固定資産税の最終督促「公売手続きに入ります」が来たらどうすれば良いのか

固定資産税の通知書

住宅ローンの返済や固定資産税の納税ができず、督促がされている状態ですと、「●月●日までに全額を納付しないと法的処置をとります」と言ったような状態になっていると思われます。

この期日は、数カ月先ではなく目先の直近の期日になっていることがほとんどです。

そのような通知が来ると、「あぁぁ!大変なことになった。どうしよう」という精神状態になり、心穏やかでなくとにかく目先のお金をどうしよう。。。という思考に陥ってしまうことが多いです。

そのお気持ち。本当によく分かります。

こんにちは、任意売却の専門家杉山善昭です。
今回は、●月●日に全額支払うように言われた際の対処法についてのお話しです。

引き続き分割払いの交渉ができるか?

過去の固定資産税を分割で払っている方、例えば年額の固定資産税が十万円だとしましょう。
二年溜まってしまい、毎月五千円づつ分割で払う約束をした。

冷静な方は既にお分かりだと思います。
そう、「いつまで経っても、払えない。」ということに。

毎月五千円を一年間払うと年間六万円です。
固定資産税の年額は年間十万円ですから、差し引き四万円の未納が年々増えていく計算です。
(念のため補足しますが、この記事において、固定資産税とは、固定資産税と都市計画税を合わせたものです。)
すなわち、破綻に向かっている納付計画で、「破綻の先送り」以外の何物でもありません。

もちろん、納付している方は「いつか何とかしなきゃ」という思いで毎日過ごしていることでしょう。
ここで危険なのは、「毎月少しづつ払っている」という意識を持ってしまうことです。

先に書いたように、いつまで経っても完納できない計画にもかかわらず、「少しづつ納付しているので大丈夫」と思ってしまう事です。

「少しづつ払っていたのに、気がつけば莫大な金額になっていた」
実際に私が任意売却無料出張相談に伺って、よく聞く言葉です。

毎月払っている。
少しづつ払っている。
というあいまいな意識ではなく、固定資産税の未納分がいくらで、毎月いくらづつ何回払いで完納する。と計画することが必要です。

言うまでもありませんが、一年間滞納した場合、翌年の納付額は二倍の納税をしなければ完納できません。
冷静に考えれば誰もが分かる事ですが、一年分の納税ができないのに二年分の納税をする事は非常に困難です。

滞納初期の方から、膨大な金額を滞納している方まで、幅広くご相談を受けます。
頑張って少しでも払う。という感覚論ではなく現実的に数値で検討して行く必要があります。

具体的には、年の課税額、納税の延滞による延滞税、毎月支払い可能な税額をしっかり計算することにより、納付計画が完納に向かっているのか、破綻に向かっているのか判別できます。

もし、破綻に向かっているのなら早急に対処する必要があります。

「何とか遅れ遅れ頑張って払ってきたので、一括ではなくこれからも少しずつ払っていきたい。」
そう思うお気持ちも良く分かります。

しかし残念ながら
分割払いをしても完納できる見込みがないと判断されたからこそ、一括で請求や差押がされているという事を認識する必要があります。

こちらの記事で解説しています。


このような状態になってしまったのは、今まで問題の先送りをしてきた結果であって、今突然降って湧いた話ではありません。

税金が払えないのですが、何か良い方法はありますか?記事より抜粋
最終通告までのプロセス
1.納税期限内に、納税できない
2.納税の督促着ても払わない
3.役所から呼び出しが来て出向く
4.分割払いの約束をする
5.分割払いが滞る又は完納見込みなし

