共有不動産の固定資産税トラブル|自分の分を渡したのに全額請求?仕組みと対処法を徹底解説
このページの目次
- 1 はじめに|共有不動産で起こる「まさか」の税金トラブル
- 2 固定資産税とは何か?まずは基本を確認
- 3 固定資産税の「評価額」とは?
- 4 都市計画税も一緒に課税されている?
- 5 共有不動産で起きる最大の問題とは?
- 6 なぜ全額請求されるのか?「連帯納税義務」という考え方
- 7 滞納が続くとどうなる?
- 8 では、どう対処すればいいのか?
- 9 2.代表者変更を検討する
- 10 専門家への相談も視野に
- 11 よくあるご相談事例|実際に起きている共有トラブル
- 12 「共有」という形のリスクを正しく理解する
- 13 トラブルを未然に防ぐためにできること
- 14 もし既に督促が来ている場合
- 15 共有不動産は「税金問題」であり「人間関係問題」でもある
- 16 まとめ|共有不動産は「信頼」だけでは守れない
はじめに|共有不動産で起こる「まさか」の税金トラブル
夫婦や親子、兄弟で不動産を共有しているケースは少なくありません。しかし、「自分の分は相手に渡しているのに、固定資産税を滞納され、役所から全額請求が来た」という深刻な相談が実際にあります。本記事では、固定資産税の基本的な仕組みから、共有名義の場合に起こり得るトラブルの原因、そして今後取るべき対策までを分かりやすく解説します。
固定資産税とは何か?まずは基本を確認
固定資産税の対象になるもの
固定資産税とは、土地や建物などの不動産をはじめ、一定の固定資産を所有している人に課される税金です。不動産以外にも、事業用の償却資産、さらには船舶や航空機なども対象になります。
つまり「動かしにくい資産」を持っている人に対して課税される地方税という位置づけです。
納付先は市町村(東京23区は都)
固定資産税は、市町村に納付する税金です。ただし、東京23区に所在する不動産の場合は、東京都に納付する仕組みになっています。
税率は原則として「評価額×1.4%」です。
自治体によって多少の増減はありますが、多くの市町村では1.4%が採用されています。正確な税率は、お住まいの自治体ホームページの「資産税課」「固定資産税課」などで確認できます。
固定資産税の「評価額」とは?
売却価格(時価)とは違う
「評価額」と聞くと「売れる価格(時価)」を想像しがちですが、これは別物です。固定資産税評価額は、あくまで課税のために算出された行政上の価格であり、市場価格とは一致しません。
評価額を見て「こんなに安いの?」と驚く方もいますが、それは課税基準用の価格だからです。
評価額の確認方法
評価額は「固定資産税台帳」で確認できます。
ただし、この台帳は誰でも閲覧できるわけではありません。
閲覧できるのは:
・所有者本人
・所有者から正式に委任を受けた人
・正当な権利関係を持つ人
本人確認書類を持って市役所へ行けば確認できます。
また、毎年送られてくる固定資産税の納付書の綴りの後半に、「所有不動産一覧」「評価額」「課税標準額」「税額」などが記載されています。役所へ行かなくても確認可能です。
都市計画税も一緒に課税されている?
固定資産税とあわせて課税されることが多いのが「都市計画税」です。
都市計画税は、市街化区域内の不動産に対して課税されます。市街化調整区域に所在する場合は課税されません。
多くの方が「都市計画税なんて払っていない」と思っていますが、実は固定資産税の納付書に一緒に記載されています。
内訳を見ると、
・固定資産税
・都市計画税
がそれぞれ分かれて表示されていますので、一度確認してみるとよいでしょう。
共有不動産で起きる最大の問題とは?
ここからが本題です。
夫婦や親子、兄弟で不動産を共有している場合、固定資産税の納付は通常「代表者1名」が行います。これは事務処理上の都合によるものです。
例えば、
・夫婦共有の自宅
・相続で兄弟共有になった実家
・親子で共有しているご自宅
こうしたケースでは、納付書は代表者に届きます。
自分の持分を渡しているのに…
よくあるパターンは次の通りです。
・自分の持分相当額を共有者に振り込んでいる
・共有者がまとめて納税する約束になっている
・しかし共有者が支払っていない
この場合、どうなるのでしょうか?
答えは
全額について請求される可能性があるのです。
なぜ全額請求されるのか?「連帯納税義務」という考え方
共有不動産の場合、各共有者は「持分割合に応じた負担」を内部的にはしています。
しかし、税法上は連帯して納税義務を負うという扱いになります。
つまり、
・役所から見れば「共有者全員が納税義務者」
・誰か一人が払わなければ、他の共有者に請求できる
という仕組みなのです。
「私は自分の分を払いました」という主張は、共有者同士の内部関係の話であり、行政に対しては原則通用しません。
これが、今回のテーマである
自分の分を渡したのに、滞納されて全額請求が来た
という事態が起こる理由です。
滞納が続くとどうなる?
