リースバック成功の分かれ道は「利回り」|投資家目線で考える必須3要素②
こんにちは。住宅ローンの支払いが厳しくなり、「今の家に住み続けたい」という思いからリースバックを検討される方が増えています。しかし、リースバックは「売れれば成立する」という単純な話ではありません。成功のカギは“投資家目線”を理解すること。本記事では、リースバックを成功させるための必須3要素のうち、特に重要な「利回り」について分かりやすく解説します。
このページの目次
リースバックを検討している方へ|こんなケースは要注意
今回の内容は、次のような方に特に重要です。
現在、住宅ローンの支払いが厳しい
引っ越しはしたくないためリースバックを検討している
リースバックを条件に売却活動を進めている
特に注意していただきたいのが、「リースバック前提で不動産会社に売却を依頼している方」です。
不動産会社から「大丈夫ですよ」「できますよ」と言われて販売活動をしていても、実は投資家目線ではまったく条件が合っていないというケースは少なくありません。売却活動をしている=実現可能、とは限らないのです。
リースバック成功の必須3要素②:大家さんにとって割に合うか?
リースバック成功の2つ目の要素は、「投資家(大家さん)にとって事業として成り立つかどうか」です。
リースバックは、買主にとっては不動産投資です。感情ではなく、完全に数字で判断されます。
売主であるご本人は、
「ここを乗り切れば、あとは家賃を払ってやっていける」
という思いをお持ちかもしれません。しかし、買主はあくまで投資家。事業として利益が見込めなければ購入はしません。
では、投資家は何を基準に判断しているのでしょうか?
投資の基本は「利回り」
投資とは何か。難しく考える必要はありません。
資本を投下して利益を得ること。これが投資の基本です。
例えば、100万円を投資して105万円になれば、5万円の利益。これが投資です。
不動産投資も同じで、「利回り」という指標で判断されます。
利回りの計算式
年間家賃収入 ÷ 投資額 = 表面利回り
例えば、
年間家賃収入100万円
購入価格1000万円
100万円 ÷ 1000万円 = 10%
これが利回り10%です
もし同じ1000万円の物件でも、家賃が年間50万円なら利回りは5%になります。
投資家はこの数字を見て「買うか・買わないか」を判断しています。
具体例で考える|3000万円の家の場合
ここで仮に、投資家向け価格で3000万円で売却できたとします。
※一般消費者向け価格より、投資家向け価格は安くなる点は重要です。
仮に月12万円の家賃設定とすると、
年間家賃:144万円
利回り:144万円 ÷ 3000万円 = 約4.8%
では、4000万円の物件で月15万円の家賃ならどうでしょうか。
年間家賃:180万円
利回り:180万円 ÷ 4000万円 = 約4.5%
4.5%。
この数字は魅力的でしょうか?
他の投資と比較するとどうなるか
銀行預金金利は非常に低いですが、それと比較するのは意味がありません。
投資家は、他の投資商品と比較します。
株式投資の配当利回り
株式投資では、4%〜5%の配当利回りは珍しくありません。
不動産投資信託(REIT)
不動産を証券化したREITでも、5%〜6%程度の利回りは一般的です。
しかも、株式やREITには以下のメリットがあります。
空室リスクがない
修繕費負担がない
固定資産税がない
換金性が高い(すぐ売れる)
一方、現物不動産では、
修繕費がかかる
固定資産税がかかる
滞納リスクがある
売却に時間がかかる
同じ4.8%なら、多くの投資家は株やREITを選ぶでしょう。
つまり、不動産投資で4%台はほとんど魅力がないというのが現実です。
投資家が求める最低利回りは?
