任意売却5つのデメリットとよくある8つの勘違い

「任意売却について少し調べたけれど、良いことばかり書いてあって悪いことは一つも無いなんて、信じられない。」
任意売却を検討している途中の方で、このような印象をお持ちの方はいませんか?
こんにちは、住宅ローン緊急相談室の杉山善昭です。
今回は「任意売却のデメリット」のことについて分かりやすく解説をしたいと思います。
任意売却の事を調べてみると、確かにどこのウェブサイトを見ても「良いところ」ばかりが書いてありますね。
確かに、任意売却は競売に比べて金銭的、精神的にメリットがある売却方法で、残っている住宅ローンを全額返済しなくても売却可能ですからメリットがたくさんあるように見えます。
フラット35の公式サイトでも任意売却をするメリットについて触れています。
画像出典:フラット35
1.通常の不動産取引として売買されるため、一般的に競売より高値で売却できることが期待され、お客さまの負債の縮減につながります。
出典:フラット35
2.任意売却パンフレットに定める手続にご協力いただける場合、お客さまの状況により売却代金から不動産仲介手数料、抹消登記費用等を控除できる場合があり、また、お客さまの残債務の状況等により延滞損害金減額のご相談に応じられる場合があります。
3.裁判所による手続である競売と比べると、ご自宅の引渡時期についての調整がしやすく、ご自宅退去後の生活設計が立てやすくなります。
但し、物事には裏と表があるように、任意売却にもメリットがある反面デメリットもありますので、任意売却会社の誰もが公開したがらないことを私、任意売却の専門家、杉山がデメリットをお伝えします。
よし!住宅を任意売却しよう!と行動を起こす前にこのページをしっかりお読み下さい。
↓4分ちょっとでご覧になれる動画があります
このページの目次
そもそも任意売却とは?
任意売却のデメリットを解説する前に、任意売却の基礎的なことをおさらいしておきましょう。
もう、既にご存知の場合は次項からお読みください。
尚、任意売却とは?について詳しく解説した記事がありますので、ご覧ください。
住宅ローンの返済できないでいるとどうなってしまうのか?
住宅ローンの返済ができなくなってしまった場合、その不動産は銀行や保証会社、サービサーなどの債権者が差押えをし、裁判所で強制売却手続きが行われます。
裁判所で不動産を売却する手続きを「競売」といいますが、一般的な相場に比べて募集金額が半値近いので、所有者は金銭的に大きなダメージを受ける事になります。
金銭的なダメージもさることながら、住んでいるにも関わらず室内の写真をインターネットで公開されたりするという扱いをされることは、所有者にとって精神的にも非常につらいものだと言えます。
こうなる前にその不動産を売却できれば良いのですが、売却可能な価格よりも住宅ローンの残債が多い場合、その不足分を現金一括払いで用意しなければ、通常の不動産売却をすることはできません。
一方、後述する任意売却をすれば、不足分を用立てすることなく不動産を売却することができます。
もし任意売却をせず、住宅ローンの返済もできない状態で何もしないでいると、どうなってしまうのか?についてはこちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
任意売却とは債務者の救済措置
売却可能金額<住宅ローン残高という状態にもかかららず、不足分の捻出ができないと不動産を売ることすらできない。と言いました。
一般的には確かにその通りなのですが、任意売却(任売、任意売買とも呼ばれます)という特別な手法を使うと、不足分を捻出しなくても不動産が売却できます。
売却できる金額は、一般の市場売買とほぼ同額で売却することが可能なので、より高い価格での売却が可能になります。
一般相場に近い金額で売却ができれば、その分返済に回すことができ、結果、残る借金を減少させることができます。
また、本来手元の資金から支払う必要のある、売却に必要な売却経費は任意売却の場合、用意する必要はありません。
さて、良いことづくめのような任意売却ですが、メリットがあればデメリットもあるというものです。
次項から見ていきましょう。
ほとんどの任意売却会社は、デメリットの説明なく任意売却を勧めますが当事務所は本当のことをお伝えするのがモットーです。
メリットも大切ですがデメリットの事も知った上で、任意売却をするかしないかご判断することをお勧めしております。
任意売却のデメリット
銀行や保証会社の手続きや交渉の手間
通常の不動産売却においては、債権者である銀行と交渉することはありません。これは、売却時に住宅ローンの残額を一括で返済してしまう為、不動産の売却において債権者である銀行の同意が不要だからです。
