住宅金融支援機構のローン延滞で一括返済請求され債権がサービサーに移動した際の任意売却

裁判所の前

結論から書きますが、住宅金融支援機構のローンが遅れ、一括返済請求され、更に債権がサービサーに移動した場合でも、まだ任意売却は間に合います。
但し、始めるタイミングにより、ハードルが変わってきますので、順番に説明しますね。

住宅金融支援機構とは

設立は平成19年4月1日
資本金は7,086億4,200万円
従業員数は902人
という団体です。

昔は、住宅金融公庫と言われていました。
住宅金融公庫は、国土交通省(旧建設省)・財務省所管の特殊法人・政策金融機関で既に廃止になりました。平成19年3月31日の事です。
それを引き継いだのが、住宅金融支援機構です。

金融機関が少ない地域であっても、マイホームを購入したい人に、低利で貸し出しをすることを目的として設立された組織です。
公庫時代には、11年目から金利がアップする2段階金利や、6年目11年目に返済額が上がるゆとり返済(ステップ返済)という仕組みがあり、当初の返済額が減少させる効果がありましたが、不景気による収入減少により、逆に足かせになり破たんする事例が大量に発生したので、現在はありません。

民間の金融機関と違って比較的、延滞に対する督促は緩いほうです。
消費者支援を目的とした団体だからでしょう。

借入は、申込みは直接行いますが、返済は都市銀行等を通じて支払うことになります。
融資の名前も、フラットという名前になりました。

何か月延滞すると一括返済要求されるのか?

一般的に6カ月延滞で、一括返済の要求がなされます。
但し、6か月は延滞しても大丈夫という事はではありませんので、ご注意ください。
中には、3ヶ月程度で一括返済の要求をする金融機関もあります。

「期限の利益を喪失したので、一括で返済をしてください」という請求が手紙で届きます。

期限の利益を喪失というのは、専門用語なので少し解説しましょうか。
借りたお金を分割にして支払う権利を「期限の利益」といい、返済が止まるとお金の貸し借りの契約違反になり、分割払いの権利が無くなってしまうのです。

住宅ローンの返済には、金利がつきものですよね。
金利がゼロのローンはありえません。

金利は、分割払いをする商品代です。
従って、住宅ローンの返済が約束通りに払われないと、金利という商品代も払われませんそのため、分割払いの権利も失ってしまうという事になるのです。

実務上は、「●月●日迄に遅れているお金を払わないと、一括返済を要求することになりますよ」という警告的督促と、
「延滞が続いたので期限の利益を喪失しました、よって一括返済してください」という2種類に分かれます。

前者なら、遅れている分を払うことができれば、その後分割払いが続けて行けますが、後者の場合、分割払いする権利はありません。
従って、銀行と交渉しても残念ながら無駄になります。

住宅金融支援機構のサービサーとは?

住宅金融支援機構は、自ら貸金の回収作業は行いません。
分割払いの権利が無くなる前は、返済している金融機関が督促を行います。
分割払いの権利が無くなった後は、サービサーと呼ばれる債権回収会社が督促を行うのが原則です。
全宅住宅ローンのフラット35は、サービサーに委託されないものもありますが少数です。

現在、住宅金融支援機構が委託しているサービサーは、住宅債権管理回収機構、エムユーフロンティア、日立キャピタルの三社です。

一般の銀行の住宅ローンの場合、期限の利益が喪失すると、債権は保証会社に移動して回収手続きがされますが、住宅金融支援機構の場合は、債権が移動するのではなく、サービサーは回収業務の代行をすることになります。

督促を放っておくと

督促が来ても、何もせず放っておくとどうなるでしょうか?
犯罪ではないので、刑務所に入るようなことありませんが、期限の利益を喪失した時点から、債務全額に対して遅延損害金というペナルティーが課せらせます。

14パーセントを超えるペナルティーなので、かなりの損害になり、債務を返済するまで増え続けます。

また、更に督促から一定期間が経過すると、裁判所に競売の申し立てがなされます。
債権者が「本人からの自主的な回収は無理だ」と判断したということなのです。

住宅金融支援機構から任意売却を勧められたら

サービサーから「任意売却をしませんか」と勧められます。
主に、住宅金融支援機構から任意売却のパンフレットが送られてきます。

債権者側から勧められるのは何か裏があるのか?
と疑いたくなるかもしれません。

裏というほどのことではありませんが、債権者は一円でも多くの金銭を回収したいという思惑があります。

法律的な回収手段である競売の手続きがありますが、競売での売却金額は一般に売却する金額よりも安価になってしまうため、債権者としては競売による売却よりも任意売却を望んでいるのです。

