遠方にいる親の家を処分させて近くに呼びたいが親は反対!どうすれば良いのか?

困っている女性

こんにちは、任意売却の専門家、杉山善昭です。

今回はありがちな事例で、同じお悩みを抱えていらっしゃる方も多いと思いましたのでご紹介します。

ご実家は、とある関西の過疎化が進みかけている所。

御相談者は関東在住。
高齢になった父母を自宅近くに呼びたいと考えている。
実家の他、田畑がそれなりにある。
父親は住み慣れた家を離れて関東に来ることに反対している。
母は病院や買い物が不便な今の家から引っ越して娘の近くに住みたいと考えている。

このような状況です。

何とか親を説得して全てまとめて売却し、速やかに近くに呼び寄せたいと相談者は考えています。
その為に、まず実家の土地建物、田畑がいくら位で売れるか調べてみたいとおっしゃっていました。

こんな時、あなただったらどうしますか?

私は、「査定は出せますが、やめた方がいいですよ」と申し上げました。

「査定を出さなければ、何も始まらないのでは?」とお感じになったでしょうか。

今回のご相談者のご実家は、おそらく代々受け継いだ土地だと思います。
田畑を購入して農業をするとは考えにくいですからね。

お父様は、地元育ちのハズです。

まわりには友達も先輩も後輩もたくさんいるでしょう。
お付き合いもそれなりにあると思います。

地主さんが一番言われたくないことがあるのです。

何だと思いますか?

「あいつの代で財産全部が無くなった」です。

自分の代で引き継いだ財産を手放す事に対して、とても抵抗があるのです。

今回は地主さんの事例でしたが、地主さんでなくても実は同じです。
男性にとって不動産は「なわばり」そのもの。

「一国一城の主」という言葉は、今の若い世代の人はあまり使わないですが、現在の高齢者は一生懸命働いて自分の城(家)を持つことに、人生の価値を見出していたのです。

これを簡単に手放す事は男性にとって、自らの存在を消し去る行為なのです。

一方女性は、寒くて古い家が嫌。
買い物が不便な場所は嫌。
病院が遠い場所は嫌。

体裁よりも、快適さを求めます。

その為この事例のように「母は賛成、父は反対」という構図が生まれやすいのです。

さてここまで書いてきましたが、なんとなく見えてきたでしょうか?

そう、現時点で一気に売却し自宅近くに呼ぶのは無茶な話なのです。
話がここで終わってしまえば、タダの雑談になっていますので、不動産コンサルならではの提案に移りましょう。

まず、売却する話は一切しないことです。
そして、ご相談者さんのお住まいに余裕があるのなら、両親を自宅にショートステイさせるのです。
こちらの環境に慣れてもらう。と言えばよいでしょうか。

こっちの生活が快適だなと思えば思うほど、寒くて不便な自宅の位置づけが低くなります。

もし、ご相談者さんのお住まいに余裕がないのなら、近隣でウィークリーマンションを借ります。

人間は本能的に、変化を嫌います。

自宅をひきはらい、良く分からない場所に、いきなり住むことに非常に抵抗感を覚えるのです。
自宅を手放してしまえば、帰る所もなくなりますしね。

相談者の住んでいる環境を気に入っていただいたら、次の段階です。
手入れのできない田畑を順番に売却若しくは貸します。自宅は残して。

ショートステイを繰り返して定住に移行させるのです。
できれば、近所の集まりの趣味サークルなどに参加してもらいましょう

幸い、都会は田舎と違って村意識が低いですから、共通の趣味があれば意外とスムーズにお友達が増えるでしょう。
但し、定住をすることになっても、しばらくは自宅は売却しない方が良いでしょう。

「誰も住まない家をおいておくのは無駄では?」と思うかもしれません。

しかし、お父様にとって帰る場所がある。ということは非常に重要な事なのです。
「うまく行かなければ帰ればいい」という安心感があるからこそ、引越しの抵抗が少なくなるのです。

引越しをした後の生活が快適であればあるほど、自宅への未練が少なくなります。
未練が少なくなればなるほど、売却の心理的ハードルが低くなります。

この事例のように、相談者は合理的判断のもと一気に売却することを望みますが、それを実行しようとするとうまく行かないことが多々あります。

結果も大切ですがプロセスの方が重要なのです。

冒頭で、査定を出さないといった理由はここにあります。
「自分が知らない間に、子供たちが勝手に自宅の査定を取って動いている」
親にとっては腹立たしい行為なのです。

自分の知らない所で妻や子供がコソコソ画策している。

良かれと思ってしていても、このような勘違いをさせてしまう可能性が高くなってしまうのです。
下手をすると、引越しどころか親子関係が修復不可能な状況にもなりかねません。

親の心に沿ってあげると良い結果が生まれます。

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この記事を書いた専門家

宅地建物取引士杉山善昭
宅地建物取引士杉山善昭任意売却の専門家
(有)ライフステージ代表取締役
「不動産ワクチンいまなぜ必要か?」著者、FMヨコハマ、FMさがみ不動産相談所コメンテーター、TBSひるおび出演。単に家を売るだけでなく「お金に困らない暮らし」を提案している
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