共有名義の不動産。離婚後の固定資産税について

あゆみ

こんにちは、アシスタントのあゆみです。
今回は「不動産の共有と固定資産税」のことについて先生に教えてもらいたいと思います。
先生よろしくお願いします♪

杉山先生

はい、杉山善昭です。
今回もよろしくお願いいたします。
ご夫婦で不動産を購入することは良くありますよね。
しかし、昨今離婚率の高止まりから、離婚後も共有で不動産を所有している人も同様に数多くいます。

離婚したとしても不動産は共有で所有している理由

本来、離婚時には共有状態も解消することが理想ですが、現時的になかなか共有を解消するうことは困難なため離婚後も共有状態で所有するケース。これ決して珍しいことではありません。

何故、売却せず、離婚後も共有状態で所有をするのかというと、
いわるゆオーバーローン状態だから。売るに売れないのです。

あゆみ

先生!
オーバーローン状態ってどんな状態なんですか?

杉山先生

専門用語だと分かりにくいですよね。
下の図を見ると分かりやすいです。

あゆみ

はっはーん。
売れるお金だけじゃ、ローンを返せないってことですね。

杉山先生

その通りです。

専門用語解説

オーバーローン状態とは、住宅ローンの残債が売却価格を上回っている状態。
アンダーローン状態とは、住宅ローンの残債が売却価格を下回っている状態。

この場合、赤字が出る分を手元から出すことができれば良いのですが、貯蓄ができていない家庭の場合、マイナス分を補てんすることができない場合は、任意売却という特殊な売却以外普通の売却はできません。

固定資産税は共有者全員に支払い義務がある

では、離婚によって世帯が別になった場合、固定資産税はどうなるのでしょうか?

あゆみ

離婚したんだから、払わなくてもイイ!
って思いたい所ですが、、、きっと違う予感がします><

杉山先生

「その違う予感」は合ってます(笑)
たとえ離婚したとしても不動産は共有で所有している場合、共有者全員に固定資産税の支払い義務があります。

何だか理不尽のように思う方もたくさんいらっしゃると思いますが、「離婚したから」「別居しているから」「別の所に引越したから」といった理由は一切考慮されません。

固定資産税の納付書は代表者へ届く

共有の不動産の場合、固定資産税はどのように支払わなければいけないでしょうか?

あゆみ

ハイ、ハイ、ハイ!
今度こそ当てに行きます♪
それぞれの所に、自分の分だけ請求書が届くんですよね?

杉山先生

正解!と言いたい所ですが、あゆみさん
残念ながらハズレです。。。

基本的には、各自自分の権利分(持分の分)負担する義務があるのですが固定資産税の納付に関しては違う規定があるのです。

権利分だけ納付すれば良い、というわけではない

「固定資産税は各自が連帯して納付する」と決まっています。
言葉が難しいので、解説をしましょう。

例えば、夫が10分の7、妻が10分の3の権利を持っていたとしましょう。

固定資産税は基本的に各自別々に支払うことができないため誰からが代表で支払い手続きをすることになります。

一般的にはもっとも持分の多い方が支払手続きをすることが多いようです。

どちらかが滞納するともう一方が全額払うことに

離婚後、妻が10分の3に相当する固定資産税を夫に送金していたとします。
しかし、夫は固定資産税の納付をせず、使い込んでしまった場合。。。

妻は固定資産税全額について、納付する義務を負います。

滞納すると全体の額が請求
あゆみ

ちょっと先生!
奥さんは旦那さんに払っているのに、全部を請求されるなんて
絶対おかしいですって!ヒドクすぎませんか!

