税金を払っているのに給料差押え!?

税金を納付する男性

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「す、杉山さん!給料差し押さえられました!」
電話の主は、任意売却の依頼者。
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話は遡って、二ヶ月半前。
住宅ローンの支払いの見通しが立たず相談にお見えになったA様。
住宅ローンの遅れは少々、税金の延滞はかなりあり、いつ不動産や給料の差押が来てもおかしくない状況でした。
ご相談した結果、収入の増加も支出の減少も期待できない事が分かり、任意売却することになりました。
と言っても、まだ銀行から一括返済の要求が来ていない為、残債を上回る金額でないと売却することができない状態。

任意売却するまでに時間があることを利用して、住宅ローンの返済分相当額を、未納税金に充てる方針としました。
こうすることで給料の差押は回避できると考えられました。

ところが、A様からの電話は「す、杉山さん!給料差し押さえられました!」です。
私が驚きました。

おかしいな、住宅ローンの返済相当分を税金にまわしていれば、給料の差押えまでは行かないはず。
税金を払っているのに給料差押え!?
私は、違和感を覚えました。

そこでまず先に質問してみました。

私「Aさんあれから二ヶ月半程度立ちますが、その間に税金はいくら納めましたか?」

A様「いや、貯まってからまとめて払おうとしたので、まだ1円も納付していません」

私「。。。」

住宅ローンの返済をストップして、未納の税金を払う。という方針を決めたのですが、ストップした分をお手元に置いていたそうです。
給料を差押えられてしまったのも無理はありません。

不動産にしろ、給料にしろ、税金未納による差押えに至るためには、プロセスがあります。

1.税金が溜まってきて、役所から督促がくる。
2.督促が着ても納付されないと、呼び出しがかかりる。
3.役所に行くと、納付の予定を聞かれ一括で支払うよう要求される。
4.一括では支払えないので分割で支払をするように約束する。
5.数回は約束通り支払う。
6.納付書が無くなってしまったり、生活が苦しくなり約束を守れなくなる。

さてここから先が問題です。

厚木市役所と納付書

「元の期限通り納付できない後ろめたさ」と「分割納付ならできる。と言った約束が守れない後ろめたさ」があるので、納付できないまま連絡もできず、ずるずると時間だけが過ぎてしまう。のです。

役所にしてみれば、納付もない。連絡もない。どうなっているのか分からない。というナイナイ尽くしで、やむなく財産の差押え。となるのです。

つまり、例え約束どおり納付できなくても、恐れずに役所に連絡又は足を運び、「なぜ納付できないのか?」「いつなら納付できるのか」を担当者に分かりやすく説明し、今後の見通しはどうなのか?を伝えることが必要です。

役所の性格的なものですが、「どういう状況か把握している人」よりも「どういった状況になっているのか分からない人」の方を優先して回収作業、つまり財産の差押をしていくのです。

更に、分割納付した納付書には数万円の金額が記載されていると思います。
数万円を納付する余裕は無くても、5000円いや1000円なら納付できますよね。
役所に出向けば1000円でも納付することができます。

大切なことは、納付の意思を見せること。と完納するまでの見通しをつけること。です。
両方できることが理想ですが、最低前者だけでも実行することが大切です。

話は今回の事例に戻りますが、このように給料を差押えられてしまうと、生活が一気に破綻してしまいます。
今から慌てて、お手元に置いておいた納付予定の現金を納付しても、来月以降の給料差押えは解除できません。
役所の人間は「どういった状況になっているのか分からない人」と判断しているからです。

本来、任意売却まで時間の余裕がありました。

しかし、給料の差押えから一刻も早く逃れるには、任意売却開始までの時間を早め、早急に任意売却及び税金の完納をする必要があります。

今回は、税金を納めなかったので、本来ある時間が無くなってしまった。というお話でした。

関連記事:県市町村税滞納整理機構

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この記事を書いた専門家

宅地建物取引士杉山善昭
宅地建物取引士杉山善昭任意売却の専門家
(有)ライフステージ代表取締役
「不動産ワクチンいまなぜ必要か?」著者、FMヨコハマ、FMさがみ不動産相談所コメンテーター、TBSひるおび出演。単に家を売るだけでなく「お金に困らない暮らし」を提案している
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