競売の物件が安い理由。競売価格の仕組みをわかりやすく解説
こんいちはアシスタントのあゆみです。
今回は、競売にかかった不動産の価格について任意売却の専門家の杉山善昭先生に解説していただきます。
先生!よろしくお願い致します。
はいこんにちは、杉山善昭です。
本日もよろしくお願い致します。
このページの目次
住宅ローンの滞納が続くと、最終的に競売で売却することになる
住宅ローンを組んで念願の自宅購入。
幸せは永くは続かなかった。
ローンの返済が苦しくなり、ズルズルと滞納が続き、競売にかけられてしまった!?
競売での売却は、市場価格より安いことを感覚的にご存知の方は多いと思います。
しかし、競売の価格がどのように決まるのかまでは知っている方は少ないと思います。
「不動産の競売価格がどうやって付けられているのか」について分かりやすくお話をさせていただきます。
早速価格の話に行きたい所ですが、少し予備知識を得た上で価格の話をした方が分かりやすいので、お付き合いください。
簡単にご覧いただける動画もありますので、よろしければご覧ください。
競売とは
競売とかいて、「けいばい」とか「きょうばい」と呼びます。”
競売での住宅の売却とは、銀行などあなたにローンを貸した債権者が裁判所に申請して行う、売却のことです。
一言で言うと、あなたの財産を裁判所で強制的に売却し、得た金銭を債権者で平等に分配する手続きです。
残念ながらあなたの意思とは関係なく、強制的に不動産を換金する手続きです。
競売の流れ
競売手続きの流れを確認しましょう。
競売の物件はなぜ安くなってしまうのか?
このウェブサイトのあちこちに、「競売不動産は相場の56%」と書いていますが、
そもそもどうして競売価格は相場の約半分になってしまうのか?
一言で言えば、「買主にとって不利な条件が多い」分だけ競売物件の値段が安くなるのです。
安くなってしまう理由
- 内覧制度が事実上ないため室内状態が確認できないこと
- 現所有者と立ち退きについて自分で交渉しなければいけないこと
- 建物に不具合があっても一切保証がないこと
- 登記地積と実際の地積が相違している可能性があること
- 住宅ローンが組みにくいこと
- 占有者が変わっている可能性があること
- 入札しても競売が取り下げになる可能性があること
- 物件明細書は必ずしも正確であるととは限らないこと
内覧もできないし、立ち退きの交渉を自分でしなきゃいけないし、、、
建物が壊れていても、何も保証がないってことですか?
普通に売っている不動産じゃありえないことのオンパレードですね。
その通りです。
普通の不動産市場は買主はお客様扱いされますが、競売の場合買主はお客様扱いされません。
競売価格の仕組み
言うまでもなく、滞納状態に陥った住宅ローンを銀行はいつまでもそのまま放置しておきません。
法律、契約に基づき「回収」手段を取ることになります。
お金を貸している人が、回収って、、、取り立ての事ですよね?
テレビで、「お金返せ!」って玄関ドアをドンドン叩いているアレですか?
ドラマの見過ぎです。
今どきサラ金でさえ、あんな乱暴な事はしません^^
まして住宅ローンの金融機関ならなおさら。
法律、契約に則って適法な回収を図るのですがそれが競売手続きです。
競売の価格は誰がどう決めているのか?
いよいよ最重要パートに入ります。
競売価格は事実上、不動産鑑定士が決める
この不動産のあるべき評価額はいくらが妥当なのか?
これを調査するのは、裁判所から依頼された不動産鑑定士が行います。
不動産鑑定士が算出した評価を元に裁判所が競売の募集価格を決めるのですが、事実上、不動産鑑定士が決めているといっても過言ではありません。
市場価格より4割以上安く設定される
その不動産鑑定士が評価する価格ですが、まず前提条件があります。下の図をご覧になってください。
一般の取引市場において形成される価格ではなく~と明記されている通り、世間相場とは違う部分を勘案した評価とされています。
また、先ほど紹介した図以外にもネガティブ要素はあります。
では、この競売による特殊性がどの程度、反映されるのでしょうか?
