競売にかけられた家を自主的に売るには?任意売却の最初の3ステップと失敗しないための重要ポイント
住宅ローンの返済が厳しくなり、ついに競売開始の通知が届いてしまった――。そんな状況でも、まだ打つ手はあります。それが「任意売却」という選択肢です。本記事では、競売にかけられた家を自主的に売るための“最初の3ステップ”を中心に、失敗しないための重要ポイントをわかりやすく解説します。
このページの目次
競売にかけられても「自主的に売る」ことは可能
住宅ローンの滞納が続くと、金融機関は法的手続きに入り、最終的には競売へと進みます。しかし、競売の手続きが始まった後でも、一定の条件を満たせば「任意売却」という方法で自主的に売却することが可能です。
任意売却とは、債権者(金融機関など)の同意を得たうえで、市場で一般の買主に向けて物件を売却する方法です。競売と比較して、以下のようなメリットがあります。
・市場価格に近い金額で売却できる可能性がある
・引越し時期の調整ができる場合がある
・近隣に事情を知られにくい
・精神的負担が比較的少ない
ただし、時間的な制約があるため、正しい順番で迅速に動くことが何より重要です。
任意売却の最初の3ステップ
競売にかけられた家を自主的に売るためには、次の3段階が基本になります。
1.売却できそうな価格を推測する
2.負債の全体像を確認する
3.債権者と交渉する
この順番を間違えると、後戻りができない状況に陥ることもあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
【ステップ1】売却できそうな価格を正しく推測する
なぜ最初に「価格の把握」が必要なのか
任意売却では、感覚や希望ではなく「現実的にいくらで売れるか」を把握することがスタート地点です。
ここで重要なのは、「実際に売れる価格」を推測することであり、「高く見積もってもらうこと」ではありません。
売却予想価格がわからなければ、
・借金を完済できるのか
・どの程度残債が残るのか
・債権者との交渉が可能か
といった判断が一切できないからです。
一括査定サイトを使ってはいけない理由
よくあるのが、不動産一括査定サイトを使って価格を調べるケースです。しかし、任意売却の場合、これはおすすめできません。
その理由は大きく2つあります。
① 任意売却は「通常売却」と条件が違う
通常の不動産売却では、引き渡し後に一定期間の「契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)」を負うのが一般的です。例えば、
・雨漏り
・給湯器の故障
・配管トラブル
などが発生した場合、売主が補修費を負担するケースがあります。
しかし、住宅ローンの返済ができずに売却する状況では、売却後に高額な修繕費を負担できる余裕はありません。
そのため任意売却では、原則として「現状有姿」「保証なし」で売ることになります。
同じ条件・同じ立地・同じ価格であれば、
・保証付きの物件
・保証なしの物件
どちらを選ぶかは明らかです。
つまり、保証がない分、価格は通常査定より下がるのが現実です。一括査定の価格は、この事情を織り込んでいないことが多いのです。
② 一括査定の価格は「高めに出る」傾向がある
一括査定は複数社が競合します。そのため、
・他社より高い金額を提示して依頼を取りたい
・とにかく媒介契約を取りたい
という営業的な事情が働きやすいのが実情です。
結果として、「実際には売れない価格」が提示されることが少なくありません。
任意売却には時間制限があります。1年も2年も様子を見ることはできません。現実的な価格で早期売却を目指す必要があります。
任意売却用の価格をどう考えるか
任意売却では、
・近隣の成約事例
・競合物件の状況
・物件の状態
・保証なし販売の影響
などを総合的に判断して価格を設定します。
また、債権者は「できるだけ高く売ってほしい」という立場です。そのため、不動産会社による買取ではなく、一般の買主へ向けた販売を前提に価格を検討します。
ここでの価格設定が、すべての土台になります。
【ステップ2】負債の全体像を正確に把握する
住宅ローンだけを見てはいけない
任意売却を考える際、多くの方が住宅ローン残高だけを気にします。しかし、それだけでは不十分です。
確認すべき負債は以下の通りです。
・住宅ローン
・固定資産税・住民税などの税金滞納
・カードローン
・消費者金融
・親族・知人からの借入
これらすべてを含めて「負債総額」です。
差押えのリスク
例えばカードローンを滞納すると、債権者が訴訟を起こし、判決を得て不動産に差押え登記を入れることが可能です。
不動産を売却する際には、
・抵当権
・差押え
・仮差押え
など、すべての権利関係を抹消しなければなりません。
つまり、「無担保ローンだから関係ない」は誤りです。差押えがつけば、売却の障害になります。
全部返せるのか?一部しか返せないのか?
売却予想価格と負債総額を照らし合わせたとき、
・全額返済できるのか
・一部しか返せないのか
によって戦略は大きく変わります。
不足が出る場合は、債権者との調整が不可欠になります。ここで見通しを誤ると、任意売却自体が成立しない可能性もあります。
【ステップ3】債権者と交渉する
交渉の目的は「抵当権の抹消」
ここで誤解してはいけないのは、任意売却の交渉は
・借金を減らしてもらう
・金利を下げてもらう
・返済を待ってもらう
といったものではない、という点です。
主目的は「売却に同意してもらい、抵当権を抹消してもらうこと」です。
交渉の順番が重要
複数の債権者がいる場合、優先順位があります。
・第一順位の抵当権者(通常は住宅ローン)
・差押えを入れている債権者
・訴訟を示唆している債権者
権利を持っている債権者から順に調整する必要があります。
自分で交渉する難しさ
債権者との交渉は、専門知識と経験が必要です。
・どのタイミングで話すか
・どの資料を出すか
・どの金額を提示するか
これらを誤ると、話が進まなくなることもあります。
そのため、任意売却に精通した不動産会社に依頼することが、精神的・実務的な負担を軽減する近道になります。
任意売却を扱える不動産会社は少ない
実は、不動産会社の中で日常的に任意売却を扱っている会社は多くありません。
通常売却とは、
・法的手続き
・債権者対応
・書類の整備
・期限管理
など、求められるスキルが大きく異なります。
知識不足のまま進めると、時間を失い、そのまま競売へ進んでしまうリスクもあります。
任意売却の基本的な進め方
依頼した場合の一般的な流れは以下の通りです。
1.状況のヒアリング
2.売却価格の推測
3.負債の整理
4.出口戦略の提案
5.債権者との交渉
6.販売活動開始
まずは「材料集め」です。
・いくらで売れるのか
・いくら借りているのか
・どんな権利がついているのか
これを整理しなければ、出口は見えてきません。
よくある誤解
「もう競売だから手遅れ」
競売開始決定通知が届いても、開札前であれば任意売却が可能なケースは多くあります。
「自己破産しかない」
法的整理が必要な場合もありますが、不動産の売却だけで解決するケースも少なくありません。状況によって選択肢は異なります。
まとめ
競売にかけられた家を自主的に売るためには、感情よりも順番と現実的判断が重要です。まずは売却可能価格を正しく把握し、住宅ローン以外も含めた負債の全体像を整理し、そのうえで債権者と適切に交渉する。この3ステップが土台になります。一括査定の高額提示に惑わされず、任意売却に精通した専門家とともに、現実的な出口戦略を描くことが解決への第一歩です。早めの行動が、選択肢を広げます。
この記事を書いた専門家

- 任意売却の専門家
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(有)ライフステージ代表取締役
「不動産ワクチンいまなぜ必要か?」著者、FMヨコハマ、FMさがみ不動産相談所コメンテーター、TBSひるおび出演。単に家を売るだけでなく「お金に困らない暮らし」を提案している
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