任意売却の費用はいくら?手元にお金がなくても売却できる理由を専門家が解説

任意売却の費用はいくら?手元にお金がなくても売却できる仕組みを解説

住宅ローンの返済が難しくなったときの解決方法の一つとして「任意売却」があります。しかし、多くの方が気になるのが「売却にかかる費用」です。住宅ローンが払えない状況で、売却費用まで準備できるのか不安に感じる方も多いでしょう。
この記事では、任意売却にかかる主な費用の種類と相場、さらに費用が用意できない場合でも売却できる理由について詳しく解説します。

任意売却とは?一般的な不動産売却との違い

まず任意売却について簡単に説明します。

任意売却とは、住宅ローンの返済が難しくなった場合に、金融機関(債権者)の同意を得て不動産を売却する方法です。通常の不動産売却と違い、住宅ローンの残高よりも低い価格で売却するケースが多いのが特徴です。

通常の不動産売却では、以下の条件を満たす必要があります。
・住宅ローンを完済できる
・売却費用を支払える

しかし任意売却では、これらの条件を満たさなくても売却が可能になる場合があります。

そのため、住宅ローンの返済に困っている方の多くが利用する手続きとなっています。

任意売却でかかる主な費用

任意売却をする際には、いくつかの費用が発生します。
ただし、基本的な内容は一般的な不動産売却とほぼ同じです。

主な費用は次のとおりです。
・仲介手数料
・登記費用
・測量費用
・解体費用
・リフォーム費用
・その他諸費用

それぞれ詳しく見ていきましょう。

仲介手数料

仲介手数料とは、不動産会社に買主を見つけてもらうための成功報酬です。
不動産会社が物件を紹介し、売買契約が成立した場合に支払います。

任意売却の場合でも、多くのケースで不動産会社が仲介に入ります。

実際には、任意売却の約8〜9割は「買取」ではなく「仲介」で売却されます。

なぜ仲介が多いのか

その理由は、債権者(銀行など)ができるだけ高く売却することを望むからです。

買取の場合は市場価格より安くなることが多いため、金融機関の承諾が得にくいケースが多くなります。そのため、買主を市場から探す仲介売却が主流になります。

仲介手数料の計算方法

仲介手数料には法律で上限が決められており、一般的には以下の計算式で求められます。
売却価格 × 3% + 6万円 + 消費税

ただし、この計算式は売却価格が400万円を超える場合の速算式です。
400万円以下の不動産では計算方法が少し変わります。

登記費用

任意売却では、売却に伴って登記に関する手続きが必要になります。

主な登記費用は次の通りです。

抵当権抹消登記

住宅ローンを借りると、金融機関は不動産に「抵当権」を設定します。
不動産を売却する際には、この抵当権を解除する必要があります。

抵当権抹消の費用は、
約2万円〜3万円程度
が一般的です。

住所変更登記

登記簿に記載されている住所と、現在の住所が異なる場合は住所変更登記が必要になります。

例えば、
・住宅購入後に引っ越しをしている
・住民票の住所が変わっている
といったケースです。

この場合の費用は、
約2万円前後
が目安となります。

差押え登記の解除

税金滞納などが原因で、不動産に差押え登記が入っている場合もあります。

この場合は差押えを解除するための手続きが必要になり、追加費用が発生することがあります。

測量費用

戸建て住宅を売却する場合、土地の境界を明確にする必要があります。

通常、敷地の四隅には「境界標(境界杭)」と呼ばれる目印があります。
売却時には、この境界を買主に明示することが求められます。

しかし次のようなケースでは測量が必要になります。
・境界杭が見つからない
・測量図が古い
・隣地との境界が不明確
この場合、土地家屋調査士による測量が必要になります。

