知り合いの不動産屋に任意売却を依頼して失敗
こんなご相談がありました。
任意売却を知り合いの不動産会社に依頼した。
買い手がついて、銀行の承諾も取り付けた。
契約間近になって、市役所が差し押さえ登記を勝手につけた。
分割で納税することになっていたのにおかしい。
差し押さえによって、代金の配分案の調整が難しくなり売買契約が暗礁に乗り上げた。
かいつまんで書くとこのような状況です。
何故、このような事態になってしまったのか今回は考えてみたいと思います。
まず、分割で納税という約束になっていた市役所が、何故差し押さえ登記をしたのか?
ということについて、触れたいと思います。
市役所は市民の財産を差押えることは、極力避けたいと考えています。
では何故差押えるのか?
1.分割払いの約束を守らなかったから
2.呼出に応じなかったから
大抵このような状況です。
おそらく思いあたる節があるはずです。
「ウチはないよ!」という方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、そもそも地方税法において、督促状を発した日から起算して十日を経過した日までに納付されない場合、納税者の財産を差し押さえなければならない。と記載があります。
(市町村民税に係る滞納処分)
出典:地方税法
第三百三十一条 市町村民税に係る滞納者が次の各号の一に該当するときは、市町村の徴税吏員は、当該市町村民税に係る地方団体の徴収金につき、滞納者の財産を差し押えなければならない。 一 滞納者が督促を受け、その督促状を発した日から起算して十日を経過した日までにその督促に係る市町村民税に係る地方団体の徴収金を完納しないとき。
!!!
「差し押さえることができる」ではなく、本来は「差押えなければいけない」となっているのです。
つまり、差し押さえられない方が異常ということになります。
この固定資産税等の税金、5年払わないと時効の援用を受けることができ、払っていない税金を払わずに済むことができます。
そんなラッキーなことがあるのか!?
とお喜びになった方もいらっしゃるかも知れませんが、それほど甘くはありません。
不動産に差し押さえ登記をすれば、時効は一旦リセットされてしまいます。
つまり、時効をストップさせるために差押えをしているという3番目の可能性もあるのです。
従って、例え分割で払う約束が出来ていたとしても=差押えをしないということにはなりません。
よく相談者が怒った様子で、「話が違う」と主張されますが
1円でも延滞している以上、差押えられても文句は言えないのです。
まず原因の第一は市役所の差し押さえということについて書きました。 次は2番目の理由、最大の理由です。
知り合いの不動産屋に依頼したこと。そのものです。
知り合いの不動産会社に頼むことがダメなのではありません。
では、何がいけないのか?
分かりやすく、例え話をしましょう。
例えばあなたのおなかが痛くなったら、どこへ行きますか?
もちろん、内科ですよね?
では、おなかが痛くなったときに耳鼻科に行く人はいますか?
いませんよね?
脳外科に行く人もいないと思います。
不動産屋にはいろいろな種類があります。
賃貸専門、地上げ専門、投資専門、売買専門・・・
それぞれ得意分野があります。
では、任意売却は?
売買業務をしている不動産屋さんでも任意売却は分からないことが多いのです。
この相談者の最大の失敗は、知り合いの不動産屋というだけで、任意売却の依頼をしてしまったことと
専門的知識がないのにもかかわらず、任意売却の依頼を受けてしまった不動産会社です。
脳外科がおなかの治療をするようなものです。
無謀なことはお分かりになると思います。
任意売却の場合、いつ何時差押えが付くか分かりませんから
売却活動をする際は、常に注意していなければいけませんし、そのフォローも
必要です。
万が一のリカバリー対策も必要です。
事例の状態になってしまった場合の解決方法ですが、
既存の専任業者と契約を解除し、任意売却業務に長けている専任媒介契約をすることです。
お住まいのお近くで見つからなければご相談下さい。
この記事を書いた専門家
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(有)ライフステージ代表取締役
「不動産ワクチンいまなぜ必要か?」著者、FMヨコハマ、FMさがみ不動産相談所コメンテーター、TBSひるおび出演。単に家を売るだけでなく「お金に困らない暮らし」を提案している
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