【体験談】SMBC信用保証の保証が付いている三井住友銀行住宅ローンの任意売却

※写真は実際の支店とは関係ありません。

任意売却しても残る借金をどうすれば

不動産は大阪市のマンション。
元々夫婦で住んでいたが、離婚を期に別居。奥様だけが引き続き居住し、ご主人は退去したそうです。

しばらくして、返済が滞るようになったことで、居住していた妻が退去。

離婚協議中の妻は代理人をたてたので、離婚の協議もする必要があるが取り急ぎ住宅をなんとか処分したい。
そのタイミングで、任意売却を決断。

当事務所にご相談にお見えになる前は、大阪の不動産会社に売却のご依頼をなさっていたようです。
売却可能な見込み価格では、残っているローンの完済はできないため、返しきれないお金はどうすれば良いのか?聞いたところ。。。

個人で銀行と交渉できるわけもなく途方に暮れるDさん

売却可能な見込み価格では、残っているローンの完済はできないため、返しきれないお金はどうすれば良いのか?聞いたところ。。。

「自分で銀行と交渉してください」と取りつく島がない態度で言われたそうです。

三井住友銀行の担当者に連絡するも、「全額返済してくれないと売却を認めません」の一点張り。

銀行から保証会社に管理が移らないと任意売却はできない

なぜ認めてくれないのか?というと、、、
下の動画で解説をしているので、ご覧ください。

ご覧になりましたか?

杉山先生

動画をご覧になる時間がない方のために要約しましょう^^

売却しても負債が全額返せない時、銀行に交渉に行っても無駄な理由

  • 任意売却しても住宅ローンが全額払えない場合、任意売却の交渉を銀行と行ってもダメ
  • なぜなら、ほとんどの銀行は保証会社を付けて融資しているから
  • 保証会社がついていると、返済事故があっても保証会社が保証する
  • 負債を全額回収せずに売却に応じると、保証会社の保証を銀行が受けることができないから
  • 完済できる場合を除き、銀行には任意売却を承認する権限がないから
あゆみ

先生、全部の銀行が同じなんですか?

杉山先生

ごく稀に、保証会社をつけていない住宅ローンもあります。
この場合は、銀行と交渉をすることがあります。

という訳で、銀行と任意売却の交渉をしても残念ながら無駄なのです。
任意売却の交渉すらできないのに、残った負債の交渉などできるはずもありません。

先に相談していた不動産会社はヒドイアドバイスをしたと思います。

あゆみ

と、いう事は銀行ではなく、保証会社と直接交渉することになるのでしょうか?

杉山先生

確かに保証会社は全額完済できない不動産の売却を承認する権限を持っています。
しかし、知識のない一般の方が保証会社を相手に交渉する力は通常ありません。

あゆみ

なるほど、もう一つ聞いてよいですか?
不動産会社に頼めば、任意売却の交渉はやってくれるのでしょうか?

杉山先生

不動産会社=任意売却の専門家ではないのです。
私は宅建協会という不動産の業界団体におりますが、任意売却の業務ができる不動産会社は150分の1くらいの確率です。
とても少ないので見つけるのに苦労するかもしれません。

任意売却スタート

さて、そんな状態から始まったこのお話し。
不動産を売却しても住宅ローンが完済できない場合、三井住友銀行からSMBC債権回収に管理が移らないと、販売活動はできません。

三井住友銀行からSMBC債権回収に管理が移らないとできないなら、移管されるまで待つ。という不動産会社があると思いますが、私は違います。
今回は売却見込み額と残債の差がそれほど大きく無かったので、ダメ元で販売に出しました。

あゆみ

ダメ元って、交渉できないけど販売はしてみたってことですか?

杉山先生

少し説明が足りませんでしたね。
ダメ元で販売とは、売却想定価格を超える金額で販売をスタートさせた
つまり、チョットムリメの販売価格で販売開始したということです。

作戦はこうです。

  1. 残債が返済できる金額で販売する
  2. SMBC債権回収に管理が移った時点で成約に至らない場合、価格を改定して任意売却する
  3. 競売までに売却できなければ不動産会社の下取りにする

