任意売却手法その2 買戻し(再売買)

買取という任意売却一旦売却しますが、一定期間経過後に買い戻す(再売買をする)任意売却の手法です。

動画でもご覧いただけます。

民法の規定の買戻しとは?

よく混同されがちなことがありますので、まずは説明したいと思います。
民法の規定に「買戻し」という条文があります。

民法の規定の買戻しとは、不動産の売主の希望により、当時売却した金額で買主から買い戻すことができるという内容です。
公社などが分譲したマンションを投資家が投資目的で購入させないために利用された条文です。

値上がり期待で分譲マンションを購入した人が転売をしようとしても、値が上がっていれば当時の売主が当時の値段で買い戻せるという仕組みです。

任意売却時の買戻し(再売買)とは?

民法上の買戻しは、売主が当時売った金額で買い戻すことを主眼としていますが、任意売却の買戻しの場合は違います。
当時売った金額で売主が買戻しをすることはできません。

一定金額のプレミアを付けて売買をしますので、買戻しというよりは「再売買」といった方が適切だと筆者は考えます。
任意売却においては「買戻し」という言葉の方が浸透していますので、この記事でも買戻しという言葉をつかっていますが、正しくは再売買。

例えば、3,000万円で当時売却した場合、再売買は3,300万円といった具合です。
300万円がプレミア(買主の利益)という事になります。

親や親族が購入する場合、プレミアを設定しなくても買戻し(再売買)ができる可能性はありますが、その他の買主(事業者)の場合はボランティアではないのでプレミアが必要です。

どんな人が買戻し特約(再売買特約)付きの任意売却契約をするのか?

親子間売買が出来なかった方や近い将来に住宅ローンが組める予定の方にメリットのある任意売却手法となります。
リースバックと一緒に考えることも多いです。

メリット

メリットとしては
●買戻し(再売買)までの間は賃貸で住むことができるので、引越ししなくても済む
●居住できるので近所に知られない
●親子間売買のような贈与税の心配がなくなる

デメリット

デメリットとしては
●買取業者の経費、利益の分だけ買い戻し金額が高くなる
●買い戻せない場合引越しする事になる
●売却可能価格が低い

実際の事例

不動産買戻し
この方式は例えばこんなケースで使われます。
所有者は住宅ローン破綻しており、ブラックリストに載っているので新規の借入ができない。
所有者には長男がおり、父親名義の借金を肩代わりする事に同意しているが、勤続年数が1年で住宅ローンの審査対象である3年を満たさず直ぐに住宅ローンが組めない。
あと2年すれば、十分なローンが組める見込みがある。

このようなケースでは、一旦売却し長男の住宅ローンが利用できるまで、賃貸で借受けるということで、問題が解決できる可能性があります。

リースバックとの違い

リースバック。日本語で言えば売却後賃貸となりますが、こちらについてはこちらの記事で解説していますので、ご覧ください。

リースバックの場合、は買主と売買契約を締結すると同時に、買主と賃貸借契約も締結をします。
買戻し(再売買)については希望がない限り締結しません。

一方、買戻しだけの契約は、買主と売買契約を締結する際に、買戻し(再売買)の特約を付けます。
買戻しまでの間、賃貸をすることは強制ではありません。

従って、買戻し(再売買)特約付きの任意売却は、
●「買戻し特約(再売買)付き売買契約」+「賃貸契約」のパターン(売主は引越ししない)
●「買戻し特約(再売買)付き売買契約」のみのパターン(売主は一旦引越しする)
の二つのパターンがあるということになります。

実務上、賃貸契約付きのパターンになることが圧倒的に多いです。

任意売却のアフィリエイトサイトに注意

ちなみに、買戻し(再売買)をする前にはその不動産の相場を良く知るために「不動産一括査定サイト」を利用しましょうといったサイトがありますが、それは間違いです。

買戻し(再売買)をする際の価格は、単純売却する際の相場と全く違いますし、一括査定サイトは役に立ちません。
買戻し(再売買)をする前にはその不動産の相場を良く知るために「不動産一括査定サイト」を利用しましょうと書いてあるウェブサイトのほとんどは、アフィリエイターが作成したウェブサイトで、不動産一括査定を希望する人を誘導することだけでフィーをもらっている人です。

ウェブサイトがアフィリエイト目的のサイトかどうかを調べる方法は簡単です。
そのサイトの運営者若しくは会社概要を確認してください。

アフィリエイトサイトの場合、運営者や会社概要のページがない。若しくは個人名、ハンドル名で住所の記載もありません。

まとめ

リースバックとセットで使われることが多い買戻し特約付きの任意売却ですが、単純売却に比べると、売却可能価格は低くなってしまいます。

1円でも高く売却して負債を減らすのか?売却代金は安くなっても引越しをしなくて良い方を選ぶのか?
それぞれ置かれた背景が違いますからご判断も様々だと思います。

ただ、売却代金が返済金額を下回る場合、債権者の同意を得る必要がありますので、単純売却するよりも安い金額では債権者の同意が得られませんので注意が必要です。

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この記事を書いた専門家

宅地建物取引士杉山善昭
宅地建物取引士杉山善昭任意売却の専門家
(有)ライフステージ代表取締役
「不動産ワクチンいまなぜ必要か?」著者、FMヨコハマ、FMさがみ不動産相談所コメンテーター、TBSひるおび出演。単に家を売るだけでなく「お金に困らない暮らし」を提案している
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