不動産投資トラブルの「出口」とは?家賃滞納・サブリース問題から抜け出すための実務的対処法
不動産投資は「不労所得」「安定収入」といった甘い言葉で語られることが多い一方、実際の現場では家賃滞納やサブリース契約のトラブルなど、深刻な問題に直面するケースが少なくありません。本記事では、不動産投資トラブルに巻き込まれてしまった場合、どのように出口を探し、どんな手順で問題解決を進めるべきかを実務目線で解説します。これから投資を考えている方にも、すでに悩みを抱えている方にも役立つ内容です。
このページの目次
不動産投資シリーズの位置づけと本記事のテーマ
本記事は「不動産投資をする前に」シリーズの第3回にあたります。
これまで以下のテーマについて解説してきました。
- 第1回:不動産投資勧誘の手口
- 第2回:現場で実際に起きている不動産投資トラブル10選
そして今回のテーマは、「不動産投資トラブルの出口」です。
不動産投資で問題が起きた際、「どう対処すればいいのかわからない」「誰に相談すればいいのか分からない」と悩まれる方は非常に多くいらっしゃいます。本章では、特に多い家賃滞納やサブリース契約トラブルを中心に、現実的な解決の流れを解説していきます。
家賃滞納が発生した場合にまずやるべきこと
督促を行わなければ契約解除はできない
家賃の支払いが遅れている場合、まず必要になるのは督促です。
契約書には「1か月滞納で解除」「2か月滞納で解除」と書かれていることも多いですが、書いてあるからといってすぐ解除できるわけではありません。
重要なのは、
「家賃が遅れている事実を、貸主側から正式に伝えているか」
という点です。
滞納が発生しているにもかかわらず、督促をしていない状態では、後の法的手続きが非常に不利になります。
督促は内容証明でなければならないのか?
よくある質問として、
「最初から内容証明郵便で督促しないといけないのですか?」
というものがあります。
結論から言うと、最初から内容証明である必要はありません。
家賃が1回遅れただけで、いきなり内容証明を送るのは、
・起きている事象
・取っている対応
このバランスが悪くなりがちです。
一般的には、
・書面での督促
・記録が残る形での通知
これを段階的に行うことが重要です。
電話での督促をおすすめしない理由
電話での督促は一見手軽ですが、あまりおすすめできません。
理由はシンプルで、記録に残らないからです。
後に内容証明を送る場合や、契約解除を検討する段階で、
・いつ
・どのような内容で
・どんな請求をしたのか
これを明確に示す必要があります。
その点、書面での督促は証拠として残るため、非常に重要な意味を持ちます。
一定期間の滞納後にできる「契約解除」
目安は「3か月以上の滞納」
賃貸借契約を解除するためには、一定期間以上の滞納が必要とされます。
実務上の目安としてよく言われるのが、3か月以上の滞納です。
もちろんケースバイケースではありますが、
・1か月や2か月の滞納
・改善の余地がある状況
この段階では、解除が認められにくいのが実情です。
契約解除の通知は内容証明がベスト
解除を行う際の通知は、内容証明郵便で行うことがベストです。
内容証明は、
・いつ
・誰が
・どんな内容を
送ったのかを郵便局が証明してくれる制度です。
ご自身で作成することも可能ですが、実務上は専門家に依頼することを強くおすすめします。
専門家に依頼すべき理由
個人で内容証明を書くと、つい次のようなことをしてしまいがちです。
・感情的な文章を書く
・本題と関係ない事情を書く
・「ついでに」余計なことを書く
これらは、後々相手から反論材料として使われる可能性があります。
専門家が作成する内容証明は、
・事実のみ
・法的に必要な要素のみ
で構成されており、非常に整理されています。
内容証明に「感情」は不要
契約解除という法的手続きにおいて、
感情は基本的に価値を持ちません。
・何度も電話した
・連絡が取れない
・非常識だ
こうした感情的な主張は、解除の正当性を高めるものではありません。