測量費用の相場

測量費用は比較的高額で、
約30万円〜80万円程度
が目安です。

費用が変動する主な理由は次の通りです。
・隣接地の数
・境界杭の状況
・隣地所有者との立ち会い
条件によって費用が大きく変わるため、事前確認が重要です。

解体費用

古い建物が残っている場合、建物を解体して更地にして売却するケースもあります。

ただし、解体は必須ではありません。

売却方法によっては、建物付きのまま売却することも可能です。

解体費用の目安

建物の大きさや構造によりますが、一般的には
100万円〜200万円以上
かかることが多いです。

木造住宅でも100万円以上になるケースは珍しくありません。

リフォーム費用

売却前にリフォームを行うケースもあります。

例えば、
・内装を修繕する
・水回りを交換する
・壁紙を張り替える
などです。

ただし、任意売却の場合は大規模リフォームを行うケースは少ない傾向があります。

理由はシンプルで、費用を回収できない可能性があるからです。

そのため、多くの場合はリフォームを行わず、そのままの状態で売却を進めるケースが一般的です。

その他の細かい費用

その他にも、細かい費用が発生することがあります。

例えば次のような費用です。
・売買契約書の印紙代
・振込手数料
・書類取得費用
ただし、これらは比較的小額のため、売却全体の費用に比べると大きな負担になることは少ないです。

売却費用を用意できない場合はどうなる?

ここが多くの方にとって一番気になるポイントです。

住宅ローンを払えない状況で、
・仲介手数料
・測量費用
・解体費用
などを用意できる人はほとんどいません。

実際、任意売却の相談現場では、
「売却費用を手元で用意できない」
という方が圧倒的多数です。

では、費用がない場合は売却できないのでしょうか?
答えは 「売却できる可能性が高い」 です。

任意売却では売却代金から経費を支払う

通常の不動産売却では、次の条件を満たす必要があります。
売却価格 ≥ 住宅ローン残高 + 売却費用
もし売却価格が足りない場合、不足分を自己資金で補う必要があります。

しかし任意売却では考え方が異なります。
任意売却では、
売却代金の中から経費を支払い、残りを返済に充てる
という仕組みになります。

つまり、
1.不動産を売却
2.売却代金から必要経費を支払う
3.残りを金融機関へ返済
という流れになります。

売却経費は債権者の承認が必要

ただし、すべての費用が認められるわけではありません。

任意売却では、売却経費について金融機関(債権者)の承認が必要になります。

例えば次のようなケースです。

認められる可能性が高い費用

・仲介手数料
・登記費用
・必要最低限の売却費用

認められない場合がある費用

・解体費用
・不用品処分費
・リフォーム費用
このように、どの費用が認められるかは金融機関によって異なります。

銀行によって対応は変わる

任意売却の難しいところは、金融機関ごとに対応が違う点です。

さらに、同じ銀行でも方針が変わることがあります。

例えば、
・以前は認められなかった費用が認められるようになった
・逆に厳しくなった
といったケースもあります。

そのため、任意売却では次の点が重要になります。
債権者の方針を理解して売却戦略を立てること

これは専門的な知識や経験が必要になるため、専門家のサポートが重要になります。

まとめ

任意売却を行う際には、仲介手数料や登記費用、測量費用などさまざまな売却経費が発生します。特に測量費用や解体費用は高額になる場合もあり、不安に感じる方も多いでしょう。しかし任意売却では、これらの費用を必ずしも自己資金で用意する必要はありません。多くの場合、不動産の売却代金の中から支払う形で進めることが可能です。ただし、すべての費用が認められるわけではなく、金融機関との交渉や判断が重要になります。任意売却はケースごとに状況が異なるため、早めに専門家へ相談し、最適な進め方を検討することが解決への近道と言えるでしょう。

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この記事を書いた専門家

宅地建物取引士杉山善昭
宅地建物取引士杉山善昭任意売却の専門家
(有)ライフステージ代表取締役
「不動産ワクチンいまなぜ必要か?」著者、FMヨコハマ、FMさがみ不動産相談所コメンテーター、TBSひるおび出演。単に家を売るだけでなく「お金に困らない暮らし」を提案している
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