要するに、少しでも高く売りたいという思惑で、任意売却を勧められるのです。

高く売ろうとする行為は、所有者にとってもメリットがあります。
高く売れる事は、イコール残る負債が減る事を意味します。

そういった点では任意売却を勧められたという点については、疑わなくても結構です。
実際に住宅金融支援機構のウェブサイトでも「任意売却をお勧めする理由」という記事が掲載されています。

尚、当事務所ではリンク先記事内の「任意売却手続の流れ」のほとんどの手続きについてサポートしています。
依頼者様のお手間が省けると喜ばれています。

話を元に戻しましょう。
問題はその先です。
任意売却を誰に依頼するか?
という点です。

まず重要な事は、任意売却は弁護士には依頼できないという事です。

借金の整理というと、すぐに弁護士が頭に浮かぶかもしれませんが、間違いです。

もちろん司法書士や税理士、行政書士にも依頼する事はできません。
任意売却業務を受任できるのは、宅地建物取引業の免許を取得している正規の不動産会社だけです。

さて、任意売却の依頼をする宅地建物取引業者ですが、2種類あります。

サービサーが紹介する会社に依頼するか、自分で探すかです。

・サービサーが紹介する任意会社

サービサーが紹介する不動産会社は、一定の実績がある会社になります。
その点では、任意売却業務になれている会社と言えます。

但し、中にはあなたの都合よりも任意売却遂行を優先する会社があるので注意が必要です。
何故かというと、この場合、任意売却業務の依頼者は事実上サービサーになるからです。
不動産会社にとって、依頼者はサービサーですから、サービサーにとって利益になることを優先する傾向があります。
引越しを早くするように要求されたりするのもこういった背景からです。

いかに早く、いかに効率よく案件を処理するかどうがで、次回以降の案件の量が変わってきますので、必死です。
もちろん、サービサーが紹介する会社のすべてがそういった会社ではありませんが、一定数いるので注意が必要です。

もちろん当事務所で任意売却業務を承ります。
先にご紹介したウェブサイトに任意売却の手続きの流れがありますが、すべて当事務所でサポートが可能です。

・自分で任意売却会社を選ぶ場合

不動産会社だから、どこでも任意売却ができるかというとそれは違います。
医者に、小児科、産婦人科、外科というジャンルがあるのと同じで、不動産会社にもジャンルがあります。

賃貸、売買仲介、買取、有効活動といったジャンルがあります。

任意売却業務を日常的にやっている会社は、不動産会社200社に1社程度の割合しかないので、探すのは結構大変な作業です。
自分で探した不動産会社の場合、依頼者はあなたですから、あなたの利益のために業務を行ってくれる可能性が高いと言えます。

依頼する会社が決まったら、任意売却の申出書を作成し、サービサーに提出します。

信頼できる会社が見つからない場合は、当事務所で任意売却の業務依頼のご相談を受けていますのでご相談ください。
ご相談は通話料無料の電話TEL0120-961529(クリックで電話ができます)にて受け付けております。

競売の申し立てをされたら

ざっくりですが競売の手続きの流れを説明しておきます。
住宅ローンの返済が遅れて、一括返済の督促も来たけれど何もアクションを起こさなかった時には、競売という手続きで不動産が処分されます。

・競売の申立て

債権者が裁判所に申し立てを行います。
所有者の同意は不要です。

競売の申し立てがなされると、不動産に差押登記がされます。
こちらについても、所有者の同意がなくても勝手に登記されます。

また、担保不動産競売開始決定通知という通知が、「特別送達」という郵便で所有者に送られます。
特別送達郵便は裁判所からの訴状など、民事執行法に基づいて送付されるので、正当な理由なく受取を拒否することはできません。

さて、サービサーが競売の申し立てをしたら、一巻の終わりなのでしょうか?