杉山先生

まぁまぁ興奮しないでください。
確かに、心情的には納得いかないですよね。
こうなった理由があるので触れておきましょう。

不動産を所有するのは本来1人ですが、日本では複数人での所有を認めています。
しかし、複数人で所有するのを認めるけれど、税金は全体だから連帯して払ってね。

請求も代表者1人にしか送らないよ~というルールになっているのです。

地方税法第十条の二

第十条の二 共有物、共同使用物、共同事業、共同事業により生じた物件又は共同行為に対する地方団体の徴収金は、納税者が連帯して納付する義務を負う

 共有物、共同使用物、共同事業又は共同行為に係る地方団体の徴収金は、特別徴収義務者である共有者、共同使用者、共同事業者又は共同行為者が連帯して納入する義務を負う。

 事業の法律上の経営者が単なる名義人であつて、当該経営者の親族その他当該経営者と特殊の関係のある個人で政令で定めるもの(以下本項において「親族等」という。)が事実上当該事業を経営していると認められる場合においては、前項の規定の適用については、当該経営者と当該親族等とは、共同事業者とみなす。
引用:地方税法

もちろん、使い込んでしまった夫に、自分が立て替えた分を請求することは出来ますが、役所に対する責任は逃れることができません。
これが連帯納付義務です。

あゆみ

私の友達は「離婚協議書に固定資産税は全額夫が支払う」ってちゃんと書いたって言ってました。
それなら心配ないですよね?

杉山先生

離婚協議書はあくまで当事者間の約束ごとを決めただけですので、役所に対して対抗はできません。
つまり、滞納している税金の納税を拒否することはできない。という事になります。

もし、「固定資産税は夫に渡してあるから私は知らない」と妻が主張した場合、どうなるでしょうか?
こちらについても役所には対抗できません。

その主張が認められることはなく、最悪公売という手続きによって、不動産は強制的に換金処分されてしまいます。

公売という言語が分からない。という方は公売とは?をご覧下さい。

当然、あなたは不動産から立ち退くことを余儀なくされます。

固定資産税は分割して納付できるのか?

未納税金が発覚した後、一括では払えないけれど分割でなら払うことができる。という事もあるかと思います。

役所も一括で納付がどうしてもできないのなら、毎月いくら払えるのか?聞いてきます。
現在の収入、家計の状況などを一通り説明すれば、「では毎月●万円納付」ということで話ができる可能性はあります。

但し、分割納付は年度末までに完納することが基本です。
理由は、新年度になれば新しい税金が生まれるからに他なりません。
未納税金が重なれば重なる程、完納が難しいことは簡単に想像できますよね。

税金を分割納付していても、給料の差し押さえの危険はある

仮に分割納付をしている途中であっても給料の差押がされない保証はどこにもありませんので、この点も注意が必要な所です。

あゆみ

え~~~
なんで分割で払っているのに差押えられちゃうんですか?

杉山先生

分割払いは「権利」ではないからです。
例えば分割払いの約束をしたけれど、納付が数日遅れてしまったり、他に財産が見つかったりすれば、差押えられる可能性は十分あるのです。


こちらの記事で詳しく解説していますので、ご確認下さい。

固定資産税を滞納する前にやるべきこと

税金の支払いが遅れて、督促が来るとつい「遅れている税金をどうやって払おうか」という点にばかり意識が行ってしまいます。
確かに、その事も大切なことには違いありません。

そもそも払えない状態になる前に、家計を見直して建て直すことです。
そして、払えなくなったら早急に対策をすることです。

本質的には「これから毎年発生する固定資産税に対してどう対応するのか?できるのか?」という点が最も重要です。
目先のことを何とかしても、根本的な事が解決しない限り、あなたの悩みはずっと消えません。

お金のことで悩む生活は本当に厳しいものがありますし、生産性がありません。

今回のまとめ

固定資産税の滞納は、住宅ローンも残っていると、より回復が難しくなります。
一日も早く専門家に相談しましょう。

この記事を書いた専門家

宅地建物取引士杉山善昭
宅地建物取引士杉山善昭任意売却の専門家
(有)ライフステージ代表取締役
「不動産ワクチンいまなぜ必要か?」著者、FMさがみ不動産相談所コメンテーター、TBSひるおび出演。単に家を売るだけでなく「お金に困らない暮らし」を提案している
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