競売が始まったのに売れない物件

あゆみ

こんにちはアシスタントのあゆみです。
今回は、売りに出しているのに売れずに競売になってしまった事例のお話しです。
杉山先生よろしくお願いします。

杉山先生

はい。よろしくお願いします。
売れない原因から解決した方法まで解説しますね。

「今、頼んでいる会社があるのですが、売れなくて困っているんです!」
焦った声の主は、競売にかかった不動産のオーナー。

競売が始まって、残りはあと2ヶ月

既に、競売の申し立てが受理されており、裁判所から執行官と不動産鑑定士が来て室内の写真も撮影済み。
競売のタイムリミットまで残すところ二ヶ月と言った状況。

詳しく書くと、場所がわかってしまうので割愛しますが、立地もなかなか良く、お金をかけて作った建物で維持管理もなかなか良い物件でした。

「なぜ売れないんだろう。。。」
素朴な疑問がよぎりました。

良い物件なのに売れない理由

少し調べてみると、不動産そのものはそれなりに良い物件であることが分かりました。
但し、売れない理由も同時に見えてきたのです。
依頼している会社は任意売却の業務に注力している会社ではありませんでした。

  • 会社のホームページを見ても相談者が依頼した物件は掲載されていない。
  • ホームズやアットホームといった、いわゆるポータルサイトにも掲載されていない。
  • 土日がお休みの不動産会社

営業マンが個別に営業活動するしかない状態になっていました。
相談者に、広告禁止にしているのですか?
と聞くと、そんな制限はしていないという。

依頼者が広告の制限していないのに、どうして広告を出していないのか?
違和感を覚えます。

この会社がどのような策略を練っているのか、正確なことは知る由もないありませんが、広告宣伝活動をしない背景を探ってみたいと思います。

可能性その1:広告宣伝活動のやり方が分からない

ほぼないと言えるのですが、それでも書いたのは理由があります。

昔ながらの不動産会社さんの場合、今だにアナログな会社があります。
メールもできないという不動産屋さん。いまだにあるのです。

時代はネット広告全盛ですが、ネットが苦手な不動産屋さんはアナログの販売手法で販売をしている会社は一定数あります。

LINEやFacebookのメッセンジャーが使えない不動産さんも、zoom、TEAMSなどのオンライン会議システムが使えない不動産屋さんも珍しくありません。

あゆみ

今時、LINE使えないって信じられない!

杉山先生

使えない人もいるのは事実なのですが、わざと使わないようにしている人もいるんですよね。。。
理由は、「記録に残って証拠になってしまうから」

あゆみ

証拠って、、、
記録に残ると都合が悪いことを言っているってことですか?

杉山先生

断定はできないですが、「言った」「言わない」の世界でうやむやにしようとたくらむ不動産業者は一定数いますね。
特に投資系の不動産を扱う不動産会社は記録に残ることを嫌がる傾向が強いです。

可能性その2:不動産会社が中抜きをして利益を得ようとしている

中抜き

先ほどのようなアナログ不動産屋さんでない場合、通常ネットの広告をします。
依頼を受けているのに、広告しない。
これは債権者にも売主である依頼者にも販売活動を知られたくないのではないか?という可能性が考えられます。

どういう事か?
例えば5,000万円で販売の依頼を受けた物件を6,000万円で販売をしていたということです。
6,000万円で購入する顧客見つかれば、依頼者に6,000万円で売れましたよ!と報告するのではなく、5,000万円で売買契約を締結し、見つけた買主と今度は自社が売主となって6,000万円の契約をするのです。

差額の1,000万円は不動産会社の利益になります。

このようなよからぬ事を考えているとすると、6,000万円でも広告できませんし、5,000万円でも広告活動ができません。
何故なら、6,000万円で販売していれ売主や債権者に「なぜ5,000万円ではなく6,000万円で販売しているのか?」とクレームになりますし、5,000万円で販売していれば、6,000万円で紹介している顧客から「なぜ5,000万円?」と怪しまれるからです。

このように中抜きをしようと画策している会社に依頼すると、広告宣伝活動を行わない可能性が高くなります。
また、販売委託契約である媒介契約に販売する金額が未記入の場合も同様の結果になることが多いです。

正規に販売するための鉄則

あゆみ

怪しい不動産会社に頼んでしまったんですね。。。
では、どうすれば良いのか具体的な方法を教えてもらえますか?

特殊な事情を抱えていない一般的に問題が少ない不動産を売却するためには鉄則があるので紹介しましょう。

高く、速く売却する鉄則

  1. きちんと広告宣伝活動を行う
  2. 内覧対応可能な日程を多くする
  3. 不用品等を捨てて、できるだけ掃除をする

どれもそれほど難しいことではありませんよね。
広告宣伝活動について、はアットホーム、ホームズ、スーモいずれか一つに掲載されていればまず問題ありません。

家を真剣に探している人は、全部見ています。どれか一つしか見ていないという事はまずありえません。

2の内覧滞納可能な日程を多くするというのは、中古の不動産は「内覧無くして売買なし」と言われています。

不動産のオーナーが住んでいる家を売却する際、オーナーがいなければ内覧することができません。

不動産の販売期間中はできるだけ、外出の予定を入れない事がコツです。
少なくとも一日中不在することは避けたいものです。

大前提として、きちんと業務をやっている不動産会社を見極めて依頼するという事が何より重要です。

競売が始まったのに売れない物件は売れたのか?

あゆみ

先生!
結局、この不動産はどうなったんですか?

杉山先生

うん。
この物件は、結果的に弊社で委任を受けることになって売れました。

不動産会社には「依頼者の利益のために、積極的販売努力をしなければならない」という義務があります。
今回の事例は、故意か過失か証明はできませんでしたが、結果からみれば、売主が禁止していないにもかかわらず、広告を出さず宣伝活動を積極的にしていませんでした。

売却活動の依頼をすることを、媒介契約というのですが、その媒介契約違反が認められたという事です。

従って不動産会社側が義務を履行していないことを理由に媒介契約を解除しました。

弊社で新たに媒介契約を締結し、広告宣伝活動をしたところ、わずか10日で売却することが出来ました。

しかも、その購入者は以前、件の不動産会社にも問合せをしていた方と言うことも判明。
紹介されていた価格は5百万も高かったそうです。

あゆみ

結局、中抜きをたくらんでいたってことですか、、、
普通の不動産屋に見えても信用しちゃだめなんですね。

杉山先生

ホンの一部の心無い不動産会社のせいで、不動産業界のイメージが悪くなるのは本当に心が痛いのですが、現実問題として起きているんですよね。

このサイトでも複数回書いていますが、その不動産会社が信用できるか、信用できないか?は会社や経営者が発信しているSNS等である程度推測することができます。
今の所は、依頼する側が気を付けて自分の身は自分で守るという意識がやはり大切なのです。

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この記事を書いた専門家

宅地建物取引士杉山善昭
宅地建物取引士杉山善昭任意売却の専門家
(有)ライフステージ代表取締役
「不動産ワクチンいまなぜ必要か?」著者、FMヨコハマ、FMさがみ不動産相談所コメンテーター、TBSひるおび出演。単に家を売るだけでなく「お金に困らない暮らし」を提案している
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