しかし、任意売却の場合は売却代金で住宅ローン全額を払うことが出来ないため売却代金や返済する金額について、予め債権者の同意を得る必要が発生します。
また、売却に必要な売却経費や、引越し代の交渉を行なう必要があり、これらの交渉ごとは、その項目ごとに予備交渉、本交渉、確定報告が必要です。
複雑かつ繊細で忍耐力の必要な交渉が必要ですので、債務者であるあなたが行なう場合、かなり大変で任意売却の最大のデメリットです。
任意売却会社に依頼しても交渉は自分でするように言われることもあるようです。任意売却を依頼する場合、債権者との交渉は誰がやるのか?という点についてよく確認していただきたいと思います。
※当事務所に任意売却のご依頼をいただいた場合、これらの交渉は当事務所で行います。
必ず成功するとは限らない
不動産を売却する価格について、債権者の同意が必要です。また保証人がついている場合も保証人の同意が必要です。
債権者や保証人の同意が得られない場合、任意売却はできません。
任意売却業務に不慣れな不動産会社に依頼してしまうと、事前に債権者と協議することなく勝手に価格を設定し販売してしまうことがあります。
結果、債権者の心証を害してしまい同意を得ることができず、せっかく探した買主を断ったりしなければならなくなります。
断るだけで済むだけでなく、買主から損害賠償の請求を受けることもありますので細心の注意が必要です。
時間に限りがある
住宅ローンの返済が滞ると、債権者である銀行は法的手続きで貸した資金の回収を図ろうとします。
法的手続きで、貸し金を回収することを「競売」言います。
競売は一旦申し立てると、自動的に手続きが進んでいき強制的に不動産が売却されてしまいます。任意売却は、この競売が完了するまでの間に成功させる必要があり、間に合わないと、競売での強制売却となってしまいます。
任意売却業者を選ぶ
どこの不動産会社に任意売却を依頼するか、自ら選択することになります。
不動産会社を紹介する債権者もありますが、依頼しない方が無難です。
理由は、債権者が紹介する不動産会社は債権者に都合の良いように売却スケジュールを決めてしまうことが多いからです。
ご自身で不動産会社を探す場合、任意売却経験が浅い会社ですと、段取りの不手際、債権者と交渉する能力の不足、買主への説明スキルの不足などが考えられます。
任意売却は限られた時間の中で成功させる必要があるので、経験が豊富で且つ、処理能力がある会社に依頼する必要があります。
不動産屋ならどこでも頼めるんじゃない?と思うかもしれませんが、それは違います。
確かに宅地建物取引業の免許があれば、任意売却業務を行うことは可能です。
しかし、不動産会社にはそれぞれ得意分野があります。
売買や賃貸や有効活用など、一口に不動産業と言っても業務は多岐に渡ります。
一番簡単に見分ける方法は、その不動産会社のホームページを見る事です。
一番目立つところに、任意売却のことが記載されていればメイン業務で任意売却をしていることが分かります。
内覧の立会い

競売の場合は、購入希望者に家の内部を見せる必要はありませんが、任意売却は一般の売却と同じように、購入希望者に家の内部を見学させる必要があります。
予め内覧予約の連絡があるとは言え、見学者が必ず購入するとは限らないので、見学者の数だけ内覧に立ち会あう必要がありその分時間が取られます。
内覧希望者が依頼した不動産会社が案内役をしてくれますので、内覧者にセールスをしたり、お茶を出したりする必要はありません。
——-【任意売却のデメリットここまで】——
以上が任意売却のデメリットとして考えられるものです。状況によって該当するものと、しないものがあると思います。
次は、任意売却のデメリットと誤解されているものについての解説をしたいと思います。
デメリットと誤解されているもの
では、次に任意売却のデメリットと誤解されやすいものを挙げていきますね。
引っ越さなければいけない
一般の売却の場合、買主は自己居住用として購入するので、引越しをする必要があります。
しかし、任意売却の場合は、必ず引っ越さなければならない。ということはありません。
一口に任意売却といってもいくつかの種類があり、引越しをしなくても良いものもあります。
引越しをしない任意売却を「売却後賃貸」「リースバック」と呼びます。
詳しくは任意売却手法その5 売却後賃貸という記事で解説していますのでご覧ください。
借金が残る
任意売却をしたからと言って、借金が残るとは限りません。
むしろ競売よりも、売却できる金額が高いことが多く、債務を全額払えた事例もあるほどです。
尚、残った債務の処理の方法は概ね3つの方法があります。
任意売却後に残った借金の処理の仕方をご覧下さい。
保証人に迷惑がかかる
確かに、不動産を売却しても借入が残ると保証人にも請求されます。しかし、保証人に請求がされるのは、任意売却をしたからではなく、住宅ローンの返済が滞ったからです。