大きく分けて三つの方法があります。
1、返済金額を弁済する。
言うは易し行うは難しの典型です。方法としては考えられますが、ほとんどの人は実現不可能です。
また、他の金融機関から借り入れを模索する方もいるようですが、いわゆるブラックリストに載っているので借り入れはまず不可能です。

2、任意売却をする
一般的に良く取られる解決方法です。任意売却は競売に比べて高い金額で売れる可能性が高いので、もっとも現実的な解決方法です。

競売申し立て後は任意売却を受け付けないという、一部の銀行の住宅ローンがありますが、住宅金融支援機構の場合、競売の申し立て後でも、任意売却をすることが可能です。

但し、競売の進行を止めておくことはできないので、競売手続きが最終段階に行く前に任意売却の手続きすべてを完了させる必要があります。
間に合わない場合、競売で家を手放すという事になります。

3、競売手続きを進める。
この方法を選んだ場合、自分自身ではなにも行動を起こす必要はありません。
裁判所が勝手に手続きをしていきますので、メンドウな事はなく手間は一番かかりません。

但し、競売で売却される金額は安価になる可能性が高いため、売却後に残る負債が増える可能性が高いことに注意が必要です。

・執行官による現況調査

民事執行法57条の1項に基づき行われる調査です。
競売の申し立てがなされると、裁判所はその不動産について、面積や現状を調査するために執行官に調査を命じなければならないとされています。

執行官が申し立て不動産にやってきて、
売却するのに、何か問題がないかどうか?
現在誰が住んでいるのか?
誰かに貸していないか?
といった項目についての調査を行います。

また併せて、不動産鑑定士も連れてきます。
鑑定士は、「競売で売却するとしたらいくらで募集するのが妥当なのか」について調査します。

現況調査の連絡は、手紙で届きます。
現況調査のお知らせというようなタイトルです。

●月●日現況調査に行きたいが、都合はどうか?というお尋ねです。
もし指定された日は都合がつかない場合は、こちらサイドから日程変更を申し入れることができます。

但し、いたずらに日程を引き延ばすようなことはできません。
執行官は、家の鍵を開錠して室内に立ち入る権限を持っています。
連絡を取らずに放っておいたり、あまりにも先に行き過ぎる日程変更を申し入れていると、勝手に室内に立ち入り強制的に調査を行っていきます。

・競売の期間入札通知書

現況調査が終了してから2か月から3か月経過すると「競売の期間入札の通知書」という書類が送られてきます。
この通知には、・入札の期間・開札の期日・売却基準価格・入札可能額が記載されています。

売却基準額は、不動産鑑定士が算出した不動産評価の70%になっていることが多く、入札可能額は売却基準額の80%になります。
つまり、その不動産の入札可能な金額は、不動産鑑定士が算出した評価の56%になることが多いという事になります。

・入札開始、開札

競売における入札、いわゆる買主の募集です。
購入したい人は、この期間内に申し込んでください。というもので大抵1週間の期間が設けられます。
開札日は、募集終了した日から1週間後に設定されます。
最高金額の買受申込者が、落札者となります。
この時点で、競売の取り下げは事実上できなくなります。

・強制立ち退き

落札者が代金を払い込むと、裁判所から明渡命令なる書類が送付されます。
簡単に言うと、この家は他人の物になったので明け渡しなさい。という内容です。

引越しをせずに放っておくと、落札者の申し出により、強制執行という名の立ち退きを余儀なくされます。
もちろん金銭的補償は一切ありません。
筆者は、賃貸物件の家賃未払いによる強制執行を一度した経験がありますが、近隣の人が野次馬のように続々と集まってくる中での強制執行は本当に気の毒でした。

訪問任意売却会社に注意

裁判所の競売開始決定が下りると、裁判所内のファイルに「この不動産を競売にかけます」という資料が置かれます。
その資料は本来、競売不動産について債権を持っている人は届け出てくださいね。という趣旨で置いてあるのですが、中にはその目的ではなく閲覧する人がいます。

それは任意売却業務を行っている不動産会社です。
競売申立てされた不動産のリストを手に入れて、今度は直接訪問し、「任意売却しませんか?」という営業活動を行うのです。

