リースバックを成功させる必須3要素とは?住宅ローンが払えないときに失敗しないための実践ガイド【第1要素:残債完済の重要性】
こんにちは。住宅ローン緊急相談室の杉山です。
「住宅ローンの支払いが厳しい」「できれば引っ越しはしたくない」——そんな状況の中で、近年ご相談が増えているのが“リースバック”です。自宅を売却しながらも住み続けられる仕組みとして注目されていますが、実は誰でも利用できるわけではありません。本記事では、リースバックを成功させるための必須3要素のうち、最も重要な第1要素について、実務の現場目線で詳しく解説していきます
このページの目次
リースバックとは?まずは仕組みを正しく理解する
リースバックとは、自宅を売却したあとに、その買主と賃貸借契約を結び、引き続き同じ家に住み続ける仕組みです。
通常売却との違い
通常の不動産売却では、売買契約を締結し、決済・引き渡し日までに退去を完了させる必要があります。つまり、売却と同時に住まいを手放すことになります。
一方、リースバックでは次の流れになります。
自宅を売却する
売却代金を受け取る
買主と賃貸契約を結び、そのまま住み続ける
所有者という立場から借主へと変わるだけで、生活環境は大きく変わりません。引っ越し費用や転校、通勤環境の変化を避けられる点が大きなメリットです。
どんな方に向いているのか
住宅ローンの支払いが困難になっている方
滞納が始まり、早急に資金化が必要な方
子どもの学校や家族の事情で引っ越しができない方
すでにリースバック前提で売却活動をしている方
ただし、「住み続けられる」というメリットだけに目を向けるのは危険です。成立には明確な条件があります。
リースバックを成功させる必須3要素
リースバックを成功させるためには、押さえておかなければならない3つの重要ポイントがあります。その中でも最も根本となるのが、今回解説する第1要素です。
【第1要素】売却価格で残債を完済できるか
結論から言います。
売却価格で住宅ローンを完済できるかどうかが、リースバック成功の分岐点です。
具体例で考えてみましょう
住宅ローン残債が3,100万円あるとします。
通常売却なら3,100万円前後で売れる可能性がある
リースバックでは2,500万円が限界
この場合、600万円不足します。この不足分を自己資金で補填できるなら問題ありませんが、多くの方にとっては現実的ではありません。
つまり、リースバック価格が残債を下回ると、一気にハードルが上がるのです。
なぜリースバックは安くなるのか
その理由は「買主の違い」にあります。
不動産を買う3つのタイプ
一般消費者(自分で住む人)
不動産投資家(人に貸す人)
不動産会社(転売目的)
一般消費者は「住みたい」という感情が入りやすいため、最も高値になりやすい傾向があります。いわゆる市場相場に近い価格です。
不動産投資家は利回りを基準に判断します。家賃収入から逆算するため、価格は相場より抑えられます。
不動産会社は再販利益を目的とするため、仕入れ価格を低く抑える必要があります。また、資本回転率を重視するため、長期保有型のリースバックは積極的ではない傾向があります。
リースバックの場合、買主はほぼ投資家になります。そのため価格は投資家目線で決まるのです。
利回り計算のイメージ
仮に月10万円の家賃が見込める物件だとします。
年間家賃は120万円。投資家が6%の利回りを求める場合、
120万円 ÷ 6% = 2,000万円
これが購入目線の価格になります。ここには「売主の事情」は反映されません。あくまで投資として成立するかどうかで判断されます。
任意売却なら解決するのか?
「任意売却なら残債が残っても売れるのでは?」という質問をよくいただきます。
確かに任意売却は、残債があっても金融機関の同意を得て売却できる制度です。しかし、ここで重要なのは金融機関の立場です。
金融機関は“1円でも高く”を求める
金融機関はお金を貸している立場です。当然ながら、少しでも多く回収したいと考えます。
通常売却なら3,100万円で売れる可能性があるのに、「引っ越したくないから2,600万円で売ります」という話は、金融機関から見れば借主都合です。
「まずは高く売ってください。それでも不足するなら話を聞きます」というのが基本姿勢です。
つまり、リースバックを理由に安く売ることは簡単には認められません。
完済できる場合の大きなメリット
逆に、売却価格で残債を完済できる場合は状況が大きく変わります。
金融機関の承諾が不要
売却方法を自由に選べる
交渉がスムーズに進む
精神的負担が軽減される
実務上、この差は非常に大きいです。完済できるかどうかで、選択肢の広さがまったく異なります。
リースバック検討前に必ずやるべきこと
① 通常売却価格の査定
まずは市場相場を把握します。一般消費者向け価格を知ることが出発点です。
② リースバック想定価格の確認
投資家目線でいくらになるのかを確認します。
③ 残債との比較
差額がいくら発生するのかを具体的な数字で把握します。
この3点を整理して初めて、リースバックが現実的かどうか判断できます。
感情ではなく数字で判断する
住宅ローン問題は精神的なプレッシャーが大きく、「とにかく住み続けたい」という気持ちが先行しがちです。
しかし、リースバックは感情ではなく数字の世界です。売却価格、残債、家賃設定、利回り——すべて計算の上で成り立っています。
現実を直視し、冷静に数字を整理することが成功への第一歩です。
リースバックが成立しないケースとは?
ここまでお話ししてきたように、リースバックは残債を完済できるかどうかが大きな分岐点になります。では実際に、どのようなケースで成立が難しくなるのでしょうか。
① オーバーローン状態が大きい場合
市場価格よりも住宅ローン残債が大きく上回っている、いわゆるオーバーローンの状態では、リースバック以前に売却そのものが難航します。特に購入から年数が浅い場合や、相場が下落しているエリアでは注意が必要です。
② 家賃設定が現実的でない場合
「今の住宅ローンと同じくらいの金額なら払える」という考えで家賃を設定すると、投資家目線では利回りが合わず、購入に至らないことがあります。リースバックでは家賃と売却価格は表裏一体の関係にあり、家賃を高く設定すれば売却価格は上がりますが、その分支払い負担も増えます。このバランス調整が非常に重要です。
③ 将来の支払い計画が不透明な場合
リースバック後は賃貸契約になります。つまり、家賃を払い続けられなければ退去となります。住宅ローン問題を一時的に解決できても、将来的な収入見通しが立っていない場合は、根本解決にならないこともあります。
リースバックは「その場しのぎ」ではなく、中長期的な生活設計の中で検討すべき選択肢です。
まとめ
リースバックを成功させるための最重要ポイントは、売却価格で住宅ローン残債を完済できるかどうかです。リースバックは投資家価格になるため、通常売却より安くなる傾向があります。残債を下回る場合、金融機関の同意が必要になり、借主都合での値下げは簡単には認められません。まずは通常売却価格とリースバック価格を正確に把握し、残債との差額を冷静に確認することが重要です。住み続けられる安心は大きな魅力ですが、感情ではなく数字で判断することが、後悔しない選択につながります。
次回は、リースバック成功のための必須3要素の第2要素について詳しく解説します。ぜひ引き続きご覧ください。
この記事を書いた専門家

- 任意売却の専門家
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(有)ライフステージ代表取締役
「不動産ワクチンいまなぜ必要か?」著者、FMヨコハマ、FMさがみ不動産相談所コメンテーター、TBSひるおび出演。単に家を売るだけでなく「お金に困らない暮らし」を提案している
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