また、競売で売却され多額の債務が残ることを考えれば、一般的に競売よりも高い値段で売却できる可能性のある、任意売却を行い少しでも債務を減らすことは、保証人の負担を軽減させる効果があります。
つまり、保証人にもメリットになるのです。
ブラックリストに載る
これもよく誤解されやすい事です。
任意売却は一般的に、住宅ローンの返済の遅滞→代位弁済→任意売却(又は競売)という流れになりますが、いわゆるブラックリストに載るタイミングは住宅ローンの返済の延滞のタイミングとなります。
従って、任意売却若しくは競売になることと、ブラックリストに載るということに直接的な因果関係はありません。
逆に、返済が遅れる→ブラックリストに載る→任意売却や競売となる。という順番になります。
自己破産しなければいけない
任意売却をしたとしても、競売で家を取られたとしても、イコール自己破産をしなければいけない。ということはありません。
自己破産とは、残った負債を返済しきれない場合に、合法的に返済をせずに済む方法です。
任意売却後に残った借金の処理の仕方という記事で解説をしていますが、、自己破産しない解決方法もあります。
会社をクビになる
ブラックリストは金融機関以外は見ることができません。競売の情報は裁判所で見ることが出来ます。
しかし、「任意売却」という情報は一般に公開されることはありません。破産をすれば、一部の業種(弁護士、税理士、宅地建物業者、生命保険募集人等)で資格停止となりますが任意売却をしただけでは、資格停止とはなりません。
また、仮に破産をしたからと言って、会社は破産の手続きがなされたことを理由として破産者を解雇することはできません。任意売却でも同様です。
妻、子供に借金が残る
借金の支払い義務があるのは本人だけですから、配偶者や子供は無関係です。
但し、債務者である本人が死亡すれば、相続人に負債が相続されますので注意が必要です。
但し、相続放棄の手続きを行なえば、負債は相続されません。
債務者が生存している限り、その負債は妻や子供に移ることはありません。
時間がかかる
時間とは相対的なものなので、時間がかかるという表現はなかなか難しいのですが、任意売却は住宅ローンの延滞をしていないと取り掛かることができませんので、住宅ローンを滞納していない人にとってはすぐに販売活動に入ることができない。と言えます。
一方、競売に比べて任意売却の所要時間は短い(早くできる)ので、競売にかかる時間と比較した場合は「時間がかからない」と言えます。
引越しの荷造り、引越しの費用、気持ちの準備などのことを考えれば、任意売却するまでの時間はある程度確保できた方が良い事が多いです。
まとめと注意
いかがでしたか?
メリットもたくさんある任意売却ですが、デメリットもあることがお分かりいただけたのではないでしょうか?
また、デメリットだと勘違いしていたこともあったかと思います。
最後に注意していただきたい事について触れてみます。
任意売却を検討するということは、経済的に困窮している状態であることは想像に難しくありません。
一部の悪徳業者が、お金に困っている人を食い物にしているということです。
例えば、「引越し代●●万円進呈」、「売却代金の●%キャッシュバック」、というものです。
弱った気持ちに付け込んで、実現不可な甘い条件を提示する会社が後を絶ちません。
ウェブサイトに堂々と記載されていることでも最後の最後で「精一杯努力したのですが、今回は滞納状況がひどいのでダメでした」と話をひっくり返してしまうのです。
冷たいようですが、騙されてしまう原因は「あなたの欲」です。
世の中にうまい話しなどない。という一点だけ忘れないでいただきたいと思います。
私達は任意売却の注意点や気をつけるべきポイント、競売との違いについて、わかりやすくアドバイスとサポートを行ないながら任意売却業務を承っております。
正当な方法で任意売却をしたいと考えているなら、下記より無料相談をお申込みください。
この記事を書いた専門家

- 任意売却の専門家
-
(有)ライフステージ代表取締役
「不動産ワクチンいまなぜ必要か?」著者、FMさがみ不動産相談所コメンテーター、TBSひるおび出演。単に家を売るだけでなく「お金に困らない暮らし」を提案している
●プロフィールをもっと見る
●この専門家に無料電話相談をする:TEL0120-961529※タップで電話かかります。
最新の投稿
任意売却の専門家杉山善昭コラム2023.03.23住宅ローン返済中に本人が自己破産。連帯保証人はどうなるのか
ご相談事例2023.03.23知り合いの不動産屋に任意売却を依頼して失敗
税金関連記事2023.03.23税金の分納していても差押えする理由
住宅ローン延滞関連記事2023.03.22住宅ローンが払えなくなったら、結局どうなるのか