訪問会社には依頼しないほうが賢明です。

何故なら、訪問してくる会社は、「訪問しなければ仕事の依頼が来ない会社」と言えるからです。
本当に実力がある会社であるならば、効率の悪い飛び込み営業などしている暇はありません。

訪問活動営業は、仕事がなく時間を持て余している会社だという何よりの証拠です。

訪問してくる会社は全体のうち一握りですが、任意売却の勧誘のためにダイレクトメールを送ってくる会社は山ほどいます。

ダイレクトメールを送る会社は、訪問してくる会社に比べてまだマシですが、このダイレクトメールには明らかにおかしい宣伝文句を書いてくる悪質な会社があるので注意が必要です。
「引越代100万円保証」、「無旦保でお金貸します」「競売取り下げます」など困っている人の心の弱みに付け込んだうたい文句をする会社には依頼しないほうが無難です。

世の中にそんなうまい話しはありません。

詐欺は騙すほうがもちろん悪いですが、騙される方にも責任があります。
「うまい話しを望んだのは自分」という責任です。

いつまでに任意すれば良いのか

・競売申し立て前の場合

サービサーが競売の申し立てをする前に、任意売却する意思表示をすれば、概ね6カ月程度任意売却の期間を取ることができます。
半年任意売却をしたにもかかわらず、買主が現れない場合、サービサーは競売の申し立てを行います。
競売の申し立てをされても、任意売却ができなくなる訳ではありませんが、次項の制限が発生します。

・競売の申し立て後の場合

サービサーが競売の申し立てをした後に任意売却活動をする場合、3カ月程度しか売却期間を取ることができません。
この月数は、ウェブサイトによって半年とか、4か月とか書いてありますが、実際に何か月まで大丈夫というものはありません。

端的に言うと、裁判所の込み具合で変わってくるのです。
筆者の経験では最短3か月でした。

競売を取り下げるリミットですが、実務上では、開札期日の前日までに取り下げる必要があります。
理屈上では、落札者が代金を払うまで取り下げは可能ですが、その場合は落札者の同意が必要です。
落札者はその不動産が欲しくて入札しているので、取り下げに応じる可能性はまずありません。

競売の期日を書きましたが、任意売却はただ単に買主を見つければ良いわけではありません。
買主を見つけ、売主は引っ越しをし、代金を受け取り、返済をするという一連の手続きを行う必要がありますので、少し忙しくなります。

また、負債が残る任意売却の場合、売却行為自体に債権者の同意も必要です。
この同意も申請してから二週間近く必要になることも珍しくありませんので注意が必要です。

従って、1日でも早く任意売却活動に入れば入るほど、残された時間にゆとりが生まれるということです。
結果、自分自身のためになります。

任意売却の障害となる税金未納

ほとんどの債権者は任意売却に協力的なのですが、一か所だけ任意売却に非協力的な債権者がいます。

それは、行政です。
未納税金による不動産の差押えをしている行政は、任意売却に協力的ではありません。

売却代金からは、未納税金全額を払うことができない場合、差押解除に応じることはまずありません。

債務超過(不動産を売っても借入金が払えない)の場合、基本的に売却代金はその債権者が全て受領しますので、未納税金を払う余力は残りません。

その為、任意売却をしようとするならば、未納税金無い状態に持っていけるかどうかがポイントになります。

売却後に残った負債

任意売却であれ、競売であれ、不動産を手放した際、売却代金で借金が全額払えれば何の問題もありません。
しかし、多くの場合売却をしても負債を全額払えず、債務が残ることが良くあります。

この売却後に残った負債はどう処理すればよいのでしょうか?
誤解をしている人もいるかと思いますので、先に書いておきますが、任意売却であれ競売であれ「売却したら借金もなくなる」ことはありません。
売却代金で全ての負債が払えない場合、当然負債は残ります。

処理の仕方をする前に、原則を書いておきますね。
売却時又は売却後に債権者から、「●●●万円未払いの負債があるので、至急お支払いください」という趣旨の通知があります。

要求通り払えれば問題ありませんが、多くの場合一括で払うことは困難だと思います。

・自己破産

ほとんどの方がご存知だと思いますが、自己破産手続きで借金を処理する方法です。
自己破産の申請だけでは、借金の返済から解放されることはありません。
自己破産の上、免責を受けて初めて返済義務から解放されます。

