不動産投資は何故、失敗しやすいのか?

不動産投資失敗の理由
こんにちは、任意売却の専門家杉山善昭です。
今回は私が、任意売却の相談の現場で多く寄せられる不動産投資の破綻について解説したいと思います。

儲かるはずの不動産投資がなぜ失敗するのか?
順番に解説していきます。

不動産ならではの失敗要素

不動産とは文字通り、動かない財産です。
想像してみてください。
例えばあなたがコインランドリーの投資をしたとします。
出店する際にはマーケットリサーチをして、近隣エリアに競合他社はいませんでした。
これはチャンスと思って出店した所、1年以内に同じエリアに5件ものコインランドリーができてしまった。

即、赤字に転落、事業は失敗。
誰にでも想像できるのではないでしょうか?
分かりやすい例として、コインランドリーを挙げましたが、居住用の物件でも構図は同じです。

収入は不安定、支出は確定

表面利回りと実質利回りの差

家賃保証やサブリースを利用しない不動産投資の場合、空室イコール所得がゼロです。
アパートなど複数の部屋がある場合は、いきなりゼロにはなりませんが、それでも安心はできません。
実例を挙げて考えてみましょう。

購入代金8,000万円、10世帯木造アパート、表面利回り7.5%の物件、年間の家賃収入は600万円の物件です。

自己資金は1,000万+諸経費、借入は7,000万。金利は2.3%で20年返済とすると毎月の返済は36.4万円。
年間436万円になります。

次に、賃貸の運営コストを想定します。
賃貸管理コストは家賃の5%で年間30万。
固定資産税20万。
その他コスト10万円とします。
運営コストは年間60万です。

その他修繕費も発生しますが、ひとまず無視します。

では所得の計算です。
年間売上金額600万ー返済436万ーコスト60万=104万円

実質の利回りはいくらになるでしょう?
わずか1.3%です。

このシュミレーションでは自己資金を1,000万+諸経費入れているにも関わらずです。
投資としては明らかに失敗レベルです。

住宅ローンに比べて不動産投資用の金利が非常に高いことも失敗の要因になっています。
低利回り
このアパート1室が1年空いたとします。
収支はこうなります。
年間家賃収入540万。
返済436万円
管理コスト57万円(管理費27万+固定資産税20万+その他10万)
所得47万円
利回り0.58%

1部屋空くことにより利益は54.8%も低下してしまうのです。

これは、ビジネスの世界で経理をしている人は皆知っています。
ビジネスをする上で、固定費と変動費という考え方があります。

固定費とは売上に関係なく必要となる費用、変動費は売上に連動して必要となる費用です。

固定費が多ければ多いほど、ビジネスは失敗しやすくなります。
不動産投資は、この固定費の割合が非常に多いことを理解していない人が多いと実務上感じます。
固定費の高さが不動産投資で利益を生み出しにくいと言えるゆえんなのです。

下がり続ける家賃

古くなれば家賃は下がる。
日本はヨーロッパと違い、古い建物の評価は新しい建物に比べて低くなります。
必然的に古い物件程、家賃も安くなります。

先の例で家賃が1割下がったことを想定してみましょう。
年間家賃収入は540万円です。
結果所得47万円で、利回り0.58%。
そう、1室空室になったのと同じことになります。

更にこの物件1室が開いたら?
そう赤字ですね。

この時「失敗した!」と気が付いても時すでに遅しです。

お金を生まない土地の借入

前述した収支のシュミレーションでお気づきになったかもしれませんが、アパートやマンションの場合、土地の広さと収入には何の関係もありません。

駐車場が取れれば収益が上がるのだから、土地は広いほうがいいに決まっている。というご意見もあるかもしれませんが、土地を購入して駐車場で貸す不動産投資モデルは、収益が著しく低いので論外です。

では、土地と建物の関係について解説しましょう。
例えば総額8,000万円のアパートが2つあったとします。
一つは土地代2,000万、建物代6,000万円。
もう一つは土地代4,000万、建物代2,000万円。

この場合、一般的には前者の方が利益を生み出します。

究極の事を言えば賃貸物件の場合、土地代がゼロが理想です。
何故なら、建物だけあれば収益が生まるからです。

現実的に土地をゼロにすることはできませんから、購入費の内土地代を極力減らすのですが、いずれにしても土地の部分は収益を生み出しません。

収益を生み出さないものに、金利や固定資産税というコストを払わなければいけないのです。
また本記事では、話を簡略化するために固定資産税について触れていませんが、土地は減価償却の対象外です。

投資用物件の出口

下がる家賃

投資用物件の出口戦略は何でしょうか?

多くの人が勘違いしています。
どんな勘違いをしているかと言うと、「返済が終われば家賃は全部自分のもの」と思い込んでいる点です。

確かに、返済が終われば管理コストを除き家賃は全額収益になりそうな気がします。
しかし、返済が終わる頃築年数は何年でしょうか?

私どもでは賃貸管理もしていますが、築年数が経過した建物は修繕の頻度が高まり、大家さんにとってはストレスに。
結果、手放して築年数の新しい投資物件を購入されることも多いです。

例外として、地主さんのような土地持ちの人はアパートを建替えしたりしますが、一般の投資家の方はまずやりません。
必然的に出口は「売却」になります。

この売却。
一口に売却と言っても簡単ではありません。

この時に障害となるのが、築年数の古さと収益還元法です。

築年数

金融機関は、不動産投資の場合、基本的に建物の耐用年数以内での融資しかしません。

木造の場合は築22年まで。
築20年で売却する場合、買主は2年ローンしか利用できません。

軽量鉄骨は27年、RCは47年といった具合です。
売却相手である購入者が融資を受けることが困難であることが分かると思います。

収益還元法

不動産の査定は大きく分けて、実需物件に使われる取引事例比較法、不動産投資に使われる収益還元法という価格の考え方があります。

一般に高く売却できるのは、実需の不動産に使う取引事例比較法です。
収益還元法を基準とした売却は、売却可能価格が低下します。

マンションの一室などは、入居者が退去したタイミングで売却すれば取引事例比較法での売却が可能ですが、アパートはどこまで行っても収益還元法から逃れることはできません。

まとめ

不動産投資は「負けを認めにくい」投資です。
失敗に気が付いてもズルズル先延ばしになってしまうという事例。
私はいくつも見てきました。

株式投資をして、購入した株が下がってしまい塩漬けになっている事に似ています。
現金で購入した株は塩漬けになっても大したダメージになりませんが、借金して購入している不動産投資の場合は違います。
少しでもダメージが少なる判断をすることをお勧めします。
ご相談ください。

この記事を書いた専門家

宅地建物取引士杉山善昭
宅地建物取引士杉山善昭任意売却の専門家
(有)ライフステージ代表取締役
「不動産ワクチンいまなぜ必要か?」著者、FMさがみ不動産相談所コメンテーター、TBSひるおび出演。単に家を売るだけでなく「お金に困らない暮らし」を提案している
プロフィールをもっと見る
●この専門家に無料電話相談をする:TEL0120-961529※タップで電話かかります。