位置指定道路の持分がない住宅を任意売却したい。トラブルを回避する方法は?
ハイハイハイ!!!
先生、しょっぱなから分りません!
位置指定道路なんていう道路、生まれて初めて聞いたのでチンプンカンプンです。
予想通りのリアクションありがとうございます。
確かに日常生活で位置指定道路なんて言葉は出てこないし使いませんよね。
大丈夫です。位置から分かりやすく解説していきます。
難しく知りたい方は:横浜市道路位置指定(建築基準法第42条第1講第5号)をご覧ください。
このページの目次
位置指定道路とは
位置指定道路と言ってもイメージ湧きませんよね。下図のようなイメージです。
位置指定道路とは簡単に言うと。
- 元々道路ではない私有地を
- 建築基準法の許可を取得し
- 建築基準法に適合する道路の形態にしたもの
という位置づけになります。
上の図の位置指定道路(私道)って書いてある部分は元々誰かが持っていた土地ってことですか?
そうです。
上の図だと私道に接している6区画の土地と同じ敷地だったと思われます。
ひとつの敷地だと広すぎるので、6区画に分割するために新規で道路を作った。という事になります。
上の分譲後の土地は以前はこのような一つの土地であったと思われます。
先生!
位置指定道路=私道って考えれば良いのでしょうか?
そう思ってしまうのも無理はないですよね。
位置指定道路というのは建築基準法での扱いの事をいい
私道とは道路法での扱いの事をいいます。
「共同私道」と書いてあるサイトがありますが、実務上では使いません。
私道とのちがい
位置指定道路は元々道路出なかった私有地を建築基準法上の道路にすること訳ですので、「所有者」が存在することになります。
所有者が国や市等でない私人(法人も含む)であれば、その土地自体は私道と言う事になります。
位置指定の許可を受けて作られた道路が国や市に寄付されれば、公道という事になりますので、位置指定道路であれば、私道と考えて良いです。
但し、私道=位置指定道路ではありません。
何故なら、位置指定道路の認可を取得していない私道は、日本全国至る所にあるからです。
位置指定道路の持分とは
さて次に、その道路は誰のものなのか?とう点について解説しますね。
大きく分けて、1人の地主が所有しているか、複数の所有者がいるか?となります。
前者は例えば、分譲した不動産会社が道路を全部所有しているというパターンがあります。
後者の複数の所有者がいる場合ですが、こちらは更に二つのパターンに分けることができます。
まず先に、全体を持分で所有しているケースを説明しますね。
上図のように、私道部分が一つの土地でこのケースは6人が平等に持分で所有しているケースです。
次に私道を細かく分割し、各自が部分を所有しているケースを説明しましょう。
下図のケースは私道に接する6区画の所有者でそれぞれ割り当てられた部分を単独所有しています。
私道の各部分を便宜上区分けして所有している形です。
先生、持分型1と2ではどっちが良いのでしょうか?
持分型1の方が良いですが、とても細かくて深い話になるので、今回は説明を省略して別の機会に解説しますね。
大枠ではどちらも大差ありません。
位置指定道路の持分がない場合のメリットデメリット
さて、次は位置指定道路の持ち分がない場合のメリット、デメリットについても少し触れておきましょう。
【メリット】固定資産税がかからない。(但し多くのケースでは位置指定道路は固定資産税非課税)
【デメリット】通行や掘削の権利が当然に認められるわけではない。
先生、「当然に認められない」って絶対認められないってことですか?
法律言葉だったので、理解困難ですよね。
「当然に認められるわけではない」というのは「当たり前に認められない」ということです。
位置指定道路というのは、建築基準法上の規定で、「建築物の敷地に接する道路の基準」を定めています。
建築物の敷地に接する道路だからといって、誰もが無条件にその道路を利用できるわけではない。
という事になります。
つまり、通行する権利が保証されていない。ということになります。
分かり辛いと思うのでもう少し踏み込んで解説します。
位置指定道路は建築基準法という法律で定められている道路で、認可されるとその私道は道路以外の用途(駐車場にしたり、ゴミ置き場にしたり)には利用できません。
つまり、道路以外に使えないということになります。
位置指定等の認可を取っていない私道は、建て替えが出来ない可能性が高くなりますが、位置指定の認可を取っていれば私道の持分がなくても、建て替え自体は問題なくできることになります。
建物の建て替えができるなら何の問題もないのでは?と思いますよね。
しかし、建築基準法は単に、建物が建つか建たないか?という決まりです。
他人の土地をあたり前に使えることを保証している訳ではありません。
はっは~ん♪
何だか難しかったけど、要するに、その私道は建物の法律で認めるけれど
その私道を使えるかどうかは知らないよ。ってことですよね?
