任意売却の売買契約。何をするのか?

売買契約書

こちらの記事は動画でもご確認いただけます。

任意売却を開始して、めでたく買主が見つかると、次は売買契約手続きとなります。
今回は、その売買契約手続きについての説明になります。

そもそも、売買契約とは何か?について説明するところからはじめましょう。
売買契約は、簡単に言うと、「売ります、買います」ということを約束することです。

何を訳すのか?についても触れておきましょう。
取り決めすることは、
●売買する価格
●支払い方法
●引き渡しの時期
●名義変更登記を申請する時期
●その他条件

少し補足しましょうね。
「支払い方法」は、住宅ローンで年々払い。。。ということではなく、売主買主間で代金の支払い方法を取り決めすることを指します。
例えば、手付金を1割、引き渡し時に9割とか、引き渡し時に10割といった感じです。
「その他」は、建物の保証の有無や、修繕をするかしないか。などです。

この手続きは、どこでしなければいけないという法律的な決まりはありません。
どこで締結しても契約自体は有効になります。

但し、実務上は、買主側の不動産会社で行うことが多いです。
買主側の不動産会社に、売主、買主、売主側不動産会社、買主側不動産会社が集まり、先ほど書いた、契約の取り決め事項を書面にして関係者全員が記名(署名)押印します。

どうしても関係者の都合を合わせることが困難な場合、例外的ですが、「集まらずに売買契約を締結する方法」もあります。

さて、売買契約の話に戻りますが、不動産の売買形式は、大きく分けて次の通り二種類に分かれます。

●全ての手続きが一度に完了してします方式
●複数回に分けて一連の手続きを終了させる方式

一見、全ての手続きが一度に終わるほうが良いように見えます。
しかし、実務的では二回に分けて手続きをすることがほとんどです。

理由を知りたいですよね。
解説します。

契約書までの順序

全ての手続きを一度で行う手続きの場合、一言でいうと、「売買契約手続き」と「引き渡し手続き」を同時に行うことになります。

この両方の手続きをするために、それぞれが次の準備をすることになります。
【売主側】
●引っ越し
●登記申請に必要な書類の取得
●住宅ローンの返済

【買主側】
●代金の準備
●登記申請に必要な書類の準備
●住宅ローンの借入手続き
●火災保険の申込み
●引っ越しの段取り
●リフォームの段取り

【不動産会社】
●売買契約書類関係の作成
●債権者との調整
●司法書士の手配
●住宅ローン借入銀行との調整

【司法書士】
●名義変更登記の準備

【売主側銀行】
●住宅ローン一括返済の準備
●抵当権抹消必要書類の準備

【買主側銀行】
●住宅ローン貸出の契約
●融資の準備
●抵当権設定登記必要書類の準備

関係者全員がこれらの準備をして、当日を迎えようとした前日に、もし、買主がドタキャンしたら。。。
関係者全員がこれらの準備をして、当日を迎えようとした前日に、もし、売主がドタキャンしたら。。。

大変なことになることは、想像に難しくないですよね。
一括で手続きするという方式は、最後の最後まで、取引の確実性が担保されない。ということになります。

その為、ほとんどの売買契約は、「複数回に分けて一連の手続きを終了させる方式」が一般的です。

複数回方式の場合、契約時には、契約内容を取りまとめた、売買契約書を作成し、手付金の授受を行って終了です。
契約書には、どちらか一方が、自己の都合で売買契約を解除した際にペナルティーを科す条文が入っています。

ペナルティーが科せられる分だけ、ドタキャンされる可能性が低くなるので、売主、買主共に、安心して準備を進めることができるのです。

ここまで書いたので、改めて書くまでもないかもしれませんが、売買契約を結ぶ手続きが持つ意味は、最終手続きをするための準備の始まりいうことになります。

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この記事を書いた専門家

宅地建物取引士杉山善昭
宅地建物取引士杉山善昭任意売却の専門家
(有)ライフステージ代表取締役
「不動産ワクチンいまなぜ必要か?」著者、FMヨコハマ、FMさがみ不動産相談所コメンテーター、TBSひるおび出演。単に家を売るだけでなく「お金に困らない暮らし」を提案している
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