固定資産税を滞納すると、以下の流れになります。
①督促状の送付
まずは督促状が届きます。
②延滞金の発生
法定の延滞金が加算されます。
③差押え
最終的には、
・預金口座
・給与
・不動産
などが差し押さえられる可能性があります。
共有不動産であっても、持分が差し押さえ対象になることがありますので、決して軽く考えてはいけません。
では、どう対処すればいいのか?
1.納付状況を必ず確認する
共有者に任せきりにしないことが大切です。
・納付書のコピーをもらう
・納税証明書を確認する
・口座引落し結果をチェックする
「払っているはず」ではなく、「払われていることを確認する」姿勢が重要です。
2.代表者変更を検討する
事情によっては、納税代表者の変更を自治体に申請できる場合があります。滞納リスクが高い共有者に任せ続けるのは危険です。
3.共有状態そのものを見直す
根本的な解決としては、
・持分を買い取る
・売却して清算する
・共有物分割を検討する
といった方法もあります。
共有はトラブルの温床になりやすい形態です。税金問題がきっかけで、将来的な相続トラブルに発展するケースも少なくありません。
専門家への相談も視野に
固定資産税の滞納や差押えが現実味を帯びてきた場合は、
・不動産に詳しい専門家
・税理士
・弁護士
への相談を検討してください。
特に差押え直前の場合は、スピードが重要です。放置することで選択肢が狭まります。
よくあるご相談事例|実際に起きている共有トラブル
実際のご相談で非常に多いのが、「長年きちんと払っていると思っていた」というケースです。
例えば、兄弟で相続した実家。兄が代表者となり、弟は毎年自分の持分相当額を兄の口座へ振り込んでいました。しかし数年後、役所から突然督促状が届きます。確認すると、兄は資金繰りが苦しくなり、固定資産税を後回しにしていたのです。
弟としては「自分は払っている」という認識ですから、到底納得できません。しかし行政の立場はあくまで「共有者全員が納税義務者」。結果として、弟の預金口座が差し押さえ寸前まで進んだという事例もあります。
このように、共有不動産のトラブルは、悪意があるケースばかりではありません。
・うっかり払い忘れていた
・納付書を紛失していた
・事業の資金繰りが悪化していた
・病気や入院で対応できなかった
理由はさまざまです。しかし理由が何であれ、税金は待ってくれません。
「共有」という形のリスクを正しく理解する
共有という形は、相続時などには非常に便利です。すぐに分けられない不動産を、とりあえず公平に持分で分けることができます。
しかしその一方で、共有には常に次のようなリスクが存在します。
意思決定が単独でできない
売却、建替え、大規模修繕など、原則として共有者の同意が必要になります。関係が悪化すると、何も決められなくなります。
経済状況の影響を受ける
共有者の一人が経済的に困窮すると、税金や管理費の滞納が発生する可能性があります。今回の固定資産税問題は、まさにここが本質です。
相続でさらに複雑化する
共有者が亡くなると、その持分がさらに相続人へ引き継がれます。すると共有者が3人、4人、5人と増え、問題はより複雑になります。
トラブルを未然に防ぐためにできること
共有状態を続けるのであれば、最低限次の対策を検討してください。
・納付書の写しを毎年共有する
・納税証明書を定期的に確認する
・代表者だけに任せない仕組みを作る
特に大切なのは、「信頼しているから大丈夫」と思い込まないことです。信頼関係と管理体制は別問題です。
もし既に督促が来ている場合
督促状や差押予告書が届いている場合は、放置せず、すぐに役所へ連絡を取りましょう。
また、共有者に対しては、内部的な求償(立て替えた分の請求)を行うことになります。ただし、関係が悪化している場合は話し合いが難航するため、専門家を交えて進める方が安全です。
共有不動産は「税金問題」であり「人間関係問題」でもある
この問題は「税金の話」であると同時に、「人間関係の問題」でもあります。
共有不動産は、うまくいっている間は何も問題が起きません。しかし一度歯車が狂うと、一気に表面化します。
だからこそ、今問題が起きていない方こそ、ぜひ一度ご自身の状況を見直してみてください。
まとめ|共有不動産は「信頼」だけでは守れない
共有不動産の固定資産税は、内部で持分割合を分担していても、法律上は連帯して納税義務を負います。そのため、自分の分を渡していても、共有者が滞納すれば全額請求される可能性があります。重要なのは「任せきりにしないこと」。納付状況の確認、代表者の見直し、共有解消の検討など、早めの対策が将来の大きなリスクを防ぎます。共有は便利な一方で責任も共有する仕組みです。今一度、ご自身の状況を確認してみてください。
この記事を書いた専門家

- 任意売却の専門家
-
(有)ライフステージ代表取締役
「不動産ワクチンいまなぜ必要か?」著者、FMヨコハマ、FMさがみ不動産相談所コメンテーター、TBSひるおび出演。単に家を売るだけでなく「お金に困らない暮らし」を提案している
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