正にその通りです。
「敷地に建物を建てられる権利」と「私道を使える権利」は別モノということです。
ちなみに、位置指定の許可を受けている場合、建替えやリフォームをする際、私道所有者の承諾は不要です。水道を引きなおす工事をするために、道路を掘削する工事をする場合は私道所有者の承諾が必要となります。
(ご相談事例)位置指定道路の持分がなくても住宅を任意売却したい
実際のご相談事例
弁護士から依頼されている任意売却の案件。
物件は比較的綺麗で任意売却の支障となることはないのですが、物件を調査すると意外な問題が発覚したのです。
発覚した問題とは「私道」
全面道路が私道で、道路位置指定という認可を取った私道でした。
道路位置指定の認可をとっている点では、非常に良いのですが道路の権利(持分)が無かったのです。
私道だから問題がある。というわけではなく、その道路の持分がないことが問題です。
位置指定道路の持ち分がない不動産に対して、金融機関は「持ち分がないこと」について非常に気にします。
そういうと、いやいやウチは当時銀行から融資を受けて買っているから◯◯銀行なら大丈夫。という方がいらっしゃいます。
しかし、当時はうるさく言われなかっただけに過ぎません。
結果、◯◯銀行は昔okだったけど、今はダメ。ということが起こり得るのです。
位置指定道路の持分がない物件は銀行の住宅ローン融資が受けにくいのです。
位置指定道路の持分なしの住宅は売りにくいのか
先生、
結局、私道の持ち分がないと売りにくいってことですか?
はい。
買主が買いにくい=売りにくい不動産といわざるを得ません。
このご相談事例。全面私道の権利が無い(持分がない)=売りにくいのです。
位置私道道路の持分がない住宅の任意売却はできるのか
度々すみません。結局売れないってことでしょうか?
結論から言うと、売れます。
問題を解決して売る方法と、問題を解決しないで売る方法に分かれます。
【問題を解決して売る方法】
- 道路の所有者全員に通行、利用に関する承諾を取る。
- 持分を取得する。
- 裁判で通行権を認めさせる。
以上の三つの方法があります。
2が理想です。但し、実現することは実務上、非常に困難です。
私道の権利を買うということは、その分売る人がいなければいけませんが、「余計なことをしたくない」というのが一般庶民の考えです。
実は、私道持ち分は1/10でも1/1000でも大したて変わりはしないのですが。。。
裁判所で白黒つけるのが、最もスッキリして良いという考え方もありますが、時間もお金もかかるのでおすすめはしません。
何故なら、「近隣の住人と裁判をやって解決した」という状態は、人間関係が良好であったとは思えないからです。
【問題を解決しないで売却する方法】
問題を解決してから売却するよりも、価格自体は下がってしまうのは否めません。
しかし、問題を解決できる見通しがつかないまま、何年も放置するよりも良いという考えもあるかと思います。
問題を解決するために、弁護士に依頼しても解決できる保証はどこにもありません。
お金だけかけて目的が達成できければ泣きっ面に蜂です。
我々は「住宅ローン緊急相談室」は依頼者の利益を一番に考えます。
依頼者の利益とは、早く、安く、充分に問題が解決できる。ということです。
先生!
弁護士から依頼された相談の時はどんな解決をしたんですか?
「道路の所有者全員に通行、利用に関する承諾を取る」という方法で無事解決をしました。
文章で書くととても簡単に見えるかもしれませんが、8人もの所有者が存在したので、同意の取り付けは本当に骨の折れる仕事で、今考えても「よく同意が取れたな」と感じます。
私道持ち分のない不動産の任意売却まとめ
私道の状況、持分がない理由、背景、回りの状況などによって解決方法も、解決までの道のりも違います。
自分自身で学んで解決したい方は、「隣地をめぐるトラブル予防、解決文例集」といった本を読んでやってみるのも良いですが、専門家に依頼する方がオススメです。
道路持分がなくてお困りの方は私達任意売却の専門家にご相談下さい。
この記事を書いた専門家
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(有)ライフステージ代表取締役
「不動産ワクチンいまなぜ必要か?」著者、FMヨコハマ、FMさがみ不動産相談所コメンテーター、TBSひるおび出演。単に家を売るだけでなく「お金に困らない暮らし」を提案している
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