兄弟間売買の失敗事例。その背景にあるものとは?

兄弟間売買の背景には

こんにちは、住宅ローン相談室 室長の杉山です。
かなり怪しい事案のご相談が入りました。
兄弟間売買の話です。
子供A名義のマンションに家族で住んでいたが、Aが結婚し独立したので、子供Bに売買したいというお話です。

ネットで見つけた格安手数料の不動産会社に依頼しすぐに融資が決まるというニュアンスの話を聞いたので、子供Aは支払いをストップ。
その後、6ヶ月経過したが一向に融資が決まらないので私のところへ相談がきました。
詳しく事情を伺うと、更に難解な事情が発覚。

守秘義務があるので、あまり細かく書けないのですが、概要はこのようなお話しです。

さて、このご相談の何が問題だったのか?

いくつかあるのですが、そもそも兄弟間で不動産の売買をすることは困難です。
もちろん、購入者側に十分な資金があり、現金で購入するのなら最初の問題はクリアしますが。

ただ、この場合であっても、その売買する金額は住宅ローンの残高が目安になるのではないことに注意が必要です。
住宅ローンの残高は借金がいくら残っているか?というだけに過ぎません。

そう、相場とは何の関係もないということです。
1,000万借金が残っていても、2億円の借金が残っていても、1億の不動産の価値は1億円です。

話戻しましょう。
なぜ、兄弟間で売買をすることが困難なのか?
最大の理由は、兄弟の借金の処理として住宅ローンを利用しているのではないか?と銀行が疑うからです。

通常、兄弟の間で不動産を売買することはありません。
今回のケースでは、子供A名義のマンションに家族で住んでいたが、Aが結婚し独立したので、子供Bに売買したいというお話ですから、なるほど確かにそれほど不自然な感じではありません。

しかし、今回のケースは子供Aが支払いをストップ。したという点です。
普通なら、買主に引渡しをするその時まで、Aさんは支払をするはずです。

にもかかわらず支払をストップするという事は、この売買関係なくAさんは支払をすることが厳しいという事です。

つまり、この売買は住宅の売買に見せかけた資金調達だと判断できるという事になります。
だから銀行がお金を貸さなかったと推測することができます。

不動産会社思考

さて、Aさんが依頼していた不動産会社はどのような思考をし何をしたかったのか?

考えられるのは、ノウハウがなくて本当に実現できると思っていたということです。
私から見れば、この兄弟間売買の問題点は直ぐに見えてきますが、残念ながら経験豊富でない営業さんも存在します。

この場合は、決して良くはありませんが、スキルの無い会社に頼んでしまった。というだけでお話しが終わります。
しかし。。。
こんな状態ではないと良いなという話ですが、最初から無理だと分かっていて仕組まれた可能性があります。

というのも、一部の心ない任意売却業者の中には、実現不可能なことで且つ所有者が望んでいることをあたかも実現可能なように請け負い、土壇場になって「努力したのですが、ダメでした」という会社があります。

ギリギリになって、やっぱり兄弟間売買ではなく、普通の任意売却をするしかないというような、火事泥棒のような仕事をするのです。
騙し打ちのような話ですが、これを防ぐためには、「甘い話には乗らない」を実践するしかありません。

このご相談もまだ、延滞6か月の段階でご相談いただいたので、何とかする時間は残されているだけマシですが、競売の開札間近でしたら間に合わない所でした。

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この記事を書いた専門家

宅地建物取引士杉山善昭
宅地建物取引士杉山善昭任意売却の専門家
(有)ライフステージ代表取締役
「不動産ワクチンいまなぜ必要か?」著者、FMヨコハマ、FMさがみ不動産相談所コメンテーター、TBSひるおび出演。単に家を売るだけでなく「お金に困らない暮らし」を提案している
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