細かい話ですが、自己破産は借金をなくす方法ではなく、借金そのものは存在するが、支払いを強制されずに済む方法です。
「強制」というのは、例えば預金や生命保険、給料などを差押えされることなどを指します。

一言で言うと、借金はあるが払わなくてもいいですよ。という制度です。
そのため、免責を含む破産手続き後に自主的に借金を弁済することは可能です。
尚、自己破産は自分で書類を作り申請することは可能ですが、ほとんどの場合、弁護士や司法書士に依頼しています。
弁護士は代理権があるので手続きのほとんどを任せることができますが、司法書士は代理権がないので、申請書類だけの作成になります。
依頼する専門家によって費用がかかります。
また、任意売却を依頼した宅建業者に破産手続きを依頼することはできません。

・債権者破産

破産というと自己破産がすぐに浮かぶかもしれませんが、破産というのは基本的に債権者が申し立てるものです。
何故かというと、債権者が裁判所に破産を申請することにより、破産者の財産を強制的に換金処分して、債権者に平等に配分することができるからです。

しかし、ほとんどの場合は破産者の財産を強制的に換金しても、換金するだけの財産はありません。
そのため、登記していない相続財産があるとか、換金できる財産があることが確実でないと債権者破産制度は使われません。

・示談

債権者と個別の交渉をすることにより、返済金額を決める方法です。
自己破産しなくても良い、お金がかからないというメリットがあります。

毎月の支払金額も生活に支障がないような範囲で相談できる点も、利用者にとってありがたい点でしょう。

但し、借金が無くなった訳でも、返済を免責されている訳でもありませんので、きちんと払いきるだけの余力があるかどうかしっかり考えて示談しないと、お金の悩みから解放されなくなってしまうので注意が必要です。
自己破産の場合、一定金額以上の解約返戻金がある生命保険などは解約をする必要がありますが、示談の場合は生命保険の解約は必ずしも条件ではありません。
前述した通り、遅延損害金という年14%ものペナルティーが課せられますが、示談の場合、元金を全額約束通りに払った場合は遅延損害金を免除するということも珍しくありません。

何故なら、遅延損害金を付けられたら払える人は、ほんの一握りになってしまうからです。

もう一点注意することは、示談をして完済する前に本人がお亡くなりになった場合、その借金は相続されてしまう点です。
財産が多い場合はそれでも良いかもしれませんが、負債が多い場合は相続人は相続放棄を家庭裁判所に申請しないと、自動的に借金も相続してしまうので忘れないようにしましょう。

示談するかどうかの最大のポイントは、払いきれるかどうか?ということです。
示談して毎月決まった支払をすると、貯金は一切できない。という場合も示談せず、自己破産することが望ましいです。

・時効

借金にも時効があり、一定期間払わないとそれ以降、借金を払わなくても良い。という法律があります。
借りたお金を払わなくていいという、そんな都合の良い法律が本当にあるのか?と思うかもしれませんが、本当にあります。

金融機関から借りた借金の場合、5年間返済しなければ、時効の援用を受ける事ができます。

時効については、自動的に権利が発生するのではなく、時効を援用、つまり、「時効だから払わない」と宣言することが必要です。

また、5年返済しなくても6年目に1円でも弁済した場合、時効の援用はそれから5年を経過しないとすることはできません。
そんなうまい話しがあるのなら、私も早速時効を目指そう。というのは早計です。

債権者は時効にならないように対策をしてくることが容易に予想できます。

例えば、給料の差し押えを時効は中断されます。
筆者の経験上、よほどの事がない限り時効を目指すのは困難です。

住宅ローンの連帯保証人

住宅ローンを借りる際に、連帯保証人を付けていた場合どうなるでしょうか?
その前に、基本的に住宅ローンには連帯保証人は付きません。

例えば、夫婦共有で不動産を購入した場合、親子ローンで購入した場合などは連帯保証人がついていますが、その他は基本的に連帯保証人をつけません。

正確に把握するためには、借入当時に契約した、金銭消費貸借契約書を確認すれば連帯保証人が付いているか否か分かります。
もし、任意売却や競売をした場合、連帯保証人の立場はどうなるでしょうか?

