競売で家を失ったら住宅ローンはどうなる?借金は帳消しにならない現実を徹底解説
住宅ローンの返済が苦しくなり、「このまま競売になったら借金は帳消しになるのだろうか」と考えたことはありませんか。家を失うだけでも大きな不安ですが、その後の人生に大きく影響するのが“残る借金”の問題です。本記事では、競売の流れと売却後に住宅ローンがどうなるのか、よくある誤解と現実をわかりやすく解説します。
このページの目次
- 1 競売で家を売られたら借金はなくなるのか?
- 2 住宅ローンの返済が遅れたときに起こる一連の流れ
- 3 滞納が続くと「期限の利益喪失」が通知される
- 4 保証会社・債権回収会社への移管
- 5 競売申し立ての予告通知が届く
- 6 競売開始決定と裁判所の手続き
- 7 執行官と不動産鑑定士による現地調査
- 8 競売物件として公開される情報
- 9 競売で家が売却された後の流れ
- 10 売却代金はすべて返済に充当される
- 11 売却代金で返済しきれない場合どうなる?
- 12 競売費用も借金に上乗せされる
- 13 「家を取られたら借金も終わり」は日本では通用しない
- 14 競売後に届く残債の請求書
- 15 競売前・競売中でもできる選択肢
- 16 住宅ローンで困ったら早めの相談が重要
- 17 競売後の生活はどうなる?よくある不安と現実
- 18 信用情報(ブラックリスト)への影響
- 19 精神的ダメージと向き合うことも大切
- 20 まとめ
競売で家を売られたら借金はなくなるのか?
結論:競売にかけられても借金は帳消しにならない
結論からお伝えすると、競売で自宅が売却されても住宅ローンの借金が自動的になくなることはありません。
これは多くの方が誤解しやすいポイントですが、日本の住宅ローン制度では「家」と「借金」は別物として扱われます。
たとえ担保である家を失ったとしても、売却代金で返済しきれなかった分の住宅ローンは、そのまま債務として残ります。
住宅ローンの返済が遅れたときに起こる一連の流れ
返済遅延の初期段階:電話や書面での督促
住宅ローンの返済が1回でも遅れると、金融機関から連絡が入ります。
最初は比較的穏やかな内容で、
・「引き落としができていません」
・「〇日までにご入金ください」
といった通知が電話や郵便で届きます。
この段階であれば、すぐに支払うことで大きな問題に発展することはほとんどありません。
滞納が続くと「期限の利益喪失」が通知される
返済の遅れが2〜3か月、あるいはそれ以上続くと、状況は一変します。
金融機関から届くのが、期限の利益喪失通知です。
期限の利益とは?
期限の利益とは、「分割で返済できる権利」のことです。
これを喪失すると、以下のような扱いになります。
・毎月10万円ずつ返済 → 不可
・残っている住宅ローン全額を一括返済 → 必要
たとえば、住宅ローン残高が3,000万円ある場合、「〇日までに3,000万円全額を返済してください」という通知が届くことになります。
保証会社・債権回収会社への移管
金融機関から管理が移される
期限の利益を喪失しても返済できない場合、金融機関は次の段階へ進みます。
それが、
・保証会社への代位弁済
・債権回収会社への債権移管
です。
これ以降は、交渉の余地がほとんどなくなり、「全額返済」を前提とした請求が続くことになります。
競売申し立ての予告通知が届く
債権者からは、
・「〇日までに全額返済できない場合、競売を申し立てます」
という通知が送られてきます。
この時点で、毎月分だけ払うから待ってほしい、というお願いは基本的に通りません。
競売開始決定と裁判所の手続き
競売開始決定とは何か?
返済が行われないまま期限を迎えると、債権者は裁判所に競売を申し立てます。
裁判所がこれを受理すると、「競売開始決定」が出されます。
この決定が出ると、競売手続きは正式にスタートします。
執行官と不動産鑑定士による現地調査
競売開始決定後、裁判所の執行官と不動産鑑定士が自宅を訪れます。
・建物の状態
・周辺環境
・使用状況(居住中か空き家か)
などを確認し、競売の基準となる評価額を算定します。
競売物件として公開される情報
裁判所のホームページで誰でも閲覧可能
競売物件になると、
・物件情報
・写真
・入札期間
・開札日
などが裁判所の公式サイトで公開されます。
淡々と事務的に進められますが、当事者にとっては非常に現実味のある、精神的負担の大きいプロセスです。
競売で家が売却された後の流れ
買主が決まり、売却代金が支払われる
入札期間が終了し、最高額を提示した買主が落札者となります。
裁判所から買主に対して「〇日までに代金を納付してください」という通知が出されます。
売却代金はすべて返済に充当される
買主が代金を支払うと、そのお金は次のように使われます。
1.住宅ローンの返済
2.滞納している税金(条件による)
3.競売手続き費用
売却代金を自由に使うことはできません。
売却代金で返済しきれない場合どうなる?
