共有不動産の固定資産税は要注意!相手が滞納すると全額請求?連帯納付義務と差押え・公売のリスクを徹底解説

共有名義の不動産をお持ちの方にとって、固定資産税の扱いは意外な落とし穴があります。自分の持ち分相当額をきちんと相手に渡していたのに、相手が滞納し、突然「全額」の請求が来る――そんなケースが実際に起こっています。本記事では、共有不動産における固定資産税の仕組みと、滞納時のリスク、そして最悪の事態を避けるための具体策まで詳しく解説します。

固定資産税の基本と評価額の考え方

固定資産税は評価額の1.4%が目安

固定資産税は、毎年1月1日時点の不動産所有者に対して課税される地方税です。税額は「固定資産税評価額」に一定の税率を掛けて算出されます。標準税率は1.4%です。

評価額は、市区町村の固定資産課税台帳や納付書で確認することができます。

都市計画税も含まれている場合がある

さらに、市街化区域内の不動産には都市計画税(上限0.3%)が課税されることがあります。納付書には固定資産税と都市計画税が合算されて記載されているケースが一般的です。

そのため、「固定資産税はいくらだろう」と思って確認した金額には、都市計画税が含まれている可能性がある点にも注意が必要です。

共有不動産の場合の納付の仕組み

代表者に納付書が届く

共有名義の不動産であっても、固定資産税の納付書は「納税代表者」に届きます。例えば、夫7割・妻3割の持ち分で共有している場合、多くは夫が代表者となり、夫のもとに納付書が届きます。

例えば、夫7割・妻3割の持ち分で共有している場合、妻は全体の税額の30%を夫に渡し、夫が自分の70%と合わせて市役所へ納付する、という流れが一般的です。

婚姻中であれば、家計口座からまとめて引き落とされることも珍しくありません。しかし、離婚後に元夫婦で共有状態が続いている場合は、事情が大きく異なります。

離婚後の共有はトラブルの温床に

離婚後、どちらかが代表者となり納付を行う形になることが多いですが、「自分の分は振り込んだから大丈夫」と安心してしまうケースが問題を引き起こします。

もし代表者が納付せず滞納していた場合、どうなるのでしょうか。

最大のポイント:固定資産税の「連帯納付義務」

自分の持ち分だけ払っても安心できない

固定資産税には連帯納付義務があります。これは、共有者それぞれが「全額」について納付責任を負うという仕組みです。

つまり、夫7割・妻3割の共有であっても、税額10のうち妻の持ち分は3だから3だけ責任を負う、という話ではありません。市役所は、夫にも10請求できますし、妻にも10請求できます。

どちらかが10を完納すれば、もう一方への請求は消えます。しかし、どちらも払わなければ、双方に対して満額請求が続きます。

「払ったのに請求が来る」理由

妻が30%相当額を夫に渡していたとしても、それはあくまで夫婦間(または元夫婦間)の内部関係の話です。

市役所から見れば、「共有者である以上、全員が全額について責任を負う」という扱いになります。そのため、代表者が滞納していれば、もう一方に全額請求が来るのです。

「7割持っている人に7割請求するのが筋では?」と感じるのは当然ですが、法律上はそうなっていません。ここが共有不動産の大きな落とし穴です。

滞納するとどうなる?差押えの現実

では、請求された全額を支払えない場合、どのような事態が起きるのでしょうか。

1.給料の差押え

まず考えられるのが給料の差押えです。市役所は住民税の課税情報を通じて勤務先を把握しています。そのため、勤務先に対して差押え通知を送ることが可能です。

給料が差し押さえられると、会社に税金滞納の事実が知られてしまいます。社会的信用にも影響しかねません。

2.生命保険の満期返戻金の差押え

「生命保険に入っていることまで分かるのか?」と疑問に思われるかもしれません。

市役所は、固定資産税を引き落としている口座を把握しています。その口座に残高がない場合、取引履歴を調査します。そこに生命保険料の引き落とし履歴があれば、保険会社に照会をかけることが可能です。

