湘南台のマンション売却相談、実は・・・

病室

今回は少し重たいお話です。
皆さんにご紹介するかどうか悩みましたが、誰の身にも降りかかることなので、書くことにしました。

ご相談の不動産は藤沢市にあるマンションです。
小田急江ノ島線の湘南台からバスで少し。

現在、お一人暮らし、末期がんであることが判明し、入院。
治療のため、会社も退職。

治療費も相当高額になる見込みで、今後の住宅ローンの支払いが不可能になることが分かりました。

マンションを売却して、治療費に充てたいところですが、簡易査定をした結果、残債を大きく下回る金額であることが分かりました。
売却しても手元にお金が残るどころか持ち出ししなければいけない状態です。
不足分を捻出できない場合は、任意売却という方法がありますがひとまず置いておきましょう。

残念ながら病から回復の見込みはありません。

現在支払わなければいけないものは、以下の通りです。
・住宅ローン
・管理費、修繕積立金
・駐車場代
・固定資産税
・住民税
・健康保険
・水道光熱費

この中の支払いが滞っているとして、相続が発生した場合、相続人が負担しなければいけないものはどれでしょうか?

答えは全部です。
相続が発生した場合、被相続人(お亡くなりになった方)の負債は全て相続人に相続されます。

もし、相続を希望しない場合、相続放棄という申立を家庭裁判所にして、相続しない手続きが必要です。

この手続きは相続を知ったときから三ヶ月以内にすることが必要です。

もし、期間内に相続放棄の手続きをしない場合、負債も含めた財産全てを相続したことになります。

ご相談の内容というのは、「相続人になるべく迷惑をかけたくない」というものでした。


上記の件で言えば、もしマンションを所有のままお亡くなりになったら、相続人が銀行や、管理会社、役所など全ての債権を確認し、家庭裁判所に相続放棄の手続きをしないといけません。

感のよい方は、お気づきになったかも知れませんが、一般的に住宅ローンには生命保険が付保されています。

ローン返済中に死亡又は重度障害になった場合、残債分の保険金がおりてローンを返済することができます。

今回の借入れは、住宅金融公庫でした。
公庫の場合、保険は団体信用生命保険に加入するのですが、この保険、住宅ローンの返済金とは別に、保険料を支払う事になります。

そう、今回のご相談の場合、その団体信用生命保険料未払いの為、失効していたのです。

つまり、お亡くなりになっても保険はおりず、住宅ローンが残る。という事になります。

話を元に戻しましょう。
今回のご相談は「相続人になるべく迷惑をかけたくない」という趣旨で、つまり「終活」です。

「自分が生きている内に、整理をする。」
これが今回のご依頼の重要なポイントです。

当事務所は、不動産の売却や賃貸を行っていますが、それは手段にしか過ぎません。
「依頼者が求める事は何か?」を常に意識しています。

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この記事を書いた専門家

宅地建物取引士杉山善昭
宅地建物取引士杉山善昭任意売却の専門家
(有)ライフステージ代表取締役
「不動産ワクチンいまなぜ必要か?」著者、FMヨコハマ、FMさがみ不動産相談所コメンテーター、TBSひるおび出演。単に家を売るだけでなく「お金に困らない暮らし」を提案している
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