大切なのは、
・家賃がいつから
・いくら
・どのくらい滞納しているか
という「事実」です。
サブリース契約解除後に必要な実務対応
鍵・転貸借契約書の回収は「当たり前」ではない
サブリース契約を解除すれば、
「鍵や書類は当然返ってくる」
と思われがちですが、現実はそう簡単ではありません。
そもそも、
・家賃を支払わない
・連絡が取れない
こうした会社が、スムーズに対応する可能性は低いのです。
連絡が取れない場合は現地確認が必要
鍵や書類が返却されない場合、
・実際に入居者がいるのか
・空室なのか
これを現地で確認する必要があります。
また、仮に書類が返却された場合でも、
「本当にその入居者が現在も住んでいるのか」
という確認は不可欠です。
入居者との再契約という選択肢
再契約は「必須」ではないが重要
サブリース契約を解除すると、
・オーナーとサブリース会社
・サブリース会社と入居者
この2つの契約は消滅させることができます。
ただし、不動産投資の目的は「入居者からの家賃収入」です。
そのため、入居者の属性に問題がなければ、
オーナーと入居者の直接契約へ切り替える
という選択が現実的になります。
再契約時に必ず確認すべきポイント
再契約を行う場合、以下の確認は必須です。
・家賃保証会社に加入しているか
・火災保険に加入しているか
これらを確認せずに再契約してしまうと、
トラブルを再発させるリスクがあります。
売却を検討する場合も再契約は重要
「もうこの物件は売却したい」と考えている場合でも、
入居者との再契約が必要になるケースは少なくありません。
入居状況が整理されていない物件は、
・買主が見つかりにくい
・価格が下がりやすい
という問題があるためです。
不動産投資の現実と甘い話の裏側
なぜ見ず知らずの人が儲け話を持ってくるのか
冷静に考えてみてください。
本当に儲かる話を、なぜ赤の他人に持ってくるのでしょうか。
答えはシンプルです。
儲からないからです。
よく知らない相手に紹介される不動産投資話には、
必ず疑ってかかる必要があります。
不動産投資は基本的に「楽ではない」
不動産投資は、不労所得と言われることがありますが、
精神的には決して不労ではありません。
・設備トラブル
・修繕費
・空室
・滞納
・退去時の原状回復
これらは日常的に起こり得ます。
プロであっても、入居者からの電話が鳴ると
「何が起きたんだろう」と身構えるものです。
不動産投資トラブルで「一人で抱え込まない」ことの重要性
不動産投資のトラブルで多いのが、「自分で何とかしようとして時間だけが過ぎてしまう」ケースです。家賃滞納やサブリース契約の問題は、放置すればするほど状況が悪化し、回収できるはずのお金が回収できなくなったり、法的に不利な立場に追い込まれたりする可能性があります。
特に注意したいのは、「相手が何も言ってこないから様子を見よう」「もう少し待てば払ってくれるかもしれない」といった判断です。こうした対応は感情的には理解できますが、実務的にはリスクが高い行動です。不動産のトラブルは、事実と記録を積み重ねることが何より重要であり、その第一歩が早期の督促や書面での対応になります。
契約関係が複雑な場合、自分の立場や権利関係を正確に把握できていないまま話を進めてしまうと、後から取り返しがつかなくなることもあります。少しでも違和感を覚えた段階で、第三者の専門家に相談することが、結果的に最短で安全な解決につながると言えるでしょう。
まとめ
不動産投資は華やかなイメージとは裏腹に、実務では多くのトラブルが潜んでいます。特に家賃滞納やサブリース契約の問題は、適切な手順を踏まなければ出口が見えなくなります。感情に流されず、事実に基づいて対応し、必要に応じて専門家の力を借りることが重要です。また、これから投資を検討する方は、甘い話に惑わされず「なぜこの話が自分に来たのか」を冷静に考えてください。不動産投資は決して楽なものではありません。その現実を理解したうえで、慎重な判断をすることが最大のリスク回避につながります。