経験上、最低でも6%程度は必要です。
築年数が古い物件や耐用年数を超えている物件であれば、さらに高い利回りを求められることもあります。
築年数と耐用年数が利回りに与える影響
投資家が利回りを見るとき、単純に家賃だけを見ているわけではありません。
必ず確認するのが「築年数」と「耐用年数」です。
木造住宅の場合、税務上の法定耐用年数は22年とされています。
鉄筋コンクリート造であれば47年です。
もちろん、耐用年数を超えたからといって住めなくなるわけではありません。
しかし、投資家目線では話が別です。
耐用年数を超えている物件は、
・金融機関の融資が付きづらい
・将来の売却が難しくなる
・修繕リスクが高まる
といった理由から、より高い利回りを求められます。
例えば、築浅物件であれば6%でも検討される可能性がありますが、築30年を超える木造住宅であれば8%、10%、場合によってはそれ以上を求められるケースもあります。
つまり、「6%あれば安心」という単純な話ではないのです。
表面利回りと実質利回りの違い
ここで押さえておきたいのが、「表面利回り」と「実質利回り」の違いです。
表面利回りは、
年間家賃 ÷ 購入価格
という単純な計算です。
しかし、実際にはそこから、
・固定資産税
・火災保険料
・修繕積立
・管理コスト
などが差し引かれます。
つまり、表面6%でも、実質では4%台になることも珍しくありません。
投資家は当然この“実質利回り”を見ています。
そのため、「表面で6%だから大丈夫」と考えるのは危険です。
実質で6%近く出せるかどうかが重要になります。
家賃設定を間違えるとどうなるか
リースバックでよくある失敗が、「希望家賃を優先してしまう」ことです。
売主としては、
「今のローンと同じくらいなら払える」
「これ以上は厳しい」
という感覚になります。
しかし、家賃を低く設定すれば利回りが下がり、投資家は買えません。
逆に家賃を高く設定すれば、今度は自分が払えなくなるリスクが出ます。
ここにリースバックの難しさがあります。
成立する家賃は、
・投資家が納得する利回り
・地域の家賃相場
・自分が無理なく払える金額
この3つが重なる一点でなければなりません。
この重なりが小さいエリアでは、そもそもリースバックが成立しづらいという現実があります。
2000万円の物件で考える
2000万円 × 6% = 年間120万円
つまり、月10万円の家賃が必要です。
しかし、2000万円の戸建で月10万円の家賃が取れるエリアは限られます。
もし20%の利回りを求められたらどうでしょうか。
2000万円 × 20% = 年間400万円
現実的ではありません。
ここに、リースバックの難しさがあります。
リースバック成功の条件とは
リースバックを成立させるには、
投資家が求める利回り(最低6%前後)を満たすこと
その家賃を自分が継続して支払えること
地域の家賃相場として妥当であること
この3点が揃わなければなりません。
つまり、
「いくらで売れるか」ではなく、「いくらの家賃なら投資として成立するか」
これが本質です。
よくある誤解
① 不動産会社が「できます」と言ったから安心
不動産会社は販売活動を受けますが、実際に投資家が買うかどうかは別問題です。
② 今の住宅ローン返済額と同じ家賃なら大丈夫
投資家目線で利回りが合わなければ成立しません。
③ とりあえず出してみれば売れる
利回りが合わない物件は、投資家からは見向きもされません。
まとめ
リースバックは、「売って住み続けられる便利な仕組み」ではありますが、その実態は不動産投資です。買主にとっては完全に事業であり、利回りが合わなければ成立しません。一般的に最低6%前後の利回りが必要とされ、4%台では魅力に乏しいのが現実です。現在リースバックを検討中の方、すでに販売活動中の方は、感情ではなく“投資家目線”で条件を再確認することが不可欠です。正しい数字を知ることが、失敗を防ぐ第一歩になります。
この記事を書いた専門家

- 任意売却の専門家
-
(有)ライフステージ代表取締役
「不動産ワクチンいまなぜ必要か?」著者、FMヨコハマ、FMさがみ不動産相談所コメンテーター、TBSひるおび出演。単に家を売るだけでなく「お金に困らない暮らし」を提案している
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