保険会社は照会を拒否できません。満期返戻金があれば、その返戻金を差し押さえることができます。

3.不動産の差押え

最も重大なのが不動産自体の差押えです。差押えが行われると、最終的には「公売」によって強制的に売却される可能性があります。

公売とは何か?競売との違い

公売は役所による強制売却

よく耳にする「競売」は、主に金融機関が住宅ローンの不払いを理由に行う強制売却手続きです。

一方、税金滞納により役所が行う強制売却は「公売」と呼ばれます。

法律上の建て付けは異なりますが、本質は同じです。差し押さえた財産を第三者に強制的に売却するという点では、競売も公売も変わりません。

公売のデメリット

公売では、売却基準価額が市場価格よりも低く設定されることが多いという特徴があります。そのため、所有者にとっては大きな経済的損失となる可能性があります。

しかも、売却の主導権は自分にはありません。スケジュールも価格も、基本的には役所主導で進みます。

公売を避けるためにできること

まず現実を直視する

固定資産税を払えないということは、すでに生活が逼迫しているサインです。不動産を維持する体力が失われている可能性があります。

目先の税金をどうするかだけに目を向けても、根本的な解決にはなりません。中長期的に生活を正常化させる視点が不可欠です。

任意売却という選択肢

強制的に公売にかけられる前に、自主的に売却するという方法があります。いわゆる任意売却です。

任意売却であれば、市場価格に近い金額で売却できる可能性があり、公売よりも有利な条件で処分できることが多いです。

住宅ローンが残っている場合でも、金融機関と交渉しながら進める方法があります。ただし、状況によっては難しいケースもあります。

滞納が少ないうちに動く

固定資産税の滞納額が膨らめば膨らむほど、選択肢は狭まります。

滞納が1円でも少ない段階で行動を起こすことが重要です。実際に、滞納額が多額になってからでは対応が困難になり、やむなく公売に進んでしまうケースもあります。

共有不動産トラブルを防ぐための実務的対策

代表者任せにしない

共有不動産の場合、「相手が払ってくれているはず」と思い込むのは危険です。納付書の写しを確認する、納税証明書を取得するなど、実際に納付が完了しているかをチェックする体制が必要です。

共有関係の解消を検討する

離婚後などで共有状態が続いている場合は、持ち分の売却や分割など、共有関係の解消を検討することも重要です。

共有は「関係が良好であること」が前提で成り立つ形態です。関係が悪化している場合、税金問題は今後も繰り返される可能性があります。

一人で抱え込まず、早めの相談を

誰に相談したらいいのか分からない」「こんな状況を話すのは恥ずかしい」と感じてしまい、行動が遅れてしまう方も少なくありません。しかし、固定資産税の滞納問題は時間が経てば経つほど状況が悪化します。早い段階であれば選択肢は複数ありますが、差押えや公売の手続きが進んでしまうと打てる手は限られてしまいます。問題が小さいうちに専門家へ相談することが、生活を立て直す第一歩になります。

まとめ

共有不動産の固定資産税には連帯納付義務があり、自分の持ち分相当額を支払っていても、相手が滞納すれば全額請求される可能性があります。滞納が続けば、給料や生命保険、不動産の差押え、さらには公売に発展するリスクもあります。重要なのは、目先の支払いに追われるのではなく、生活全体を立て直す視点を持つことです。滞納が少ないうちに専門家へ相談し、任意売却などの選択肢を検討することで、大きな損失を防げる可能性があります。早期対応こそが最大の防御策です。

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この記事を書いた専門家

宅地建物取引士杉山善昭
宅地建物取引士杉山善昭任意売却の専門家
(有)ライフステージ代表取締役
「不動産ワクチンいまなぜ必要か?」著者、FMヨコハマ、FMさがみ不動産相談所コメンテーター、TBSひるおび出演。単に家を売るだけでなく「お金に困らない暮らし」を提案している
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