というプロセスを経て、今の状態になっていますので、今からは真面目に払いますと言っても、それは厳しいと言わざるを得ません。

厳しい言葉で申し訳ありません。
現実を真摯に受け止めないと、物事が解決しないのであえて書きました。

資金調達でしのぐ方法

生命保険の解約

掛け捨てではない生命保険に加入している場合、「満期返戻金」というものがある場合があります。
この満期返戻金。
借りる事ができるのです。

想定利息の+1%程度で借り入れできるので、短期的な資金調達手段としてはありです。

また、生命保険を解約すれば、納税資金として利用できます。

生命保険を解約すると、何かあった時に困る。という方がいらっしゃいますが、何かあった時の為の備えは今現時点で余裕があるからできるのです。

借金を増やしながら生命保険料を支払う理由はどこにもありません。
優先順位を感情で考える人が陥りやすい部分ですので注意したい所です。

金融機関からお金を借入

未納税金の納付をするために、銀行からお金を借りて納税をと考える方も多いと思いますので、触れておきましょう。

結論から書きますが、未納税金を払うために金融機関からお金を借り入れすることは不可能です。
理由はシンプルです。

銀行は税金を払っていない人にお金を貸さないからです。
融資申し込みの際、課税証明、納税証明が必要になるのは、課税された税金がいくらか?課税された税金を支払っているのか?という裏付けを取るためです。

国税徴収法には、税金はあらゆる債権に優先するという決まりがあります。
従って、一番優先するべき税金を払っていない人にお金を貸す事はあり得ないのです。

親族、友人からお金を借入

資金調達して納税するために一番現実的な方法です。
但し、「お金を借りる」という意識ではなく「お金を貰う」という意識を持つことが重要です。

お金を借りるというと、聞こえがまだ良いので借りると皆表現するのですが、実際に返済することはできません。

理由は、家計が赤字だからです。

このページの前半で「毎月の赤字額を把握しましょう」と書きました。

生活が赤字であるということは、毎月お金が足りないことを意味します。
お金を借りて返済する余力はどこにあるのでしょうか?残念ながらありません。

普段の生活をしていたら税金を払う事ができないのですから、一時的に誰かからお金を借りても、税金を払えない生活そのもの。つまり、赤字家計を直さない限り、借りたお金を返済することはできません。

返せないお金は借りるのではなく、貰うのと同じです。

返済をする条件でお金を借りるのなら、現在の収入がいくらで生活費がいくら。
余るお金がいくらだから毎月●万円なら返済できる。という最低限の計算はするべきです。

赤字家計からの脱出する方法は、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

総合的な視点での検討

さて、ご紹介した「住宅ローン返済苦!赤字家計から脱出する杉山式赤字解消法」を実践しても赤字が解消しない場合、その原因は「住宅ローン」にあると言わざるを得ません。

住宅ローンの支払いをすると税金が払えないのあれば、住宅ローンを手放すことが根本的問題の解決方法です。

逆の言い方をすると、家を手放さない限りあなたの生活の赤字は解消しないということです。

家を手放すには二つのルートがあります。
一つは、自分の意思に関係なく、強制的に売却される「公売です。

赤字が解消されない生活はいつまでも続きません。
未納税金が貯まれば、いくら自分が嫌だと言っても強制的に不動産を売却されてしまいます。

二つ目は自主的に売却する「任意売却」です。

任意売却は、公売よりも高い価格で売れる可能性が高い、プライバシーが守られるといったメリットがあります。
役所の手続きである公売と裁判所の手続きである競売の違いはありますが、公売と競売は似ています。

こちらのページで競売と任意売却の違いを知ることができますのでご覧ください。

さて、家計が黒字にならないのなら、
目先のお金をどうするか?を考える前に総合的な視点で今後どうするかを決める必要があります。

方向性が決まったら目先の対処

前項まで書いた通り、家計を見直しても黒字にならないなら、不動産を売却することになります。
その売却の方針となれば、公売で売るか?任意売却で売るか?という選択になります。

また、売却までの未納税金をどうするか?という点について検討することになります。

長期的な方向性が決まらないのに短期的な目先の対応を考えても意味がないからです。
この方向性により、目先の対応をどうするか?が決まってきます。

当事務所では、「公売手続きに入ります」という状態からの任意売却を数多く成功させてきた実績があります。
一日も早くご相談ください。

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この記事を書いた専門家

宅地建物取引士杉山善昭
宅地建物取引士杉山善昭任意売却の専門家
(有)ライフステージ代表取締役
「不動産ワクチンいまなぜ必要か?」著者、FMヨコハマ、FMさがみ不動産相談所コメンテーター、TBSひるおび出演。単に家を売るだけでなく「お金に困らない暮らし」を提案している
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