傷口が小さいところから順番にやっていく作戦です。
うまく1で売却できればそれでOKですからね。

そんな状態で販売開始をしようとした一歩手前の段階。


室内を実際に見にいったところ、、、
相当ヒドイ状態でした。
ペットを飼っていたのであちらこちらに、おしっこの跡があり臭気も相当なもの。

リフォームをしたとしたら、ざっくり300万程度はかかるはず。何より見た目が厳しいので、購入検討者の意欲を削ぐ状態でした。

本来なら、リフォームしたいところですが当然リフォーム資金を売主が捻出することはできません。
現況のまま販売せざるを得ません。

あゆみ

販売価格は、相場よりも高くした。
不動産の状態はヒドカッタ。。。
それで売れたらビックリですね。

杉山先生

そうですね。
置かれている前提条件がドンドン悪化していました。

SMBC社と販売価格を決める交渉の難しさ

そうこうしているうちに、SMBC債権回収に債権が移転。
今までは一般の販売(残債が残らない金額での販売なので)でしたが、いよいよ本当の意味で任意売却のスタートです。

残債が残らない金額で売却ができれば御の字でしたが、今回は残債から逆算した販売価格。つまり相場無視で価格を付けていいました。
三井住友銀行に管理があるうちは、買主が現れなくても想定内のことでした。

住宅金融支援機構などは、予め販売価格について協議することができるのですが、SMBC社は公庫と勝手が違います。
明確な販売価格の指定をしないのです。

あゆみ

普段は、販売前に債権者と販売価格の協議をするものなんでしょうか?

杉山先生

負債が残る任意売却の場合はその通りです。
承諾が得られる見込みがない販売金額で販売しても意味がありませんからね。

明確な価格指定がないということは任意売却を行う上で、支障になります。
何故かと言うと、こちらが3,000万円が妥当だと思って販売、買主が決まったとしましょう。
この時点でSMBC社に売却を申請して却下されたとしたら、、、
また最初から販売をしなけばいけませんし、価格も上げなければいけません。
非常に非効率、非合理的と言わざるを得ません。

あゆみ

確かに!
だったら最初から3,000万円では承諾できないですよって言ってほしいです。

杉山先生

ですよね。
延滞利息もかかっている状態で、無駄な時間を過ごすことは、債権者、債務者両方に何のメリットもありません。

お互い時間を無駄にしないように、SMBC社の担当者と話しをしながら、承認してくれるであろう販売価格を探る必要があります。
当方から査定を出すしたのですが、担当者の要求していると予想される価格が思ったよりも高い。

「あなた(債権者)のお考えになっているその価格で販売してきたけれど売れないんだよな」そう思いつつ相手の立場もあるのでいったん持ち帰り。
依頼者に報告して、継続販売。

一定期間が経過した所で、販売活動報告と共に価格変更協議。
債権者は「債権者の要求する通り販売したけれど、売れなかった」というエクスキューズが欲しいのです。

任意売却をしても残った借金を示談にするコツ

価格の見直しもしながら販売をした結果、買主が決まりました。
住宅ローンの他、未納管理費や未納税金などもありましたので売却代金から、どこにどうお金を配分するのかの折衝も決まり、残すところは残った負債をどうするか?の話です。

冒頭の話に戻りますが、負債の交渉は不動産免許ではできません。弁護士の資格が必要です。

POINT

【破産や民事再生等借金の交渉】弁護士が担当
【不動産の価格の交渉】不動産会社が担当

残った負債の処理の方法は、事実上自己破産か示談かを選ぶことになりますが、自己破産しない場合は示談です。

この時に生活状況についてヒアリングされます。
うっかり口を滑らすと債権者の要求も上がってしまうので注意が必要です。

もちろんウソはダメですが、毎月少しづつ払うのであればそれを承認してもらいやすい説明の仕方があるのです。
基本的には払いたい誠意を見せることと、払う努力をすることが伝わるように説明するのです。

私は経験上、債権者が何を話してくるのか知っていますから、アドバイスをすることができます。
また、任意売却の一連の活動中であればその場に同席することも可能です。

今回も任意売却を成功させることができてうれしく思います。

任意売却したいなと考え始めた方へ

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この記事を書いた専門家

宅地建物取引士杉山善昭
宅地建物取引士杉山善昭任意売却の専門家
(有)ライフステージ代表取締役
「不動産ワクチンいまなぜ必要か?」著者、FMヨコハマ、FMさがみ不動産相談所コメンテーター、TBSひるおび出演。単に家を売るだけでなく「お金に困らない暮らし」を提案している
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