具体例で考える残債の仕組み
・住宅ローン残高:3,000万円
・競売での売却価格:2,000万円
この場合、1,000万円の借金が残ります。
競売価格は市場価格の約5〜6割になることが多く、残債が発生するケースは非常に多いのが現実です。
競売費用も借金に上乗せされる
競売には、
・申立費用
・執行官費用
・鑑定費用
など、60万円〜120万円程度の費用がかかります。
これらは一時的に金融機関が立て替えますが、最終的には債務者の借金として加算されます。
「家を取られたら借金も終わり」は日本では通用しない
アメリカとの住宅ローン制度の違い
アメリカには「ノンリコースローン」と呼ばれる、
・家を引き渡せば借金はそれ以上追及されない
という仕組みのローンも存在します。
しかし、日本の住宅ローンはほぼすべてリコースローンであり、
・家を失っても
・借金は個人に残る
という仕組みです。
競売後に届く残債の請求書
一括請求が基本となる
競売が終了すると、債権者から以下のような通知が届きます。
・売却金額
・返済に充当された金額
・現在残っている借金の額
・支払期限
当然ながら、競売に至る状況で一括返済できる人はほとんどいません。
競売前・競売中でもできる選択肢
任意売却という方法
競売が始まる前、あるいは開始後でも、手続きが完了する前であれば任意売却という選択肢があります。
任意売却には、
・市場価格に近い金額で売却できる可能性
・引っ越し時期の調整がしやすい
・残債の交渉余地が残る
といったメリットがあります。
住宅ローンで困ったら早めの相談が重要
傷口を最小限にするために
競売が終わるまで「まだ時間がある」と思いがちですが、
早く動くほど選択肢は多く、負担は小さくなります。
専門家に相談することで、
・現在の立ち位置
・取れる手段
・今後の見通し
を整理することができます。
競売後の生活はどうなる?よくある不安と現実
住む場所はいつまでに出なければならないのか
競売で落札者が決まり、代金が納付されると、所有権は買主に移転します。この時点で、元の所有者には法的な所有権はありません。ただし、すぐに強制的に追い出されるケースばかりではなく、実務上は一定の猶予期間が設けられることが一般的です。
もっとも、買主が早期の明け渡しを求めてきた場合には、明渡訴訟や強制執行へと進む可能性もあります。その場合、裁判所からの通知や執行官の訪問があり、精神的な負担は非常に大きくなります。競売に至る前、あるいは競売手続き中に行動を起こすことが重要である理由の一つがここにあります。
信用情報(ブラックリスト)への影響
住宅ローンを長期滞納し、競売にまで至った場合、信用情報機関には事故情報が登録されます。いわゆる「ブラックリストに載る」状態です。
この情報は永久に残るわけではありませんが、
・新たなローンの利用
・クレジットカードの作成
・携帯電話の分割購入
などが、5年〜10年程度難しくなるのが一般的です。
競売そのものよりも、実はその前段階である「長期滞納」の時点で信用情報への影響は始まっている、という点も理解しておく必要があります。
精神的ダメージと向き合うことも大切
競売は、金銭的な問題だけでなく、精神的な負担も非常に大きい出来事です。
「近所に知られてしまうのではないか」
「家族にどう説明すればいいのか」
「これからの生活はどうなるのか」
こうした不安を一人で抱え込んでしまう方も少なくありません。しかし、競売や住宅ローン問題は珍しいことでも、恥ずかしいことでもありません。経済状況や環境の変化によって、誰にでも起こり得る問題です。
専門家に相談することで、金銭面だけでなく、今後の生活設計まで含めて整理できるケースも多くあります。早めに第三者を頼ることは、決して弱さではなく、生活を立て直すための現実的な選択です。
まとめ
競売で自宅を失っても、住宅ローンの借金が帳消しになることはありません。売却代金は返済に充当されますが、足りなければ残債として請求され、競売費用も上乗せされます。「家を取られたら終わり」という考えは日本では通用せず、事前に正しい知識を持つことが重要です。競売前や手続き中であっても、任意売却などの選択肢は残されています。住宅ローンで悩んだら、できるだけ早く専門家へ相談することが、将来へのダメージを最小限に抑える第一歩です。






