未満の物件は慎重に考えるべき
と言えます。
もちろん、
・将来的な再開発
・地価上昇
・人気エリア
など特殊な事情がある場合は例外もあります。
しかし、一般的な賃貸経営であれば、
投下した資金に対して十分な家賃収入が得られない物件は、投資対象として魅力が低い可能性があります。
なぜ「6%」が一つの判断基準なのか
実質利回り6%という数字は絶対的な基準ではありません。しかし、多くの投資家が一つの目安として考えているラインでもあります。
なぜなら、不動産投資では家賃収入だけでなく、固定資産税や修繕費、管理費、空室期間の家賃減少など、さまざまなコストが発生するからです。広告上の利回りが6%だったとしても、実際にはこれらの費用を差し引くことで手元に残る利益はさらに少なくなります。
そのため、購入時点で実質利回りが6%を下回る物件は、少しでも家賃が下落したり空室が発生したりすると、収益が大きく悪化する可能性があります。特にローンを利用している場合は、毎月の返済とのバランスが崩れやすくなるため注意が必要です。
売却益よりも家賃収入を重視する
不動産投資では、「将来高く売れるかもしれない」という期待だけで物件を購入するのはおすすめできません。
もちろん、再開発や人口増加などによって資産価値が上がるケースもあります。しかし、それは将来の予測であり、確実ではありません。
一方で、毎月の家賃収入は賃貸経営の基本となる収益です。投資した資金に対して、どれだけ安定した家賃収入を得られるかを重視することが、長期的に成功する不動産投資につながります。
「出口戦略」も大切ですが、まずは毎月の収益でしっかり利益が出る物件かどうかを見極めることが、失敗を防ぐ最大のポイントと言えるでしょう。
すでに購入している人は損切りも検討を
もし現在所有している投資物件が、
実質利回り6%未満で、さらにローンを利用している場合は注意が必要です。
収益性が低いまま保有を続けると、将来的な負担が大きくなる可能性があります。
投資の世界には、
「見切り千両」
という言葉があります。
損失を認めて早めに判断することで、より大きな損失を防げるケースも少なくありません。
一方で、ローンがなく自己資金のみで保有している場合は、家賃収入がある限りすぐに経営破綻へつながるわけではありません。
重要なのは、自分の物件の収益性を正確に把握し、冷静に判断することです。
まとめ
不動産投資では、広告に掲載されている利回りだけで物件を判断するのは非常に危険です。「想定利回り」は満室時を前提とした数字であり、実際の家賃収入とは異なる場合があります。また、想定家賃が相場より高く設定されていたり、共益費や管理費を考慮していなかったりすると、実際の収益は大きく下がることもあります。購入前には各部屋の実際の家賃や周辺相場、管理費などを必ず確認し、実質利回りで判断することが重要です。数字だけに惑わされず、物件の実態を見極めることが、不動産投資で失敗しないための最大のポイントと言えるでしょう。
この記事を書いた専門家

- 任意売却の専門家
-
(有)ライフステージ代表取締役
「不動産ワクチンいまなぜ必要か?」著者、FMヨコハマ、FMさがみ不動産相談所コメンテーター、TBSひるおび出演。単に家を売るだけでなく「お金に困らない暮らし」を提案している
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