競売を妨害する行為

今回は少し懐かしいお話しをしましょう。
昔は競売になっても、不動産を借りている人は居住し続けられるという制度がありました。
不正短期賃貸借
短期賃借権という保護があったためです。
家賃を払って入居している人を保護しようという趣旨です。

しかし、競売の仕組みが改正になり、短期の賃借権は保護の制度が事実上、無くなりました。
なぜ無くなったかというと、この短期賃借権を悪用した輩が大量に発生して、社会問題にまでなったからなのです。

競売になりそうな家に短期賃借権を理由に住んでいるフリをして競売の妨害や法外な立退き料を要求したりしたのです。
私も記憶がありますが、競売物件の調査をするため、現地に行くと、、、

フルスモークを貼ったドイツのイカツイ黒い車が駐車場からはみ出して停まっていて、どう見てもその筋の人が占拠しているという。。。
そんな物件がそこかしこにありました(汗)

2004年にこの短期賃借権の制度が改正になりました。
変更になった点は
●賃貸借期間中は借りられる→競売後6ヶ月で賃貸借契約終了
●敷金返還義務新所有者→旧所有者
です。
但し、銀行等からの借り入れ(抵当権の設定)よりも賃貸借契約期間の始期が遅い場合が適用されます。
もし、抵当権の登記よりも、賃貸借契約の始期が早い場合賃貸契約が保護されます。

さて、前置きが長くなりましたが本題です。
競売の入札価格を安くする目的であったり、買受人から少しでも多くの保証を引き出そうとするよからぬ輩がいます。

実態の無い、賃貸借を装ったり賃貸借契約の内容を改ざんしたりする行為をたまに見受けます。

先日もニュースにも乗った話です。

事件の概略はこう。
競売を阻止しようとして、以前から賃貸契約をしているように偽装し登記も行った。

執行猶予付ですが懲役3年の判決を受けました。
この事件で逮捕されたO氏は不動産会社社長です。

今現在、競売開始になったあなた。
きっとあなたの元には、「競売停止」や「競売を取下げる」
というダイレクトメールが届いているはずです。


しかし、この事件のように、競売の妨害をすることはあなたが犯罪グループの一員として逮捕される可能性もあるということを決して忘れないで欲しいのです。

任意売却のような正規の手続きで競売を取下げることは何ら法に触れるようなことはありませんが、競売の引き伸ばしや高額な金銭バックのような話は、非常に危険です。

「やっぱりおかしいと思ったんだよな!」と後悔する時には既に取り返しがつきません。

「君子危うきに近づかず」ということわざは有名ですね。

経済的に厳しい状況だからこそ、気をつけて欲しいと思います。

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この記事を書いた専門家

宅地建物取引士杉山善昭
宅地建物取引士杉山善昭任意売却の専門家
(有)ライフステージ代表取締役
「不動産ワクチンいまなぜ必要か?」著者、FMヨコハマ、FMさがみ不動産相談所コメンテーター、TBSひるおび出演。単に家を売るだけでなく「お金に困らない暮らし」を提案している
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