【第9話】驚愕の利回りで不動産投資物件購入し失敗

投資用不動産を購入する際の指標となる利回り。
銀行金利が0.1%というご時世の中、不動産投資の利回りは一見高そうに見えます。

しかし、銀行の金利と不動産投資で決定的に違うのはリスクです。
銀行は破たんリスクしかありませんが、不動産の場合は空室リスク、維持管理リスク等がある分だけ想定利回りが高くなければ事業として採算があいません。

今回は、驚愕の利回りで購入してしまって破たんした事例と破たんしないための想定利回りについて、
任意売却の専門家杉山善昭が解説しています。

こんにちは。任意売却の専門家、杉山善昭です。

今回は不動産投資のお話です。もしかしたらこれから、不動産投資の物件を買おうと思っている方もいらっしゃると思います。なので注意喚起の意味も含めてお話をしていきたいと思います。

ついこの間ご相談に来ていただいた方のお話です。例によって不動産投資セミナーに行き、将来的な不安を植え付けられてしまい、不動産投資を勧められ半ば洗脳されたような状態で、不動産物件を買ってしまったそうです。それに加えてセットでついてくるようなお話ですが、住宅ローンを使って偽装をし、投資用物件を買ってしまった話です。

家賃が3ヶ月遅れたと言うことで、督促しても電話に出ない、着信拒否をする、というようなお先真っ暗な状態で、私どもの相談所にいらしたわけです。書類を見てみますと、やはりべらぼうに高い金額で買ってるなと思いました。

一番驚いたのは利回りです。利回りというのは、投下した資本に対してリターンが何パーセントか、ということです。例えば1000万のお金を銀行に預けて、1%の利息がつくと年間10万円の金利が入ってきます。この利回り1%というのは不動産も同じです。

この利回りは、銀行の場合0.1パーセントほどの話になりますが、不動産の世界においてはどんなに低くても6%を切ったら、その不動産投資は絶対にうまくいかないというのがあります。なぜかと言うと不動産投資というのはまず初めに空室リスクがあります。入居者が入れ替わる時に、1ヶ月~3ヶ月空くかもしれません。それからマンションなどの場合その受け取った家賃から、管理費と修繕積立金を払わなければならないというリスク。それから固定資産税を負担しなければならないというリスク。それから入居中に何か壊れてしまった時、例えば給湯器が壊れてしまった場合、給湯器を直すとなると15万円ほどお金が飛んでいきます。こういった様々なリスクを考えると、最低でも6%程度で回ってる物件でないと買ってはいけません。

このご相談の利回りはなんとなんと4.5%でした。すごい数字で買っていました。悪いのは依頼者様ではなく、騙した方ではありますが、本当に洗脳に近いことをやっていると思います。固定資産税とローンが払えるギリギリの状態で、35年なんか続きません。35年後は築35年になっています。家賃が新築時と35年の時と同じなわけがありません。破綻はもう明らかに分かる物件です。もし家賃が入ってれば、それでなんとかなっていましたが、家賃が滞ってしまったので当然即破綻です。さらに家賃が入ってる時にお金が貯まらないので貯蓄も出来ません。どっからどう見ても破産しまうということを説明して、依頼者様も「そうなんですか」とおっしゃっていました。

しかし、日本には J REIT という株のようなものがあります。これは不動産の運営会社が、投資家から資金を募り、日本全国にある不動産を買い、そしてそれらを賃貸に回して得た収入の9割を投資家に分配するというものです。なので一般の株と比べると J REIT の配当は、利回りが高くて6%ぐらいのものがゴロゴロあります。J REIT を購入すると、オーナーは基本的に何もすることはありません。現地に行くこともなければ空室になっても困りません。一方、実物の不動産買うとそこから空室リスクがあり、管理費などの経費や固定資産税の支払いなどで、お金がなくなっていきます。借金はリアル、入ってくるお金は幻のような状態です。

残念ながらこの投資は大失敗なので、どう手放すかという話になりました。しかし、手放す苦しみは一時です。この状態で35年間苦しむことを考えれば、手放すのが最善の策です。ということで手放すことになったわけですが、そもそも4.5%の物件を買ってなければ、今の苦しみを味わう必要はありませんでした。私どもの事務所は、買ってしまった方の救済をしている事務所ですが、これから買おうとしている方がもしこの放送を聞いていましたら、本当に大丈夫なのかというを今一度確認していただきたい、そう思って今回の放送でお話をすることにしました。

今回はここまでです。また次回お会いしましょう。