愛川町中津からの任意売却相談

愛川町から悲痛なご相談は「何とか引越しをしない任意売却」でした。

住宅ローンが払えなくなってしまった背景

元気だった夫が突然倒れてしまった。
原因は脳梗塞。

幸い、言語機能は何とか大丈夫だったが左半身不随、回復は絶望的。
現在、リハビリ病院入院中。
障害年金がもらえると思うけれど、いくらもらえるかまだ分からない。

障害年金がいくらもらえるのか?日本年金機構に障害年金の制度が説明ページがあります。

出典日本年金機構

障害等級により、受け取ることができる金額に変動すること。そもそも障害者と認定されないと受け取ることができないこと。という内容が書かれています。

話を元に戻しましょう。

マイホームを購入したのは13年前。当時払った自己資金はゼロ。
おそらく今手放しても、住宅ローンを全部返すことはできないと思う。
毎月8万円だった住宅ローンの返済だったが、今回のことがあり、払うことができなくなっててしまったので、銀行にリスケを頼んだ。

1年間の間という期限が付けられたものの毎月の負担は4万円と半額になった。
私は今年出産をしていて、仕事を休んでいる。

子供が1歳になるのを待って仕事に復帰しようとしている。
こんな状態でもせっかく買った家。何とか残したいし、お友達付き合いもあるので体裁も悪いやっぱり家を残したい。

このようなご相談でした。
確かに、ご近所にお友達がいると、「家を売った」とは言いにくいものですよね。

考え方のポイント

このお話し当初は電話でのご相談だったのですが、その時は障害者年金がいくらもらえるか分からない。ということで面談保留になっていました。

というのも、生活が続けられるか否かというのは、とどのつまり世帯の収入にかかっています。
逆に言えば、世帯収入がいくらになるか分からない状態では、生活が続けて行けるか否かの判断がつきません。

家計が赤字か黒字か分からないのに、面談をしても残念ながら解決方法も見出すことができません。

初めてのお電話から4か月して、再度お電話があり面談にてご相談をすることになりました。

まずは家計の整理です。

家計計算

現在は傷病者手当が支給されていました。
傷病者手当とは、

  • 業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
  • 仕事に就くことができないこと
  • 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと

という要件を満たした方が受取ることができる手当です。

詳しく知りたい場合は、全国健康保険協会のページをご覧ください。

勤務時間外の病気、ケガで入院や自宅療養などが必要となった際に支給される金銭です。
仕事を休まなければならなくなった4日目以降から1年6か月の間支給されます。

この支給額が毎月17.5万円支給されている状態でした。
奥様は今、働けない状態ですが行政から毎月8万円の手当があるそうです。
行政とおっしゃっていましたが、出産手当金のことかもしれません。

従って世帯収入は、月額25.5万円ということになります。

一方、ご主人が健康な時の状態も確認する必要があります。
確認したところ、元々は世帯収入が38万円あったそうです。

この時の住宅ローンは8万円。
その結果、できた貯金はゼロ円だったそうです。

破たん前の家計

図のように38万円の収入があり、住宅ローンの返済を8万円した結果、貯金ができない、という生活だったという事になります。
これが良いか悪いかを論じる所ではありませんので、念のため。

さて、脳梗塞という予想もしないことが原因で現在に至るのですが、現在の収入は月額25.5万円。住宅ローンの支払いは月額4万円。
これで生活が成り立つでしょうか?

そう、答えはもう出ています。
残念ながら成り立つことはありません。

このご家庭の場合、38万-8万=30万が生活費だったという事です。
25.5万-4万=21.5万円しかありません。

現在の家計

30万あってもカツカツなのですから、それから8.5万円も減ってしまっては節約をしても赤字を補うことは不可能です。

少し視点を変えて考えてみます。
「引越しをしたくない」というご希望を叶えるためには、リースバックという任意売却を使うことができれば実現します。

一旦売却して、買主から賃貸して住み続けるということは状況が揃えば可能です。
その条件とは、、、
もちろん家賃を払うことです。
では実際にこの家を借りるとしたらどのくらいの家賃になるのか?

計算してみました。
相場を調査した所、7~8万円だということが分かりました。

さて今回のケースで、7~8万円の家賃が払えるでしょうか?

答えは明らかです。
このケースでは仮に売却後賃貸の話がまとまったとしても、現実的に家賃を払うことはできないことが分かります。
家賃が払えなければ、強制的に退去をすることになります。

ここまで書くと、引っ越さずに問題を解決をすることは不可能だと分かります。
しかも、今回のケース。

傷病者手当が支給されるのは1年半。その後は障害者年金となり、想定収入は更に減額してしまいます。

私は、残念ながら、、、と一つ一つ説明をしていきました。
通常の任意売却がベストですと。
引っ越さずに問題を解決することはできる見込みがないと。

私は、そうアドバイスをしました。
なぜこの事例を皆さんにご紹介したか?
全ての任意売却業者がそうではないからです。

世の中には先を見越したアドバイスをしない任意売却業者も存在します。
「家賃を払うことが出来なければ追い出せばいい」と考える非情な業者です。

一般の任意売却に比べて、売却後賃貸という任意売却は値段が安くしか売れません。
という事は、安く買っておいて早急に退去させれば、、、その業者は儲かるという事になります。

こういった業者は本来の目的である、早々に追い出して転売をもくろむことを隠して、「売却後賃貸なら引越しをしなくて済みます」と甘言を弄する不動産会社も一定割合存在するのです。

苦しい時に、望むことを提案してくれる人は地獄に仏のように見えるかもしれません。
本当に実現可能なのかどうか?

最終的にはご自身で判断していただくしかないのです。

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この記事を書いた専門家

宅地建物取引士杉山善昭
宅地建物取引士杉山善昭任意売却の専門家
(有)ライフステージ代表取締役
「不動産ワクチンいまなぜ必要か?」著者、FMヨコハマ、FMさがみ不動産相談所コメンテーター、TBSひるおび出演。単に家を売るだけでなく「お金に困らない暮らし」を提案している
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