ご覧いただいた通り、競売価格は市場価格の70%となります。相場が3000万円なら2100万円です。
図にするとこのようになります。
かなり安くなってしまう事が分かると思います。
しかし、これだけで驚いてはいけません。
競売の募集価格には、「売却基準価格」という価格と「買受可能価格」という価格があります。
売却基準価額と買受可能価額?
「売却基準価格」の80%の金額が「買受可能価格」となっています。以前はこの制度が無かったのですが、競売の手続きをスムーズに進行させるために出来た制度です。
【民事執行法(売却基準価額の決定等)第六十条】
出展:e-gov法令
執行裁判所は、評価人の評価に基づいて、不動産の売却の額の基準となるべき価額(以下「売却基準価額」という。)を定めなければならない。執行裁判所は、必要があると認めるときは、売却基準価額を変更することができる。買受けの申出の額は、売却基準価額からその十分の二に相当する額を控除した価額(以下「買受可能価額」という。)以上でなければならない。
図に表すとこのようになります。
競売の物件はなぜ安い?理由まとめ
競売の不動産の値段が市場相場よりも安くなってしまう理由ですが、市場の不動産のような、買主保護のシステムが出来てないためということが大きな原因です。
そのために、市場価格よりも30%安い金額での評価がなされ、買受の申込みは更に20%安い金額でも可能となるので、結果的に一般市場価格の56%程度の価格が競売の価格になるのです。
(ここでは、市場価格の30%減という事例を挙げましたが不動産の特性により減価割合は変わる可能性もゼロではありませんので念のため)
オークションとかだと1,000円スタートなら1,000円よりも安い金額では入札できないけれど、競売だと800円からスタートできるんですね?
はいその通りです。
競売になる前に任意売却という選択も
競売の不動産は市場価格に比べて、非常に安い価格で募集がされます。
それはすなわち、所有者の元に「多額の住宅ローンが残る可能性が高くなる」ことを意味しています。
不動産を手放した後に残る債務は多いよりも少ないほうが、ダメージが少なくなることは言うまでもありません。
また、債務が少ない方が自己破産しなくても良い確率が高まります。
その為には、ほぼ市場価格で売却が可能な、「任意売却」がオススメです。
競売で売却しても、住宅ローンは残る確率大
今まで解説してきた通り、競売は一般市場価格に比べて、安く売られてしまう可能性が高い。
だから、売却後に残る住宅ローンが高額になる可能性が高い。
返済しきれない住宅ローンが高額であればあるほど、リスタートがしにくい。
とい連鎖反応が生まれてしまいます。
競売で売却することはできるだけ避けたいものです。
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まとめ
この記事では、競売と任意売却では売却想定価格がまったく違うという話を書きました。
価格については、買主に不利な要素がたくさんある分、価格が安くなってしまう。
ただそれだけではなく所有者にとっては、価格意外にも様々な違いがあります。
その中でも一番大きいのが「精神的負担」です。
無理やり売らされる競売に対して、任意売却は自主的に売却する為、精神的負担は競売に比べて非常に軽くなると実務を通じて感じています。
また引越等のスケジュールが自分自身の予定に併せてある程度できるのも良い点です。
私達住宅ローン緊急相談室は任意売却の注意点や気をつけるべきポイント、競売との違いについて、わかりやすくアドバイスとサポートを行なっておりますので、遠慮なくご相談ください。
この記事を書いた専門家
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(有)ライフステージ代表取締役
「不動産ワクチンいまなぜ必要か?」著者、FMヨコハマ、FMさがみ不動産相談所コメンテーター、TBSひるおび出演。単に家を売るだけでなく「お金に困らない暮らし」を提案している
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