負債が残れば連帯保証人にも請求が行くことになります。

借りた本人が自己破産した場合、もちろん連帯保証人に請求が行きますし、示談した場合でも同様です。
本項では、連帯保証について解説しましたが、連帯債務でも同じことが言えます。

尚、連帯保証人の立場で、任意売却ができるかというと残念ながら、連帯保証人の権限では任意売却をすることができません。

マンションの滞納管理費

延滞しているマンションの管理費、修繕積立金についてはどうなるでしょうか?
結論から言うと、未納管理費は買主に自動的に引き継がれます。

買主に引き継がれるから安心。。。
残念ながらそうではありません。

買主は本来払う必要のない金銭は本人の代わりに支払ったのですから、民法上の求償権という権利により、代わりに払った金銭を元の所有者に請求することができます。
裁判所の判決を取れば、給料の差押えも可能です。

共有者が行方不明な場合

夫婦共同名義でマイホームを購入したが、その後離婚。
退去した夫は現在、どこに住んでいるか分からない。

そんなこともあるかもしれません。
その際に、自分ひとりで任意売却ができるかというと残念ながらできません。

自分の持ち分だけを売る方法自体はありますが、住宅ローン返済中の場合は困難ですので、共有の相手を見つけることが必要です。

どうしても見つからない場合、不在者の財産管理人という制度を使って売却する方法もありますが、時間も費用もかかります。

不在者の財産管理人という制度は、行方不明の所有者に代わってその財産を管理する人で裁判所が選任します。
基本的には財産を守る人なので、不動産を売却することはできませんが、住宅ローンの返済ができずこのままだと競売になっていまう。というような緊急事態の場合は売却を認めてもらえる要素がありますので、筆者も一度申請したことが経験があります。

もっともこの時は、不在者の財産管理人が選任された後に行方不明の本人が見つかったので、通常の通りの任意売却をしましたが。

民事再生法の誤解

個人民事再生の制度を使えば、競売の取り下げができ、住宅ローン分割払いが継続できる。という民事再生法の制度があります。
この制度は、住宅ローン以外の負債を圧縮することで、返済額を減少させる効果が期待できます。

自宅を手放さなくて良いので夢のような制度だとお感じになるかもしれませんが、根本的なことを忘れてしまいがちです。
というのも、住宅ローン以外の借金は、家を購入した後に発生したものです。

何故かというと、住宅購入時にカードローンなどがあると住宅ローンそのものが組めませんから。

つまり、家を購入した後の生活が苦しくて、カードローンを利用した。という事になります。
という事は、カードローンの返済が圧縮できたとしても、生活の苦しさは変わらないということです。

もう一度整理しましょう。

1、住宅を購入したが生活が苦しい→2、カードローンを利用→3、負債がどんどん膨らんだ

という流れです。
3が圧縮できたとしても、1の要素が解消されない限り生活が苦しいことは変わりありません。

木を見て森を見ずではありませんが、目先の手段だけを使っても根本的な問題が解決できないのでは本末転倒です。

競売回避に向けて最後までサポート

以上、住宅金融支援機構のローン延滞で一括返済請求され債権がサービサーに移動した際の任意売却について様々なことを書いてきました。
私ども、任意売却の専門家はいま置かれた状況を冷静に分析し、最良の一手を打ちあなたの問題を解決します。

よく「いつまでなら競売の取り下げができますか?」と聞かれることが良くありますが、競売手続きが進めば進むほど任意売却の成功率は下がってしまいます。
一日も早い行動が、一日も早い解決につながります。

家を売ること以上に大切な事


住宅ローンの支払いができないと、家を売ることばかりに気が行ってしまうのも無理はないかもしれません。
しかし、私達は家を売ればそれで良いとは考えておりません。
お金の悩みなく、毎日普通の事を普通にできる生活に戻すことこそ目的だと考えています。
任意売却はその手段にしか過ぎません。

楽しく生活していたあの頃に戻れる為に、私達は最大限のサポートをします。

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この記事を書いた専門家

宅地建物取引士杉山善昭
宅地建物取引士杉山善昭任意売却の専門家
(有)ライフステージ代表取締役
「不動産ワクチンいまなぜ必要か?」著者、FMヨコハマ、FMさがみ不動産相談所コメンテーター、TBSひるおび出演。単に家を売るだけでなく「お金に困らない暮らし」を提案している
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